緊急帝王切開になるのはどんな時?費用は?疑問まとめ

予定していなかった帝王切開。「緊急帝王切開」はどんな時に行われる?費用や傷口について…わからないと余計に不安になってしまうもの。そんな緊急帝王切開について疑問をまとめました。

緊急帝王切開は赤ちゃんとお母さんを守るための手術

緊急帝王切開は、以下の2つの状況で行います。

1. 妊娠中、分娩中を問わず、何らかの原因で赤ちゃん、あるいはお母さんが危険な状態となり、緊急に赤ちゃんを娩出しなければならない、ないし分娩を終了してお母さんの安全を確保しなければならない場合

2.陣痛が来ているのに、回旋がうまくいかない(回旋異常)、児頭が骨盤より大きい(児頭骨盤不均衡)などの理由で、分娩が進行せず、経腟分娩を期待できない場合

つまり赤ちゃんとお母さんを守るための手術なのです。



緊急帝王切開になる主な状況は?

では具体的にはどのような場合に緊急帝王切開の適応になるのでしょうか?

1.赤ちゃんの心拍が低下した時

お産の時には陣痛の度に子宮が縮まり、へその緒が圧迫され、酸素不足になります。お腹の中の赤ちゃんは、陣痛が起きている1分間程度なら、酸素の供給がなくなっても大丈夫なようにできています。しかし、もともとが小さい赤ちゃんで体力がなかったり、へその緒が絡まっていて陣痛以外の時でも酸素供給が絶たれたり、あるいは、なんらかの先天性疾患を持っていたりすれば、酸素不足が深刻になる場合があります。
そうなると、赤ちゃんの心拍は段々遅くなります。通常では110〜160あるものが、時には60以下にまで下がります。この場合、緊急帝王切開という処置が取られます。

2.赤ちゃんの姿勢や向きが悪いとき

もとから逆子だと分かっている場合は、計画的な帝王切開が望ましいですが、ごく稀に、お産の進行中に赤ちゃんの向きが変わってしまうことがあります。赤ちゃんが逆さまではなく横向きになっていた場合、帝王切開以外に道はありません。もしくは、通常赤ちゃんは頭から産道に降りて来るものが、顔から降りてきたり、手が先に降りてきたりという場合も、帝王切開が行われることがあります。
赤ちゃんが逆子でなくても、回転しながら下りてくるときに向きが悪くうまくいかないときにも適応になります。

3.生まれる前に胎盤がはがれてしまったとき

胎盤は、母体から赤ちゃんに酸素や栄養を送る役割を果たしています。なので赤ちゃんが生まれるまでは機能していなくてはなりません。しかしまれに、生まれる前になんらかの影響で胎盤の一部もしくは全部がはがれてしまう場合があります。この場合、赤ちゃんだけでなく、子宮の中に大量出血を起こすので母体も危険な状態になります。

4.子宮口が開かないとき

通常は、陣痛が強くなるごとに子宮口が開いていって、最終的には10センチまで開きます。そうなって初めて、赤ちゃんが出て来ることができるのです。ところが、陣痛が弱かったり(微弱陣痛)、赤ちゃんの頭がお母さんの骨盤よりも大きいなど、何らかの影響で子宮口が開かなくなってしまう場合があります。たとえ9センチまで開いていたとしても、全部開かなければ下から産むことはできません。

5.母体に深刻な問題が起きたとき

ごく稀に、分娩中に母体が脳出血を起こしたり、薬品などの影響でアナフィラキシーショックを起こすなど、お産の進行が不可能になる場合があります。母体に蘇生術が必要な場合、大至急お腹の赤ちゃんを取り出す必要がありますので、緊急帝王切開が行われます。

帝王切開の傷口は残るの?

