日本脳炎の予防接種はいつ受ける?正しい時期と副反応について

日本脳炎とは蚊によって媒介される疾患です。日本では、日本脳炎の予防接種を受けることで感染者が抑えられているため、病気そのものについてご存知ない方も多いかもしれません。病気の特徴と合わせて、予防接種の時期、気になる副反応についてお話します。

日本脳炎ってどんな病気?

蚊が媒介する日本脳炎ウイルスによる病気

日本脳炎は、「コダカアカイエカ」をはじめとした蚊によって媒介される日本脳炎ウイルスが原因で起きる疾患です。この日本脳炎ウイルスは、ブタの体内で増殖し、そのブタの血液を吸った蚊から人へと感染するもので、人から人へと感染するものではありません。(日本脳炎ウイルスに感染した人を刺した蚊によって、他の人に移ることもありません)

また、日本脳炎に感染した方すべてが発症するというわけでもありません。ウイルス感染者100~1000人にひとりが日本脳炎を発症すると言われており、症状が出ずに気が付かない場合でも実はウイルスに感染しているという方は多いと言われています。

日本での感染者は10名以下。しかし、小児での発症例も

日本脳炎は世界に蔓延している疾患です。世界的に見ると、年間3万~4万人の発症者がいると言われていますが、日本では1966年の2000人を超える発症者数をピークにし、その後は減少の一途をたどっていて、ここ数年での日本脳炎の発症者は10名以下と少なくなっています。免疫のない高齢者がかかりやすいと言われていますが、小児や30代~40代などの比較的若い方で発症している人もいます。

現在でも、ブタの体内は日本脳炎ウイルスの繁殖元として、調査をされています。患者数が少ないとはいえ、日本脳炎ウイルスが国内に蔓延していることは確かです。そのため、日本脳炎は誰でも感染・発症する可能性がある病なのです。発症すると重症化・重篤化する危険性が高い病ですので、過去の疾患ととらえるのではなく、十分な注意が必要です。

日本脳炎とは
国立感染症研究所 *こちらのサイトを参考とさせていただきました



もし日本脳炎にかかったら?症状と治療法について

日本脳炎の症状とは

日本脳炎を発症すると、一体どのような症状が現れるのでしょうか。
日本脳炎の潜伏期間は6~18日間です。一般に、日本脳炎を発症するとまず、38~40度の高熱・頭痛・嘔吐・眩暈などの症状が現れます。これに加え、子どもの場合は腹痛や下痢などお腹の症状が出ることもあります。この時点では風邪と似た症状かもしれませんね。

こうした症状ののち、脳炎の症状が現れます。具体的にいうと、以下のような症状が発生します。

・光に対して過激に反応する(光への過敏症)
・意識がなくなる(意識障害)
・表情がなくなる
・筋肉が硬くなる(筋強直)
・手足が動かない(運動麻痺)

あわせて、けいれん発作を起こすことが多いのが子どもの大きな特徴です。

なお、日本脳炎かどうかといった病気の診断は、血液検査(白血球数の増加の有無)、脳波の検査、また脳の髄液を検査することで行われます。

対症療法のみで完治は難しい

日本脳炎は症状が現れた段階で、既にウイルスが脳に到達し、脳細胞を破壊していると言われています。そのため、発症した後にできる特別な治療法はありません。医療機関を受診したとしても、けいれんに対して抗けいれん薬を使用したり、脳の腫れに対してその腫れを抑える薬を投与するなどといった対症療法のみとなるでしょう。
また、これから先の将来で日本脳炎の特効薬が誕生したとしても、既に破壊された脳細胞を修復することは困難であるため、死亡率や後遺症の改善に大きな期待はできないとも言われています。

死亡率が高く、後遺症が残るのも大きな特徴

日本脳炎の死亡率は20~40%と高く、命が助かったとしても45~70%では後遺症が残る病気であるというのも日本脳炎の怖いところ。
子どもでは特に重度の障害を残すことが多いと言われています。筋肉がこわばる・手足が震えるというようなパーキンソン病のような症状・麻痺・精神障害などの後遺症が代表的な例です。
治療法がなく、死亡率・後遺症の可能性がともに高い日本脳炎は、予防が最も大切な病気です。

日本脳炎とは
国立感染症研究所 *こちらのサイトを参考とさせていただきました

日本脳炎予防接種はいつ受ける?標準時期について

日本脳炎を予防するためには、予防接種が第一と言われています。ワクチンの接種によって、リスクを75~95%にまで減らすことができるからです。特にブタの多い地域・蚊の多い地域に行く際は事前に予防接種を受けておくようにするのも予防には重要です。

日本脳炎のワクチンは、現在定期接種として無料で受けることができます。接種時期には第一期と第二期があり、それぞれで定められた回数を接種します。

第一期は3歳で

まず、日本脳炎は3歳から予防接種が可能で、3~4歳の間に、合計で3回接種をします。これがいわゆる「第一期」です。
1回目のワクチン接種後、6日~28日間あけて2回目を接種します。追加接種として、2回目の予防接種からおよそ1年を開けて、追加で1回接種する必要があります。

第二期は小学校3年生で

日本脳炎の予防接種はこれだけではありません。その後、9歳(小学校3年生)で第二期の予防接種があります。一般に、9~10歳で1回接種が必要です。

第一期と第二期、合わせて4回、日本脳炎の予防接種は必要ということになります。
なお、平成7年~平成18年に生まれた子どもに関しては、この4回のうちいずれかの予防接種が欠落している可能性があります。一時期、副反応の危険性を危惧して、政府や自治体が積極勧奨を控えたからです。そのため、第一期や第二期に該当する年齢時に予防接種を受けていないという方、母子手帳に記載された日本脳炎の記録が4回に満たない方は自治体に相談するようにしてください。予防効果が不十分である危険性があります。

日本脳炎 |厚生労働省
日本脳炎について紹介しています。 *こちらのサイトを参考とさせていただきました



日本脳炎ワクチンの副反応は本当に大丈夫?

