インフルエンザの予防接種を勧めたい本当の理由

毎年冬に大流行するインフルエンザ。高熱が長々と続くとても辛い風邪ですね。近年ではタミフルなどの抗インフルエンザ剤の出現で回復までの期間がぐっと短くなりましたが、でもやはりかからないにこしたことはありません。9月後半より徐々に始まるインフルエンザ予防接種。そもそも一体どんなワクチンなのかを考えて見ましょう。

そもそもインフルエンザはどんな病気なのか

インフルエンザは高熱になりやすい風邪

「インフルエンザといえば高熱」と言っていいほど、高熱メインの症状が1週間程度続くのがインフルエンザ。
そのほか、他の風邪と同じように咳や喉の痛み、頭痛や関節痛が割と急激に出るのが特徴です。

今はタミフルやリレンザなどの治療薬のおかげで数日で回復することも増えてきましたが、そういた薬がない頃は1週間程度はかかり、大変辛いものでした。
症状が辛いだけではなく、インフルエンザで問題になるのが「重症化」。肺炎や、それよりももっとこわい脳症という状態になると最悪命に関わる場合もあります。
とても怖いですね。

インフルエンザ予防接種はそういったことを減らすために開発されたワクチンです。



インフルエンザ予防接種を受けるべき理由

インフルエンザ予防接種の目的は重症化予防

4種混合、麻疹風疹など、一部の予防接種が「感染しないこと」を目的に打たれている中、予防接種をしてもかかってしまう病気、はいくつかあります。水痘やおたふくがそうですが、インフルエンザも実は同じです。

インフルエンザ予防接種の目的はあくまでも感染を防ぐことでははなく、「かかっても症状が軽く済む」ことや「肺炎や脳症などへの重症化を防ぐ」ことが目的。
特に脳症になった場合には後遺症を残したり死亡することもあるので、それを防ぐことはとても大事なことです。

インフルエンザに感染しても「発症を抑える」効果がある

インフルエンザ予防接種には感染を防ぐ効果はありません。ですが、仮にインフルエンザに感染しても、そこから症状が出る「発症」を抑える効果を期待できます。
正確な数値を出すことは難しいでしょうが、とある研究ではその確率は20-50%とも。

症状が特に辛いのがインフルエンザですから、ウイルスに感染しても症状がでない、というのは有り難いものですね。

インフルエンザの予防接種を受けるべき人は?

ワクチンの効果を上げる1番の方法はやはり皆が受けること。
しかし中には受けれない人や赤ちゃんもいますし、受けても感染予防にならないインフルエンザワクチンの場合には個人の状況に合わせて必要度も変わってきます。
特に予防接種を受けるべきなのはどんな人でしょうか?

1.持病がある場合

予防接種接種を積極的にしたほうがいいのは

65歳以上の高齢者
心臓・肺・腎臓の慢性疾患を持つ人
喘息患者
糖尿病患者
免疫不全患者
重症の貧血患者等 など。

つまり子供であれば生まれつきの病気があったり、気管支喘息と診断されたことがあるお子さん、お薬や病気の影響で免疫力が落ちているお子さんが特にインフルエンザに気をつける必要があり、予防接種を受けることが推奨されます。

2.妊娠している人

妊娠中には薬や予防接種を避けたい、というのが多くのプレママさんたちの共通した思い。

でも、メリットデメリットをしっかり知ると、打てる予防接種・飲める薬はいろいろあるものです。インフルエンザ予防接種もその1つ。

インフルエンザ予防接種を受けることで胎児への影響があるという報告はありません。つまり安全に受けることができます。
むしろ、妊娠中にお母さんが予防接種を受けることで、それでできた抗体が赤ちゃんへ胎盤を通して渡り、生まれてくる赤ちゃんが出生後数か月間の免疫を持つことができるということがわかっています。

逆に、妊婦がインフルエンザ感染してしまうと早産になったり低出生児となることがあるので、そういったリスクを下げることもできます。
妊娠前に打てればもちろんのこと、妊娠中でもインフルエンザが流行する前に予防接種を受けて自分と赤ちゃんを守りたいものですね。

3.川崎病などでアスピリンを飲んでいる人

アスピリンは解熱鎮痛剤です。
ただ子供にも大人にも、解熱鎮痛剤、と言う目的だけでは使わない薬です。

ただ、川崎病や他の病気でアスピリン治療を受けていることがあります。インフルエンザにかかった時にアスピリンを飲むととライ症候群というものになることがあるので、そういう場合にも予防接種が必須になってきます。

※ライ症候群:インフルエンザや水疱瘡にかかっているときにアスピリンを服用することで脳症になったり肝臓障害を起こし、ひどいときには命に関わることもある病気。

当事者だけでなく、家族や周りの協力も必須

せっかく本人が感染予防、重症化予防に努めても、周りが感染してしまえばやはり感染するリスクは高まります。

インフルエンザ予防接種自身には感染を防ぐ効果はなくても発症を防ぐ効果はあります。つまり感染が成立しても症状が出る前に押さえ込むことが出来る効果、も一部あるのです。
ですから本人だけでなく、家族や保育園や幼稚園、介護施設や医療機関に勤める人は特に、自分と周りへの配慮をこめて予防接種を受け、社会全体でインフルエンザから身を守ることが大事です。



インフルエンザ予防接種は何歳頃から受けられる?

