陣痛促進剤のリスクはどんなもの?痛みやその効果について解説

お腹が大きくなり、そろそろ出産が近づいてくると耳にするのが「陣痛促進剤」という言葉。子宮を収縮させる効果がああるもので、出産時に使われています。陣痛促進剤については様々な意見がありますが、母子の安全を確保するために使用されるもののひとつ。どのようなリスクがあり、どんな効果があるのかについて解説しましょう。

陣痛促進剤のリスクとは

臨月を迎え、赤ちゃんの準備が整うと自然と陣痛が起こります。しかし、何らかの理由で陣痛が起きない場合や赤ちゃんを取り出す必要がある場合には、「陣痛促進剤」を使用して陣痛を起こすことがあります。

陣痛促進剤は子宮を収縮させる効果があります。そのため、人工的に陣痛を起こすことが可能な一方で、当然ながらリスクもあります。それが「過強陣痛」です。
過強陣痛とは、赤ちゃんの出口である子宮口の開きが不十分であるのにもかかわらず、陣痛だけが強くなってしまう状態のこと。陣痛が起きているのに対し、胎児が下に下りてきていない場合にも起こりうる状況です。この過強陣痛の場合、子宮が破裂したり、赤ちゃんへの酸素不足が原因で障害が残ることもあると言われています。

そのため、陣痛促進剤を使用する際は、分娩管理装置をつけ、母体・胎児・陣痛のすべてを細かく監視する必要があるのです。



陣痛促進剤を使うと痛い?

産みの苦しみは人それぞれ

先輩ママに出産体験を聞くと、「ありえない痛さだった」と語る人もいれば「下痢のひどいときくらい」と笑い飛ばす方もいます。それと同じで、陣痛促進剤を使用した方に聞いても、出産の痛みに対する意見は分かれるものです。
陣痛促進剤を使用したから必ずしも痛みが強いというわけではありません。「促進剤を使用した2人目の方が痛かった!」という方もいますが、それも”たまたま”と捉えるくらいがいいかもしれませんね。
そもそも、「産みの苦しみ」という言葉があるくらい出産は大仕事です。深く考えないのが一番ですよ。

陣痛促進剤の使用の流れ

陣痛促進剤はいつ使う?

陣痛促進剤が用いられるのは、出産が安全にできないという判断がされたときです。
具体的にいうと、以下の3点が陣痛促進剤が使用される一般的な例です。
*予定日を2週間以上超過している
*破水したのに陣痛が来ない
*陣痛が強くならない・陣痛が弱い

予定日を過ぎるということはよくある話ではありますが、一方で予定日を2週間以上過ぎてしまうと「過期産」と呼ばれます。予定日を大幅に過ぎてしまうと、胎盤の機能が弱まったり(胎盤機能不全)、羊水の量が減ってしまうなど、胎児に危険が及ぶ可能性が。そのため、促進剤を使用した誘発分娩が必要なのです。

破水してしまうと、赤ちゃんを守っていた羊水が出てしまうことで、感染のリスクが高まります。そのため、破水しても陣痛が来ない場合は、赤ちゃんを守るために陣痛促進剤が必要になるのです。

また、母体の安全を考慮した例では、陣痛が強くならない・陣痛が弱いというケースも。この場合、長引く陣痛でママの体力への負担が懸念されるため陣痛促進剤を使用されることがあります。
その他にも、妊娠高血圧症候群などで妊娠の継続が危険と判断される場合にも、分娩を誘発するために陣痛促進剤が使用されるケースが。いずれの場合も、ママ・赤ちゃん両方の安全を確保するために使用されます。

陣痛促進剤はどのように使うの?

陣痛促進剤は点滴による投与が一般的です。
陣痛促進剤に使用されているのは、子宮の収縮を促すホルモン剤です。経口薬として口から摂取するものもあります。しかし、経口薬は一旦飲んでしまうと、陣痛の程度にあわせた調節が難しいため、一般には、投与量を徐々に増やすなど細かい調整が簡単にできる点滴投与が行われています。

はじめは少量から投与を開始し、出産に十分な強さの陣痛が来るまで分娩管理装置で様子を見ながら陣痛促進剤が追加されることになるでしょう。ママの状態・赤ちゃんの元気さ・陣痛の強さを適切に管理することで、安全な分娩につながります。

分娩|慶應義塾大学病院 KOMPAS
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無痛分娩で陣痛促進剤を使う場合

どんなリスクがある?

陣痛時の痛みを和らげる出産方法である無痛分娩。日本でも広がりを見せている出産方法ですが、そのほとんどが計画分娩になります。計画分娩とは文字通り、医師と相談したうえで日程を決め、計画的に出産をすること。予め定めた日に出産をするため、痛みを和らげる麻酔とあわせて、陣痛促進剤も投与されます。

陣痛促進剤の投与に関しては、先述したように、赤ちゃんが下りてきていない・子宮口が十分に開ききっていないという場合に子宮の破裂を起こしたり、赤ちゃんへの低酸素状態が原因で障害が残るというリスクがあります。
なお、まれにですが、無痛分娩に使用される麻酔がきかないという人もいるとか。もし麻酔がきかない場合でも、陣痛促進剤がきき、陣痛が始まった場合は後戻りできません。無痛分娩の進め方、万が一麻酔がきかない場合についてなど、予め医師と十分に相談するのがよいでしょう。

どのタイミングで使う?

産婦人科の方針によって無痛分娩の方法は異なりますが、計画分娩による方法の場合、まず子宮口を柔らかくし、広げる処置がとられます。バルーンと呼ばれる風船のような器具を挿入し、徐々に膨らませることで子宮口を広げる方法が一般的です。
子宮口が柔らかくなり、開いて来たら、陣痛促進剤が投与されます。分娩管理装置で様子をみながら、陣痛の強さに応じて薬を調整することになるでしょう。なお、麻酔が投与されるのは規則的な陣痛が確認されてからというケースが多いようです。麻酔を投与するタイミングによって、妊婦さん自身が感じる痛みも変わってきます。恐怖心が強い方は十分に医師と相談しておきましょう。

陣痛促進剤が効かない場合は帝王切開になる?

陣痛促進剤は人工的に子宮を収縮させる薬ですが、中には陣痛促進剤を投与してもお産がなかなか進まなかったという例もあるようです。たとえば、赤ちゃんがなかなか下りてこないというケースや、赤ちゃんの向きが悪く自然分娩が難しいというケースなどがあります。分娩が進まないケースでは、赤ちゃんや母体の安全を考慮して帝王切開という方法が採られることも。

もちろん、すぐに帝王切開となるわけではありません。うまく陣痛がつかず、出産へと結びつかない場合は翌日に再度促進剤を投与するというケースもあるとか。
あくまでも赤ちゃんにとってもママにとっても、それが最善の策という場合に帝王切開になるという認識がよいでしょう。より安全に出産するためのひとつの選択肢ととらえ、どういった場合に帝王切開になるのかという点は医師に確認しておくといいですね。

先輩ママの体験

母子ともに無事に出産するための選択を

陣痛促進剤はデメリットもありますが、分娩管理装置をつけ、投与量を正しく管理すれば安全を確保することが可能です。計画分娩として陣痛促進剤を使用する場合、心の準備ができるというのもひとつのメリットでしょう。

出産は命がけ、とも言われるように、何が起こるかわからないもの。だからこそ、母子ともに無事に出産できるための選択をできるよう、医師にしっかり相談しましょう。