クループ症候群って?症状の特徴、救急受診のタイミングとは

発作のような咳、苦しそうな呼吸。これはただの風邪ではない。そういう風邪をお子さんが引いたことはありませんか。それは風邪の中でも「クループ症候群」と言われるものかも。聞きなれない「クループ症候群」というものがどういった症状なのか、苦しそうなときの対応はどうすればいいのかについて今回はお話したいと思います。

クループ症候群は風邪の一種

クループ症候群、というと新しい別の病気のように感じるかもしれません。

でも実はこれも風邪。ウイルス感染で風邪を引いた場合には咳、鼻水、熱、頭痛、関節痛と様々な症状がでますね。
クループ症候群の場合にはこれにくわえて喉の辺りの粘膜が分厚くなることで空気の通り道が狭くなり、そのために特徴的な咳が出たり、呼吸が苦しくなりやすくなります。

特別なものではなく、誰でもなりうる風邪の一種なのです。



クループ症候群の4つの主要症状

クループ症候群の症状は特徴的

風邪は風邪でも、クループ症候群の症状はとても特徴的。他の風邪との区別は比較的容易です。
症状は夜間に悪化しやすい、というのが困った特徴です。熱は出ることも出ないこともあります。

1. 犬の遠吠えのような咳

医学用語では犬吠様咳嗽(けんばいようがいそう)と言います。
まさしく、犬が遠吠えしているような、深く低い、長い咳が特徴です。受診されるお母さんも「変な咳をしている」と気づかれることも多いくらい特徴的で変わっています。

2. 息を吸い込みにくい

喉のあたりの気道の粘膜が炎症をおこして分厚くなるため、空気の通り道が狭くなるクループ症候群。結果として息を吸い難くなることがあります。

時に、息を吸うときにあわせてゼイゼイの発作が出ることもあります。これを吸気性喘鳴(きゅうきせいぜんめい)と呼びます。
軽ければ聴診器でないと聞こえませんが、ひどくなると横で呼吸をしているだけでもそのゼイゼイが聞こえるようになります。

3. 声がかすれる

喉が腫れるためにかすれ声になることがあります。
日常でも泣きすぎたり、大声を出しすぎたり、で声がかすれることはありますので、声のかすれだけではクループ症候群は疑いません。変な咳とともに声がかすれてくるようならクループ症候群かもしれません。

4. 呼吸が苦しく、胸が上下する陥没呼吸

気道の粘膜の炎症がひどく、空気の通り道が非常に狭くなってしまうと呼吸が苦しいために呼吸の仕方にも変化が現れます。
大きい子であれば自分で訴えたり、座って呼吸をしているときに肩で呼吸しているかのように肩が上下することでわかりやすいですが、小さな赤ちゃんだとわかりにくいこともあります。

そんな時には寝転んでいる赤ちゃんを裸にしてみるといいでしょう。
もしも呼吸の際に胸とおなかがベコベコと、シーソーのように交互に持ち上がったり、息を吸うのに時間がかかったり、普段以上に努力が必要なような状態、であるようなら呼吸が苦しくなってしまっている可能性があります。

喘息とクループ症候群は似ている?

喘息とクループ症候群はとても似ています。ともに発作的な咳、ゼイゼイ、呼吸苦、があるからです。

ただ決定的に違う点があります。
それは喘息の場合は「呼吸が吐きにくい、呼吸を吐くときにゼイゼイする」のに対し、
クループ症候群は「呼吸を吸いにくい、呼吸を吸うときにゼイゼイする」という点です。

それは炎症が起こる場所が異なるためです。クループ症候群は気道の上のほう、喘息はもっと下のほう、だからです。といっても酷くなってくると明確な区別はつき難くはなってきます。



クループ症候群になりやすい年齢

多くは生後2歳未満。ピークは1歳

クループ症候群になりやすいのは生後3ヵ月から5歳未満の子供達。
多くの子が生後2歳までにかかります。もちろん全くかからない子もいます。かかった子の中には再発する子もおり、再発が多いのは3〜5歳程度です。

その理由は、小さい子ほど元々気道が狭いから。大人になれば気道自身が広くなってくるので、多少炎症で粘膜が分厚くなっても余り影響しません。ですので、クループ症候群も成長とともになりにくくなっていきます。

クループ症候群の治療法

風邪にしては独特なクループ症候群。
その治療のメインは「喉の炎症を抑えて発作を抑えること」です。

吸入

喘息のときにも吸入といってモクモクと蒸気になった薬を吸いますが、クループ症候群のときも同じように薬を蒸気にして吸います。

多くは1〜2回繰り返すことでひどい発作やゼイゼイ、呼吸の苦しさはなくなっていきます。
喘息と同じです。ただ喘息のときには使う薬の内容が異なりますので、自宅で喘息用の吸入器を持っている場合にもいつもと違うと感じたら必ず受診する必要があります。

ステロイドに内服などをすることも

気道の粘膜の腫れがひどいとき、なかなか呼吸の苦しさやゼイゼイが治まらないとき。そんな時にはステロイドの内服を処方されることもあります。

時々「ステロイドって大丈夫?」と心配されるお母さんがいますが、クループの場合には飲んでも数回。その数回で大きな問題になることはないので大丈夫です。ステロイドは炎症を抑える効果に優れており、とても有効な薬です。

ひどい場合には入院になることも

吸入やステロイドの使用でも症状がなかなか改善しない場合には入院になることもあります。夜間救急などを受診する際には、入院になるかも、という心の準備もしておくといいかもしれません。

症状が軽い場合は普通の風邪と同じ

クループ症候群でも当然、症状の程度には差があります。とても軽いとき、その場合には普通の風邪と対応は変わりません。痰を切る薬や咳を楽にするお薬、などで対応します。

クループ症候群、救急受診が必要な時はこんな時

クループ症候群を疑った場合、皆が皆救急受診の必要があるわけではありません。

・呼吸が苦しそう、うまく吸えない
・呼吸の際に肩が上下する
・胸とおなかがベコベコするような呼吸をしている
・咳がひどくて全く横になれない
・呼吸がゼイゼイしている

などの場合に受診が必要です。小さな赤ちゃんの場合には呼吸をお休みしてしまうこともあるので、顔色などもあわせてみるようにしましょう。

クループ症候群、なりやすい人はいる?

風邪が毎回軽い人、毎回咳がひどくなる人、といるように、クループ症候群に1回もかからない子がいる一方でやはりクループ症候群を何回も繰り返す子はいます。なりやすい子、はやはりいます。

クループ症候群の症状が出始めたら、早めの受診が大切

クループ症候群は基本的にはそれほど重篤にならずに治ることが多い病気です。でも、中には入院が必要になったり、長引いたり、という子はいるので注意は必要です。
もしもクループ症候群を疑った場合、軽いけれどもゼイゼイをしていたり呼吸の仕方がおかしい、と感じたら早めに医師に相談しましょう。症状が軽いうちに対処する、ということは大事なことです。

でも過度の心配は必要ありません。多くの子が数日、長くても1週間程度で治ってきます。今回紹介したクループ症候群のポイントを抑えておくと、かかった場合にも焦らず安心ですね。