赤ちゃんを取り出すためにおなかの皮膚を縦か横に10~12cm切開します。切開方法については病院や医師の方針、帝王切開の原因、麻酔方法や緊急度により決定されますので、事前に確認してみてください。なお、お腹の大きさが妊娠前と同じに戻ると共に、お腹の傷口も小さくなります。3ヵ月程度で赤みがとれ、1年くらいで目立たなくなります。ただし、体質によってはまれにケロイドが残る場合もあります。

●横切開
最近はコスメティックの観点から、手術跡が下着や水着に隠れるようにヘアラインのすぐ上を横に切る方法も行われています。

●縦切開
おへその辺りから恥骨に向かっておなかの中心を縦に切開します。
出血や手術時間が少なく、赤ちゃんが早く取り出せるため緊急な場合は縦に切ります。横に切ったときに比べ、若干傷跡が目立つようです。 以前に帝王切開などでお腹を切開している場合、前の傷跡を切り取るように切開します。



帝王切開の後は痛くない?

帝王切開後は、後陣痛や傷の痛みなどを感じる方が少なくありません。しかし、術後はたくさん動く方が子宮の戻りも早くなるので、痛みがあって大変でも、痛み止めを上手に使いながら早期に離床して、 歩くなど体を動かすようにするとよいでしょう。
痛みどめは麻酔の方法によっては持続的に注入するタイプの物や、点滴や座薬でコントロールする場合もあります。

帝王切開にかかるお金ともらえるお金

手術となると、お金のことも心配になりますよね。次はかかるお金ともらえるお金について紹介します。

かかるお金

「保険診療費用」は、地域差はほとんどなく費用の差もあまりありません。「自己診療費用」は、施設や地域により差があります。また、帝王切開は健康保険が適応されますが、次の条件により費用は大きく異なります。

●施設(公立病院・私立病院・個人産院など)
●地域
●大部屋あるいは個室
●入院日数
●入院時期(年末年始の入院など)
●出産時間(深夜の出産など)

帝王切開は経腟分娩と比べて入院期間が長くなることが多く、結果として全体の自己負担の金額は経腟分娩と同等または多少高くなることもあります。具体的な金額は医療機関により異なりますが、約40万~100万円です。
しかし、帝王切開による出産には健康保険が適応されるため、ある一定の金額を超えた場合は高額療養費の対象となります。高額療養費の対象となれば、その分戻ってくるお金も多くなります。

もらえるお金

医療保険については加入状況によって違うのですが、もらえるお金で代表的なものは以下の通りです。

●出産育児一時金
●高額療養費
●医療保険の給付金
●医療費控除(確定申告)

帝王切開したら、次の子の妊娠や出産は?

帝王切開になったら次の子はいつごろ、どのような出産になるのでしょうか?

次の子の妊娠のタイミング

帝王切開のあとは、次の妊娠まで1年以上空けるようにしましょう。これは帝王切開で傷ついた子宮が治るまでの期間と考えてください。1年以内に妊娠した場合は医師に相談してください。出産後は生理が再開していなくても妊娠の可能性があるため、避妊をしなければいけません。

次の子の出産方法について

帝王切開で出産した人が、次に経腟分娩を行うことをVBAC (ブイバック)と言います。VBAC時のリスクとして子宮破裂があります。以前に帝王切開をしていると子宮に傷が残っています。この切開創の部分は他の組織よりも弱いため、子宮筋が収縮した際に破れる危険があります。そのため多くの医師が、VBACによる出産よりも反復して帝王切開で出産する方が安全と考えています。
また、VBACはどの病院でもできるわけではなく、子宮破裂などのリスクに対応できる病院で行うのが望ましいでしょう。

お母さんは悪くない

緊急帝王切開になった方の多くが「普通に産んであげられなかった」「バースプランを考えていたが実現できなかった」と自分を責めてしまいます。また、周りの無理解で心無い言葉をかけられるなど、傷つくことが多いようです。
しかし、緊急帝王切開は赤ちゃんとお母さんを守るための選択なのです。お母さんが命がけで出産したことに何のかわりもありません。
これから出産を迎える妊婦さんには、緊急帝王切開について知っていただき、可能性の一つとして頭の隅に置いておいてほしいと願います。