防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)とは?むくみにオススメの漢方徹底解説

むくみや水太りに効果があるといわれる防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)。誰にでも効くものなのでしょうか?適応とされるタイプの紹介や、効能の紹介、効果的な飲み方から妊娠・授乳中の使用についてまで、防已黄耆湯をこれから使ってみたいと思っている方へ有用な情報をまとめました。

防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)とは?

主にむくみ等の水分排出に使われる漢方薬です。


防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)とは、ぽっちゃり体型の方のむくみに効果的な漢方です。
東洋医学の考えに基づいて処方される漢方薬には、同じ症状であっても根源にある体質によって処方が変わります。これは、漢方の「気血水」という考えに基づき、同じ症状でも原因とされるものが異なることによって起こります。

漢方の考えでは、体の不調は「気血水」のバランスの乱れにより引き起こされます。同じ症状でも気血水のバランスは個人によって千差万別。

「気」は目に見えない、人の体を支えるすべての原動力のようなもの。
「血」は全身の組織や器官に栄養を与えるもの。
「水」は飲食物中の水分を消化吸収によって人の体に必要な形にして体をうるおすもの。

この3つがバランスよく整っているときは体の調子がよく、崩れると不調が起きるとされています。
防已黄耆湯は、水毒を起こしている「虚証」(虚弱)「湿証」(水分停滞)タイプの方への処方です。摂取した栄養をエネルギーに変えたり、使ったりする力が弱い水ぶとりタイプの方に効果的。たくさん食べているわけでもないのに太りやすい人などは要チェックです。

※自分のタイプが気になる場合、漢方薬を扱うお店などでチェックすることができます。

含まれる成分は?


防已黄耆湯とは、防已(ボウイ)と黄耆(オウギ)を主成分として配合された薬です。

防已はオオツヅラフジの蔓性の茎または根茎のことで、利尿・鎮痛・消炎作用があります。神経痛や関節炎のむくみに対して配合される生薬です。水分過多で滞っていた流れを利尿することでスムーズにし、それによって起こされていた痛みや炎症が治まります。

黄耆はマメ科のキバナオウギの根のことで、フラボノイドとサポニンを含んでいます。止汗、利尿、強壮に効果があり、加えて血圧降下作用と疼痛効果を持っています。わきの匂いが気になる場合にも配合される生薬です。

防已黄耆湯はこの2つを主成分に、防已の働きを助ける蒼朮(ソウジュツ)または白朮(ビャクジュツ)や、胃腸に良い生姜(ショウキョウ)、緩和作用のある大棗(タイソウ)や甘草(カンゾウ)などの生薬を配合して作られています。



防已黄耆湯の効能


防已黄耆湯は、「虚証」(虚弱)「湿証」(水分停滞)タイプの方の肥満症、多汗症、むくみ、関節炎(水が貯まるタイプのもの)の緩和に処方されます。これは、主成分である防已と黄耆それぞれに水分代謝を助ける働きがあるためで、体に余計な水分が貯まることで起こるほかの疾病に対しても効果が認められています。

ツムラやクラシエなどから販売されている防已黄耆湯の効果には、腎炎、ネフローゼ、妊娠腎、陰嚢水腫、肥満症、関節炎、癰、せつ、筋炎、浮腫、皮膚病、多汗症、月経不順、関節リウマチに効果があると記載されています。ただし、効果があるタイプの体質であることが前提ですので、医師に相談してから服用を始めるのが効果的です。漢方内科や漢方外来を標榜している病院・クリニックが専門科となりますが、まずはかかりつけ医に相談し紹介状を書いてもらうのがスマートです。

防已黄耆湯の飲み方


一般的な漢方薬は食事と食事の間に服用しますが、防已黄耆湯は食前に、水またはお湯での服用をするのが望ましいとされています。また、煎じ薬である防已黄耆湯はお湯に溶かしてエキスを抽出するとさらに効果的。100ml程度のお湯で溶かし、人肌に冷まして飲むのがおすすめです。お茶をいただくときのように、ゆったりとした気持ちで飲むといいでしょう。
飲む期間は、急性疾患に対して服用する場合は疾患が落ち着くまで、慢性疾患であれば2~3ヶ月以上を目安に服用します。

※販売メーカーごとに一回の分量・服用回数、服用期間など異なるため、原則としてメーカーの勧める方法で服用しましょう。また、病院から処方された場合は医師の指示を必ず守るようにしてください。



授乳中、妊娠中でも飲んで良い?赤ちゃんへの影響は?


