幼稚園の基礎を作ったフレーベルの教育思想とは?その目的と内容

どこの幼稚園でも自然と触れ合う庭があり、子どもたちの楽しそうな歌が聞こえてきて、たくさんの笑顔があふれています。今回は、この幼稚園のカタチをつくったと言われているフレーベル教育の目的や内容をご紹介します。

フレーベルは幼児教育の父

「幼稚園」という言葉は誰が作ったものなのでしょう。
そう、この言葉を作ったのは、フリードリヒ・フレーベルというドイツの教育学者です。彼が作った、ドイツ語で「Kindergarten(キンダーガルテン)」という言葉を日本語に翻訳して、「幼稚園」という言葉が生まれたのです。
フレーベル氏は、幼稚園という言葉だけでなく、幼児教育の基礎となる思想や形を作り上げました。
日本で最初の幼稚園もフレーベル氏の幼稚園を模範としており、現在の幼稚園も、フレーベル氏の思想をもとにしているものが多いと言われています。



フレーベルの幼児教育の目的

フレーベル氏は、「人間は幼児期から人類の一員であると認識され、保育されるべきである」と考えました。そのために、幼少期からの教育が必要だと考えたのです。
しかし教育とは言っても、教師や親が何かを教えたり干渉したりすることを良しとせず、子ども自らの力で、自然と成長させていくことを大原則とし、また目標としていました。
まずは、その具体的な目的をご紹介します。

自分の特性を表現する力を身に付け、成長させること

◆欲求や感情をありのままに表現する
◆親や教師は積極的に指導するのではなく、見守る、もしくは一緒に楽しむ
◆自然の中でたくさん遊んで体を発達させる

こういったことを通して、子どもが自ら学び、成長することが重要だとされています。
この前提には、子どもは生まれながら善の存在である、というフレーベル氏の考えがあります。
つまり、純粋で素晴らしいもであるからこそ、その欲求や感情を素直に表現させるべきだということです。

自分が生きている世界を認識すること

フレーベル氏は、子どもが大人と関わったり、他の子どもと遊んだりすることで、自分の生きている環境を理解することが必要であると考えていました。
そして、そういった外部との関わりを通じて、「自分は個であり、自分の生きている世界の一部である」と子どもに認識させることをその教育の目的の一つに挙げています。

フレーベルの幼児教育の内容

フレーベル氏が生まれたドイツのオーベル・バイスバッハには、フレーベル氏が作った最初の幼稚園が今も残っています。そこでは彼の教育理論に基づいた幼児教育が実践されています。
こちらでは、実際にフレーベル幼稚園で行われている活動を見ていきましょう。

庭で遊び庭を育てる

フレーベル幼稚園の庭は緑にあふれていて、砂場や花壇などが充実しています。

◆庭の中で自然に触れながら遊ぶ
たくさんの植物に触れながら、かくれんぼや鬼ごっこを楽しむことで、観察力や知識をも養います。

◆子ども自身が草花を育てる
現在はクラスごとに分かれていますが、フレーベル幼稚園ではもともとは、1人につき1つの花壇が与えられていました。子どもが自分で自然を慈しむことで、自然の不思議や、いのちとはどんなものなのかを学んでいきます。

感覚と感性を育てる歌あそび

フレーベル氏のあそび歌は、大人と子どもが一緒に歌いながら遊ぶものです。そして次のような特徴があります。

◆大人のまねをしながら体を動かして歌う
手や足を動かしてリズムに乗ることが、運動器官の発達を促し、丈夫な体を作ります。またそれが、子どもの感覚や感性を育てると言われています。

◆歌詞にはポジティブな意味が含まれている
「たのしい」・「思いやり」・「うれしい」といった、心が上向きになるような言葉が歌詞に使われています。子どもは自分が大切にされていること、慈しまれていることを知り、子ども自身の感謝の心も育っていきます。

こうしたあそび歌を歌うことで、大人も子どもも精神的・肉体的に健全になっていきます。

恩物(フレーベルの積み木)あそび

フレーベル氏は、「神様からの贈り物」と称した教育のための遊具を考案しました。日本語では「恩物(おんぶつ」と翻訳されています。
恩物は、20種類に分かれており、そのうちのいくつかは、さまざまな形をした積み木です。

◆多種多様な形と大きさ
円柱・立方体・三角柱・直方体の形をしており、その寸法も精密に計算されてつくられています。
積み重ねたり、きれいに専用の箱に詰め込むことができるので、秩序や一体感を体験できます。

◆段階を経た遊び方
1.横に並べる
2.積み上げる
3.建物などの建築物をつくる
といった順で遊び、より難しいものへと挑戦していきます。

◆片付けない
積み木専用のスペースが作られており、子どもたちが作ったものは、1日の活動が終わってもそのまま。次の日も途中からまた作ることができます。
継続して1つのものをつくることで、集中力が身に付くのです。

恩物には、積み木の他にも、カラフルで糸の付いた球体・棒きれ・色のついた板などがあります。
これらの恩物を子どもの好きなように使って遊ぶことで、大人に教えられることなく、数的概念や理論的思考を学びます。そしてそれが、子どもの表現力や思考力を育てることにつながるのです。



子どもはあそぶことで人生を学ぶ

フレーベル氏の幼児教育をひも解いてみると、現在の幼稚園の活動と共通する点もたくさんあります。
特に、お歌で遊んだり、お外の自由遊びの時間があったりというのは、どこの幼稚園でもよくみられる光景ですよね。
そして、「遊ぶことで学ぶ」とは「経験することで理解する」こと。まさに百聞は一見にしかず。
子どもに対しては、ついつい手取り足取り教えたくなってしまうものですが、何事も必要以上に手出しをせずに、自分で体験させてあげることが大切なのかもしれません。
もしフレーベル教育を取り入れたいなら、まずは、見守ることからはじめてみてくださいね。

のびのび子育て
※参考図書 ▼幼児教育に関してはこちらの記事もご参考に 「シュタイナー教育」は、子どもが自由な意思を持って生きていくための教育です。今回は、音楽や絵画などの芸術教育に特化し、「のびのびした教育」ともいわれるシュタイナー教育の思想と内容をご紹介します。ちょっと専門的になってしまいますが、日々の子育てでも実践できる知恵がたくさんあるので、ぜひ参考にしてみてくださいね! 世界的にもその効果が認められ、多くの国の教育機関で取り入れられているモンテッソーリ教育。「なんだか子供の教育に良いようだけど、今さら人に聞くのも…」、「幼稚園選びでモンテッソーリ教育導入なんてところがあったけど、どういうことをするの?」といった疑問をお持ちのママに、モンテッソーリ教育をわかりやすくご紹介します。