シュタイナー教育とは?自由な人間に育てるための教育の目的や内容について

「シュタイナー教育」は、子どもが自由な意思を持って生きていくための教育です。今回は、音楽や絵画などの芸術教育に特化し、「のびのびした教育」ともいわれるシュタイナー教育の思想と内容をご紹介します。ちょっと専門的になってしまいますが、日々の子育てでも実践できる知恵がたくさんあるので、ぜひ参考にしてみてくださいね!

シュタイナー教育の目的と特徴

オーストリア出身の思想家、アドルフ・シュタイナー氏によって提唱された教育思念やその実践方法のことを、日本ではシュタイナー教育と言います。
シュタイナー教育には、他の教育法とは大きく異なる特徴があるので、まずはそちらをご紹介します。

シュタイナー教育の目的は「自由な人間になること」

シュタイナー教育は、「自由への教育」と言われています。自由とは、勝手、気まま、というような意味ではありません。自信を持って自分で判断して行動できる、そういった意味での自由な大人になるための教育なのです。
そのため、シュタイナー教育では、ひとりひとりの子どもの個性を尊重し、社会の中で自分らしさを発揮できる人間性を育てることを目標としています。

シュタイナー教育を受けた人の特徴~自由でおおらか~

◆劣等感や優劣感を持たない
他人の価値観に依存せず、自分の価値観を大切にします。

◆上下関係にこだわらない
上司に対して卑屈になったり、必要以上に媚びへつらわず、後輩に対しても威張ったりしません。

◆ためらわずに転職できる
社会に適合できないというわけではありません。さまざまな可能性にトライし、行動する力を持っています。

◆芸術家や研究者、建築設計業などに進む人が多い
全ての人がそうではありませんが、こういった職に就く人が多い傾向にあるといわれています。

7年ごとに教育の転機が訪れる

シュタイナー氏は、人間の成長を7年ごとに分けて考えました。それぞれの年齢の発達に合った教育プログラムを実践することで、「思考の力」・「感情の力」・「意志の力」のバランスが取れた人間に育てます。

◆0歳~7歳…意志のもとをつくる
この時期に大切なのは、体を作ること。模倣による肉体的な体の成長と、健全な五感の発達を目標としています。それが将来の意志力や行動力のもとになるといわれています。

◆7歳~14歳…感情のもとをつくる
感情を発達させるために、芸術を体験させる機会が増えていきます。算数や理科といった学問を学ぶときでも、芸術体験として学べるような工夫がされています。また、主観的にしか見られなかった世界を客観的に見られるようになる時期でもあるので、現実を見る目を育てる手助けも必要です。

◆14歳~21歳…思考力を育てる
前段階で「意志の力」と「感情の力」を育てて基礎を作った上で、知識や理論を学ぶことで、思考力が身に付きます。



シュタイナー教育の「4つの気質」とは

人間の気質は、生まれながらにして持っている個性と、親からの遺伝の混合で作られると考えたシュタイナー氏は、気質を4つに分類しました。
また、子どもはひとつの気質にのみ属するのではなく、4つの気質を持ち合わせているので、それぞれに合った接し方が必要だと考えられています。

胆汁質~プライドが高い~

【特徴】
◆自己主張が強く、意志がはっきりしていて周囲と衝突しやすい
◆意志が通らないとかんしゃくを起こす
◆決断力や判断力がある
◆認められることで、行動力や集中力を発揮する

【接し方】
関心を示してあげることが必要です。また、少し難しい目標を与えてあげるといいでしょう。

憂鬱質~内向的~

【特徴】
◆物事をネガティブにとらえがち
◆社交的ではなく、孤独で傷つきやすい
◆懐疑的
◆自分への関心が高い

【接し方】
つらい体験をした人になつく傾向があるので、つらい経験を共有し、共感すること。そういった人との触れ合いがないと、孤独感を高めてしまうので、注意が必要です。