自然の生薬由来であることから安全と判断される漢方薬ですが、防已黄耆湯については妊娠中・授乳中の服用に対する安全性は確認されておらず、服用の際には医師への相談が必要です。
むくみや関節炎などが重度となり、服用の必要性が副作用リスクを上回った場合にだけ服用は推奨されていますので、安易に漢方だからと自己判断で服用を開始することは避けてください。

防已黄耆湯の副作用はある?


副作用の少ない漢方薬ですが、胃の不快感、食欲不振、軽い吐き気、発疹、発赤、痒みが出ることがあります。また、起きることは少ないのですが、単剤の使用でも間質性肺炎、肝臓の症状が起こり得ます。その場合、咳・息切れ・呼吸困難・発熱・倦怠感・黄疸などの症状が初期症状として起こりますので注意しましょう。

加えて、複数の漢方を服用している場合、配合生薬の甘草の多量摂取により偽アルドステロン症と呼ばれる副作用が起こることがあります。服用を開始したら血圧が上がった・むくみがひどくなったなどの症状の出た場合で、かつ複数の漢方を使っている場合は、この偽アルドステロン症である可能性があります。早めに医師に相談しましょう。
偽アルドステロン症には、むくみや血圧上昇のほかに、倦怠感・体重増加・手足のしびれや痛み・筋肉のぴくつきやふるえ・力が入らない・低カリウム血症などの症状があります。

防已黄耆湯の値段

病院からの処方の場合


ツムラから処方用として販売されている防已黄耆湯は、1日3回、1日あたり7.5gで8点(80円)となっており、薬剤管理料、調剤基本料などを合計した点数の3割が利用者負担額となります。1ヶ月あたりの薬価が自己負担額800円弱ですので、調剤基本料などを加えても薬局への支払いは1000円程度でしょう。
ただし、病院の初診料(3割負担)約800円または再診料・外来診療料・外来管理加算(3割負担)約500円、処方箋料約200円…と病院側への支払いとしてその他の負担が発生します。病院代と薬代合わせて、1か月分の処方であれば3000円かからない程度を目安と考えましょう。

ちなみに、むくみなら循環器科か泌尿器科、関節痛なら整形外科で相談することをおすすめしますが、医師が必要と判断しなかった場合は保険適応外で自己負担となることがありますので注意してください。

市販品の場合

防已黄耆湯
(2016/04/19 11:13時点)
入数:64包(一日二回32日分)※価格は2016年7月19日現在のものです。 同じくツムラの防已黄耆湯です。
市販品の場合は1日2回の服用で、1日あたりの総服用量は3.75gと処方量と比べ半分程度です。
定価は5,940円ですが、市販品の場合セールがあります。購入場所を選べば、比較的安価に手に入れることができるでしょう。

量に比べて金額が高い印象のある市販品ですが、病院にかかる暇がない方にとってはありがたいですね。
こちらは第二種医薬品となるため、薬剤師や登録販売者のいるドラッグストアで購入することができます。

むくみタイプに合っていれば試す価値あり


生薬由来の優しい効き目で、女性の大敵であるむくみを緩和してくれる防已黄耆湯。自分の体のタイプに合っていれば、一度試してみる価値がありそうですね。

・夕方になると靴がきつくなって、むくみが気になる
・胃腸が弱くて、軟便・下痢ぎみで困る
・あまり動かなくても汗をかく

これらの症状を感じている、筋肉にしまりが少なめの、ぽっちゃり水太りタイプが防已黄耆湯の適応症です。「あれ?もしかして?」と思ったら、まずはかかりつけ医に相談してみましょう。必要なら紹介状を書いてくれます。
穏やかな効き目の漢方で、つらいむくみと決別できるひとが増えますように!