インフルエンザ予防接種の対象は生後6ヵ月から

特に新型インフルエンザが猛威をふるった数年前、何ヶ月の赤ちゃんから予防接種を打てるのかでいろいろと疑問や議論がありました。
それまでは一般的には1歳以上で打たれることが多かったですが、今は生後6ヵ月以上から。

理由は、それよりも低い月齢で打っても上手に抗体(免疫)が作れないから無意味になってしまうからです。

13歳未満の子供は2回接種が基本

13歳未満は2回、それ以上は1回、というのが基本的な打ち方ですが、その差は何なのでしょうか。

大きくなれば症状が軽いものも含めて何回かインフルエンザにかかったことがあるために体の中に多少の免疫が残っています。
そこへ新しく予防接種を受けることで元々持っていたものとの相乗効果で免疫力が上がってきます。

子供の場合にはその「元々」がないために2回受ける必要が出てきます。
ただ、大人の場合でも1回受けることでの効果は65%程度、2回で95%程度。やっぱり2回受けたほうが効果は高いのです。逆に、1回だけしか受けれなかった、と言う場合でも無意味ではありません。

総合すると、全年齢2回受けたほうが無難だけれども、1回だけでも、とにかく受けるにことしことはない、ということになります。

インフルエンザ予防接種を受けるベストな時期はいつか

インフルエンザワクチンの推奨時期は10-12月

日本でのインフルエンザの流行は12月~3月頃。
11月頃から患者さんが出始め、主に1月~2月に流行のピークになります。

ワクチンの効果の持続期間最大でも5カ月、ワクチン接種による効果が出るまでにかかる期間が2週間程度、と考えると、最低でも12月中旬まではワクチンを受けておいたほうがいいということになります。

インフルエンザ予防接種は毎年必要

インフルエンザウイルスというのは生き物らしく、どうにかして生き延びようと毎年のように少しずつ型を変えていきます。そのため私達人間は何度でもかかってしまいます。

インフルエンザ予防接種を毎年受けなければいけない理由の一つは「毎年のように型が変わってしまうから」。

また、予防接種を受けてから免疫として効果が出てくるのにかかるのは2週間。そこから効果がしっかり持続するのは3ヵ月程度で、そこから徐々に落ちていきます。
1年後には予防接種で得た効果はほぼゼロになっているので、予防接種は毎年受ける必要があるのです。

気になるインフルエンザ予防接種の副反応

予防接種の副反応、多くは赤みや発熱

予防接種、というと一番心配されるのが副反応。
どんな薬、予防接種にもデメリットはありますから、やはりインフルエンザ予防接種でも副反応を起こすことはあります。

多いのは、打った場所が赤くなる、腫れる、痛みが出る、といったもの。こういった症状が出るのは全体の20%程度。そのほかに多いのが発熱や頭痛、だるさなどの風邪に似たような症状。全体の5-10%程度です。
こういった副反応はどんな予防接種にもあることで特別なことではありません。いずれも1-2日で治まっていきます。

重篤な副反応、ひどいアレルギー症状のアナフィラキシー

食べ物や他の薬と同じように、インフルエンザ予防接種でひどいアレルギー反応を起こす人もいないわけではありません。

軽いものであれば蕁麻疹やかゆみなど、重いアレルギーのアナフィラキシーの場合には全身が真赤になったり、呼吸が苦しくなるということがあります。
そういった思いアレルギーは大抵打ってから30分以内には起こります。予防接種を受けた後30分程度は院内に留まってください、という理由はここにあります。

ただ、アナフィラキシーはあくまで体質。
インフルエンザ予防接種自身が問題ということではありませんし、こういったことが起こる可能性というのは本当に低いもの。過度に心配する必要はありません。

インフルエンザ予防接種から感染することはない

副反応とはちょっと異なりますが、予防接種のおけるもう一つの疑問は「予防接種を受けることで、あるいは羽受けた人から感染しないか」というもの。

答えはNO。感染しません。

予防接種には生ワクチンと不活化ワクチンの2種類があります。

生ワクチンというのはウイルスなり菌なりの毒性を下げて弱くしたもの。
不活化ワクチンというのは完全にウイルスな細菌の毒性をなくしたもの。

インフルエンザ予防接種は不活化ワクチンになるので、インフルエンザ予防接種を受けることで感染することも、受けた人から感染することもありません。

予防接種で健康被害に遭った場合には救済制度があります

インフルエンザ予防接種でひどい健康被害を受けることは非常に稀ですが、どんな予防接種でも国できちんと認可されているものを正しく使った場合に関し、その健康被害について保証を受けることができます。
非常に稀なことですが、「予防接種健康被害救済制度」は知っておくと良い制度です。

厚生労働省 予防接種による健康被害の際の救済制度。

出典:

www.mhlw.go.jp

インフルエンザは手洗いうがいで予防し、予防接種で軽症化を図ろう!

予防接種でも感染自身を防げないインフルエンザの場合、予防というとやはり他の風邪と同じで手洗いやうがいという原始的なものになります。
確かに抗インフルエンザ薬も出てきていますので、かかっても以前よりも大分マシになりました。
でもかかっても症状が出ない、軽く済む、可能性があるのならそれに越したことはありません。

インフルエンザ予防接種の特性やデメリットをしっかり理解し、冬のインフルエンザ流行期に立ち向かっていけるようにしたいものですね。