激しい嘔吐と下痢でよく知られるノロウイルス。子どもをもつママにとっては感染が心配ですよね。でもノロウイルスの正しい知識がないという方も多いと思います。ノロウイルスってなに?潜伏期間は?きちんと知って正しい対策ができるようにしておきましょう。
ノロウイルスってなに?
感染性胃腸炎や食中毒を引きおこすウイルス
ノロウイルスは主に11月~3月に流行する感染性胃腸炎を引き起こすウイルスです。また、人からだけではなく食品から感染して食中毒をおこすこともあります。少しの量のウイルスでも発症する感染力の強いウイルスと言われています。保育園や高齢者施設などで感染すると集団感染をおこすこともあり、また乳幼児や高齢者は重症になるケースもあるため注意が必要です。
ノロウイルスの感染経路は
人から人への感染
ノロウイルスに感染した人の吐物から飛び散って感染したり、糞便を処理したときに手についたウイルスが口に入って感染したりします。また人と人とが直接接触することでも感染します。
人から食べ物へ、食べ物から人への感染
ノロウイルスを持った人の手から食べ物にうつり、その食べ物を食べた人が感染します。いわゆる食中毒をおこした状態です。
食べ物から人への感染
ノロウイルスをもった牡蠣や二枚貝をなまで食べたり、加熱が不十分な状態で食べることで食中毒をおこすことがあります。
ノロウイルスの潜伏期間
24時間~48時間で発症
感染してから24時間~48時間で感染症や食中毒をおこします。つまり先日や前々日に接触したり食べたりしたものから感染し発症に至るというわけです。ノロウイルスの特徴は少しのウイルス量でも急激に増殖し、1日~2日の短い潜伏期間で発症するというところです。
ノロウイルスの症状は?
軽い症状と強い症状が出る人がいます
感染しても発症せず軽い風邪のような症状で経過することもありますが、発症すると吐き気、嘔吐、下痢、腹痛を起こしさらに37度~38度程度の発熱があります。
ノロウイルスに感染すると初期に軽い微熱から始まることもありますが、たいてい急に嘔吐や下痢など強い症状があらわれ一日に何度も吐き、水様の下痢を繰り返します。
乳幼児や高齢者は注意を!
免疫力のある人は軽い症状ですむか、たいてい1日~2日経てば軽快し後遺症を残すこともありません。ただ、乳幼児や高齢者など免疫力が弱い人は脱水症状をおこしたり、症状が長引くこともあるので注意が必要です。
また子どもの場合に以下のような症状がある場合はノロウイルス以外の病気も考えられるためすぐに病院へ行くようにしてください。
●血便がでている
●意識がはっきりしない
●黄色や緑色の胃液や胆汁液様のものを吐く
●けいれんをおこす
●強い腹痛がおこったりましになったりし激しく泣く
ノロウイルス、もし発症してしまったら対策は?
発症したらどんな治療法があるの?
現在は感染を防ぐためのワクチンや抗ウイルス薬がないため、ノロウイルスに感染、発症したら対症療法しかありません。脱水を予防するたに水分と栄養を補いながら安静にします。
子どもの場合の水分・栄養補給
子どもの場合、座薬の吐き気止めを処方してもらい吐き気がおさまってから少しずつ水分補給をおこなう場合があります。脱水が強くどうしても水分を摂れない場合は病院へ行って点滴をしてもらいましょう。
□子どもの場合の水分補給
湯冷まし、お茶、イオン水、経口補水液など負担のないものを一口ずつ小まめに分けて摂る
□子どもの場合の栄養補給
バナナ、おろしりんご、お粥など胃腸に負担のないもの、赤ちゃんは母乳かやや薄めたミルクを少しずつ摂る。
■経口補水液の作り方
材料
水:1リットル
塩:小さじ1/2
砂糖:大さじ4と1/2
材料を全て混ぜ合わせて完成。お好みでレモンや果汁を加えてもよい。
大人の場合の水分・栄養補給
□大人の場合の水分補給
お茶、スポーツドリンク、経口補水液などを小まめに摂る
□大人の場合の栄養補給
胃腸に負担をかけない消化のよいものを食べられるときに摂る
脱水が強くどうしても水分も摂れない場合は病院へ行って点滴をしてもらいましょう。
下痢止めは飲まない!
注意が必要なのは下痢止めを飲んでしまうと体内にいるウイルスを排出できないため症状を長引かせてしまいます。服用するなら整腸剤などにしましょう。
ノロウィルスの正しい予防法
感染能力がある期間はどれくらい?
感染能力があるのは、感染した日、潜伏期間の1日~2日間、症状が発症している1日~2日間、回復してからも感染後1週間は感染能力があると言われています。正しい予防法を知って確実に感染拡大を防ぎましょう。
予防の仕方
ウイルスは全て口から入って感染するため、感染している乳幼児を介護することが多いママは特に注意しなければいけません。
○オムツ交換をするときは手袋をつける
○汚物の消毒は塩素系消毒液(漂白剤)を使用しましょう
○感染者を介助した後は徹底した手洗い※15秒以上
○食器をさわるとき、料理をするときも手洗いを徹底する
○食器類の消毒は台所用漂白剤か熱湯でおこなう
○タオルや食器類を共有しない
○食品は85度を1分以上加熱する
消毒液の作り方:塩素系漂白剤(ハイターなど)キャップ2杯(10ml)+水500ml
正しい知識でノロウィルス対策を!
ノロウイルスは冬場にかけて多くなる感染性胃腸炎でとても多い病気ですが、意外と知らないことが多かったのではないでしょうか。潜伏期間が短く感染力も強いため、あっという間に広がってしまいます。子どもの場合重症化することもあるので、充分予防をして感染しないようにしましょう。