日本脳炎ワクチンの副反応について

ワクチンには副反応がつきものですが、日本脳炎の予防接種においても症状の程度に差はあるものの副反応が起きる可能性があります。
注射した部位が赤くなったり、少し腫れたようになるのも副反応のひとつです。また、発熱・咳・鼻水などの症状が出ることも。重篤なものとなると、接種後30分以内に、ぐったりする・顔色が悪いというアナフィラキシー症状の他に、意識がなくなるなどのショック症状・急性散在性脳脊髄炎(ADEM)・脳症・けいれん発作などがあります。

なお、必ずしもこのような重篤な副反応が起こるというわけではなく、仮に副反応が起きたとしても、軽度の症状で終わる場合がほとんどです。

過去に問題があるとされたこともある日本脳炎ワクチン

日本脳炎の予防接種に関しては、これまでに副反応の可能性について様々な議論が繰り広げられてきました。

日本脳炎ワクチンにおいては、予防接種後に急性散在性脳脊髄炎(ADEM)の発症が問題になったことがあり、2005年に厚労省は日本脳炎の予防接種に対する積極勧奨を控える事態に。こうした措置が取られたのは、直接的な原因になったかどうかまでは分からなかったものの、日本脳炎ワクチンが原因であるということが否定できなかったためです。
なお、国や自治体が積極的に動かなかっただけで、定期接種から除外されたわけではありません。しかし、当然ながら副反応を危惧した多くのママが接種を見合わせる事態となりました。
日本脳炎ワクチンの接種時期をご説明した際に、接種回数が不十分な方がいると説明したのはこの時期にかかる年齢の方々です。

その後、2006年より、従来のワクチンから「乾燥細胞培養ワクチン」に変更されました。これにより、日本脳炎の予防接種によるADEMの発症率はほかのワクチンと変わらない程度に変化。これまでのワクチンにくらべ、「乾燥細胞培養ワクチン」は副反応の危険性が低いと言われています。

日本脳炎のワクチンは副反応の危険性がゼロというわけではありませんが、日本脳炎ワクチンのみがとりわけ危険性が高いというわけでもないというのが現状です。その後、2010年より、厚労省もワクチンの推奨を再開しています。

2012年における副反応の事例

日本脳炎の予防接種における積極勧奨が再開された後、日本脳炎に関しては2012年にも予防接種後の副反応をめぐる問題が発生しました。
2012年7月には接種後1週間で急性脳症で、また同じ年の10月に今度は接種直後に心配停止に陥り、命を落とした方がいらっしゃいます。これらに対しても、十分な審議が行われていますが、結局のところ日本脳炎の予防接種を受けた後での体調急変だったとはいえ、直接的な因果関係が解明されているわけではありません。

日本脳炎の予防接種が新しい「乾燥細胞培養ワクチン」に切り替わった後に起きている脳症や脳炎、ADEMなどの重篤な症例は、その半数が他の要因によって発生した可能性が高いとする医師たちの見識をまとめた調査情報があります。そのため、厚労省の判断としては、副反応を危惧させるこれらの事例が日本脳炎ワクチンの危険性を高めるものではないというのが結論です。

日本脳炎ワクチン接種に係るQ&A|厚生労働省
日本脳炎ワクチン接種に係るQ&Aについて紹介しています。 *こちらのサイトを参考とさせていただきました

副反応よりも怖いのは日本脳炎を発症するリスク

こうなると「本当に日本脳炎の予防接種を受けていいの?」「大丈夫?」というのが、母親の本音ですよね。
日本では日本脳炎を発症する人が少なく、日頃話題に上ることがないために軽視されてしまう可能性がありますが、万が一発症した際の死亡リスクは20~40%と非常に高いものです。なおかつ、特効薬もなく、後遺症が残る可能性が極めて高いのが日本脳炎です。日本脳炎を発症する方が少ないというのも、これまでに多くの方が予防接種を受けているからであり、接種状況によっては今後患者数が増えると見込まれているほど、現代でも罹患リスクの高い病でもあります。

こうしたことも踏まえ、厚労省や医師など専門家たちの間では、予防接種を受けた際の副反応のリスクよりも、日本脳炎にかかり重症化することのリスクが高いというのが一般的な見解です。
副反応と聞くと、怖い気持ちも当然あるかもしれませんが、予防接種とは本来子どもたちを重篤な疾患から守るためのものです。持病がある・服薬中である・最近の体調の変化なども併せて、不安な点は医師に十分に確認しましょう。たとえ安全性に問題がないという場合でも、ママが安心した状態で予防接種を受けることが大切です。