不妊治療の治療期間からその成功率まで

いまや検査を受けたことのある夫婦は6組に1組と言われるほど、メジャーになりつつある不妊治療。妊娠を考えはじめた人なら、誰もがその可能性を想像したことがあるはず。けれどその一方で、治療期間や成功率など、実際のところはよくわからない…という人も多いのでは?今回は不妊治療に関しての基本的な疑問とその答えについてご紹介します。

1. どれくらいの人が治療を受けているの?

不妊治療の患者数は約50万人

晩婚化の影響で子どもを欲しがる40代女性が珍しくない今、不妊治療を受ける人の数は年々上昇傾向にあります。こちらは、厚生省労働省のHPに記載された平成16年の「不妊治療の患者数・治療の種類等について」のデータです。

不妊治療の患者数

(1) 不妊治療患者数(全体) 466,900人(推計)
(2) 人工授精 66,000人(推計)
(3) 体外受精 48,944人(実数)
(4) 顕微授精 29,582人(実数)

出典:

www.mhlw.go.jp
一般的には、自然に近い方法から人工授精や体外受精、顕微授精などのより高次の治療(生殖補助医療)に進んでいく不妊治療。

ところが上のデータを見ると一番患者数の少なくハードルの高かった「顕微授精」が、平成22年の時点には患者数が約3倍の90,677人となっており*、この8年間で不妊治療自体がいかに普及しているかが垣間見えるデータとなっています。

*厚生労働省HP内資料 「不妊治療をめぐる現状」

2. 治療を受けられる病院は?

長期になるとも知れない不妊治療だから、その病院選びは重要なポイントです。以下に紹介する3つの病院タイプを知ったうえで、通院のしやすさなども踏まえ、自分に合った病院を選んでみてくださいね。

総合病院

公立病院や大学の付属病院などの大病院には、不妊専門の外来が備えられているところも。設備が整っている一方で、曜日や時間によって担当医師が変わったり、待ち時間が長かったりするなどのデメリットがあります。

専門クリニック

検査や治療までの流れが早い、不妊専門のクリニック。エキスパートならではの信頼感がありますが、能率化された診断法ではメンタルケアが期待できなかったり、妊娠率を上げるために高次の不妊治療に誘導されることも多いそう。

産婦人科

一般の産婦人科は、子宮内膜症や更年期障害、ガンといった、さまざまな症状・年齢層の患者に対応しています。不妊治療に力を入れているかどうかは、病院によってまちまち。ただし、自分が妊娠可能かどうかのチェックは最低限受けることができるので、まずは一般の産婦人科で相談してみるのもオススメです。

3. 治療の種類は?

「不妊治療」と一口に言っても、その方法は自然に近いものから最新技術を用いたものまでさまざま。順序としては「タイミング法」から入っていき、経過を見て人工授精や体外受精、顕微授精などの高次治療へと進んでいきます。

タイミング法

排卵のタイミングにあわせセックスする方法です。排卵後の半日~1日間で卵子と精子が出会うことで妊娠成功率が高まるという原理を利用した、もっとも自然に近い治療法と言えるでしょう。基礎体温を測ることで自分で予測することもできますが、超音波検査のほうがより正確に排卵日を把握できます。

人工授精

排卵日に合わせ、パートナーからマスターベーションで採取された精子を子宮内部に注入する方法です。注入には先端の丸まった授精針を使用し、その後20分ほど安静にします。痛みはなく、妊娠した後は自然妊娠といたって同じ経過をたどります。

高度不妊治療

「体外受精」「顕微授精」「凍結胚移植」と種類がわかれるこの方法。その詳しい違いは以下の通りです。

・体外受精…卵子を体外に取り出し、培養室で受精させてから子宮に戻す方法
・顕微授精…精子の状態がよくない場合に、精子を1つだけ選び、卵子に直接注入する方法
・凍結胚移植…受精卵を一度凍結、次の周期に戻す方法

4. 治療の期間と費用は?

治療期間は人によって千差万別

不妊治療は妊娠した時点で治療が終わるため、その期間はと言うと「人によってさまざま」です。タイミング法を試しただけで成功する人がいれば、人工授精、体外受精へとステップを進めてようやく妊娠する人も。30代前半までなら、まずはタイミング法で自然に赤ちゃんを授かるのを待つこともできますが、35歳を過ぎると妊娠能力は急速に低下するので、同じ治療法で結果を得られない場合には違う治療法を検討したほうがよいでしょう。

目安は初心検査で1万円、人工授精が2万~3万円、体外受精が30万~50万程度

一般的に「不妊治療は高くつく」というイメージがありますが、治療レベルにより、費用も大きく異なります。とは言え、不妊治療のほとんどは保険治療の適用とならないので、自己負担となるうえに施設によって費用もまちまち。長期的な治療となったら、ある程度の出費を覚悟しなくてはなりません。気になる費用の目安としては以下の通りです。
・初診検査…1万円程度
・人工授精…2~4万円程度
・体外受精…30~50万円程度
【ここがポイント】
体外受精、顕微授精には「特定不妊治療助成制度」と呼ばれる制度があり、需給対象に該当すれば治療費が戻ってきます。初年度は45万円、2年目以降は30万円が戻ってきますが、自治体によっては所得制限がある場合も。この制度の利用を考えている人は、それぞれの自治体に直接問い合わせてみてはいかがでしょうか?

5. 不妊治療の成功率は?

人工授精:成功率5~25%程度

医療機関によって差があり、成功率は5~25%ほどと言われています。

体外受精:成功率15~40%弱

子宮に戻した受精卵が順調に育つ可能性は15~40%ほど。ただし、卵子の状態が悪い、採卵しても受精しない、といったケースが起こる場合もあるので、実際の成功率はもう少し低めと捉えてよいでしょう。

顕微授精:成功率50%程度

精子1個を卵子に直接注入するこの方法は、一般の体外受精よりも成功率が高く、一部では50%にも及ぶとのデータがあるそうです。

凍結胚移植:成功率30%超

移植に適したタイミングを選べるため、妊娠する確率も上昇します。あるデータでは、凍結せずに移植した場合の成功率が20%ほどなのに対し、凍結胚移植では30%を超えるそうです。

6. 通院の頻度は?

妊娠するためには排卵のタイミングを見極めることが重要なポイントとなります。卵子の状況を正確に把握するために、排卵前に2~3回と排卵後の通院が理想的です。

7. 通院は夫婦一緒に行うもの?

不妊症の原因は男女半々にあるため、初診は夫婦一緒にかかるのが理想的。その後の検査は、女性の生理周期にあわせて行うので女性だけの通院となることが多いでしょう。ただし、人工授精や体外受精は精子を男性側から採取する必要があるので、男性の通院ももちろん必要です。

8. 治療で使う薬の副作用は?

卵巣を刺激し、複数の成熟卵胞をつくる「排卵誘発剤」は、子宮内膜が薄くなるといった副作用があり、着床率が低下することがあります。長期の服用については、医師と相談してから決定しましょう。また、頭痛や胃痛、吐き気、めまい、倦怠感といった症状を訴える人もいるそうです。もし異変が見られた場合には、そのまま見過ごさず、医師に相談してみてくださいね。 不妊治療についてのイメージは膨らみましたか?女性の場合は、やはり何といっても年齢がカギ。もし自然な夫婦生活を送っているのになかなか授からない場合には、早い対処が吉です。これまでに紹介した内容を頭の片隅に置いたうえで、まずは初回検査から受けてみてはいかがでしょうか?