粘液質~マイペース~

【特徴】
◆おっとりしていて休む・寝る・食べることが好き
◆注目せず放っておいてほしい
◆時間はかかるが、指示されたことは的確にこなす
◆やる気が長続きする

【接し方】
さまざまなことに気づき、関心や興味持つことが大事ですが、子どもにそれを教えてはいけません。その姿を見せることが好ましいとされています。

多血質~好奇心旺盛~

【特徴】
◆さまざまなことに関心を示し、長時間集中することができない
◆楽天的で肯定的
◆明朗快活で人当たりがよく、やさしい
◆感情に対して敏感

【接し方】
気が散って落ち着かないことがあるので、ゆったりしたペースで接してあげることが必要です。逆に、わざと子ども以上に落ち着かない態度をとって、それに自ら気づかせるように仕向けるという手段もあります。

幼児へのシュタイナー教育の内容

シュタイナー氏は、幼い子どもへの教育の重要性も説いていました。しかしその理論を確立する前に亡くなってしまったので、彼の意志を継いだ弟子たちが、その理念に基づく幼児教育の手法を完成させました。

自然の中で子どもを育てる

◆自然素材にこだわる
シュタイナー教育を実践している施設は、自然素材をふんだんに使って作られています。木の香りやぬくもりが感じられたり、子どもが安心する淡い色づかいで塗られていたりと、さまざまな工夫がされているのです。
お庭の遊具は少なめで、自然と触れ合えるような場所です。

◆着る物や食べるものも自然素材
添加物のない食べ物を食べさせたり、化学繊維を使っていない、綿・麻・絹・毛などでできた服を着せたりします。

◆テレビを見せない
音楽を聞かせる・お話を聞かせるといったことは、メディアに頼るのではなく、本物の肉声で聞かせ、語ることが必要だとされています。

自由なお外遊び

決まった遊びを大人が教えたりはせず、子どもが自由に体を思いっきり動かして走り回ります。
お庭に落ちている松ぼっくりを拾ったり、お砂をいじったり…、こういった自由な活動が、子どもの想像力を育てます。

ぬらし絵~三原色を体験する~

水をたっぷりと含ませた紙に、水彩絵の具を落としていく絵のことを、ぬらし絵と言います。

◆使う絵具は「黄」・「青」・「赤」の三原色だけ
◆混ざり合ってさまざまな色を生み出し、その美しさを体験させる
◆テーマを与えたり、指導をしたりはしない
◆自由に楽しませる
◆子どもの想像力を最大限にふくらませる

メルヘンを聞かせる~物語を自分の体験にする~

シュタイナー教育では、幼児期にメルヘン(童話)を語って聴かせます。人類の歴史の中でメルヘンが誕生した時期を、人間の成長に照らし合わせると、ちょうど幼児期にあたると捉えているからです。

◆絵本や紙芝居を使わない
絵を見てしまうと、子どものイメージが限定されてしまうので、何もない状態で子どもに意識を向けてお話をします。

◆淡々と語る
物語に子どもが入り込んで一体化することを邪魔しないために、過剰に抑揚をつけたり、身振り手振りを使ったりということは極力しません。

◆子どもの年齢に合ったメルヘンを語る
子どもが楽しめて、お話の世界と自分の世界だと感じられるものを選びます。物語が子どもにふさわしいか選ぶ方法は、子どもが喜ぶかどうか。もし泣いてこわがるようならば、まだその物語を聞くには早い、ということです。

音楽~聴く力を育てる~

worshipblues
◆CDを使わない
「聴く器官」を育てるために、なるべく機械を通した音は使いません。やさしく暖かな声で、静かに語りかけることからはじめます。

◆ライアーという楽器を使う
人類の歴史の中で一番古い「リラ」という弦楽器をもとにして作られています。ライアーの音階は、「レ・ミ・ソ・ラ・シ」という「ド・ファ」の音を除く「ペンタトーン」という音階で、これは、日本のわらべ歌とも共通するものです。

こうした手法を通して、子どもの聴く力を発達させます。また音楽のリズムを体験させることで、生活のリズムや呼吸のリズムを整えることが目標です。



のびのびと個性を育てる自由への教育

シュタイナー教育を導入している幼稚園や保育園はまだまだ多くありません。いろいろな条件もあるので、実践したくてもなかなか難しいかもしれません。
しかし、気質に合わせた接し方や、自由に絵を描かせるといったやり方は、ママにもトライしやすいですよね。「こんな風に育ててみたいけど、うちでも出来るかしら」と思ったら、まずは、「いいとこどり」・「できることから」試してみてくださいね。

シュタイナー教育入門
参考図書