授乳中のつらいトラブル、乳腺炎。避けるためにできる5つのこと

母乳で赤ちゃんを育てたママなら、ほとんどの方が経験している「乳腺炎」。「ちょっとおっぱいがチクチクする」という軽い症状から、「激しく痛み、高熱が出るほどつらい」症状まで様々です。悪化すると外科手術が必要なこともありますので、正しい対処法や治療、予防のための食事についても知っておきましょう。乳腺炎に悩むママ、必見です。

乳腺炎ってどんなもの?

乳腺炎とは”乳腺の一部が炎症になっていること”

「乳腺炎」とは、母乳を分泌する乳腺の一部が炎症になっている状態をいいます。
え、それだけ?と思いますよね。でも乳腺が炎症になると、おっぱいが腫れて熱が出たり、触るだけでも激痛が走ったりして、想像している以上につらいものです。
乳腺炎は重症になると、インフルエンザ並みの高熱と全身のだるさに襲われ、身動きもとれないようになります。
激しい痛みと熱を伴うため、ほとんどのママは「乳腺炎はツラい、耐えられない」と感じることが多いようです。

さて、乳腺炎とひとくくりに話していますが、実は乳腺炎にもいくつかの種類があります。乳腺炎の種類別にご説明していきます。



乳腺炎の種類にはどのようなものがある?

急性うっ滞乳腺炎

急性うっ滞乳腺炎は、乳腺の一部が詰まって、乳腺内に乳汁が溜まって起こる乳腺炎のことをいいます。
脂っぽい乳汁や、濃い乳汁など、質の良くない乳汁がヘドロのように乳管内にこびりつき、乳管をふさいでしまうのが原因で起こります。
だいたいは乳管が詰まって乳汁が溜まっているあたりが腫れ、触れると痛かったり熱く熱を持っているように感じるので、わりとすぐに原因箇所は特定できるのではないでしょうか。

急性うっ滞乳腺炎は、詰まっている部分がスムーズに通るようになれば、すぐに痛みが落ち着いてきます。
もし急性うっ滞乳腺炎になってしまったなぁと感じたら、すぐに搾乳して溜まっている乳汁を絞りだしましょう。もし自分ではうまくできないということであれば、出産した産院や、母乳外来を受け付けている病院で手技(マッサージ)を受けると、かなり楽になると思いますよ。

化膿性乳腺炎

化膿性乳腺炎は、乳腺内に黄色ブドウ球菌などの細菌が入りこみ、乳腺に炎症を起こすタイプの乳腺炎です。
細菌が入った個所は赤く腫れ、激しい痛みを感じます。38度以上の高熱が出ることも多いようなので、乳腺炎の中でもかなり激しいタイプの炎症になると思います。

ではなぜ、細菌は乳腺の中に細菌が入り込むのでしょうか。それは、赤ちゃんのお口が関係しています。 生後一ヶ月を過ぎ、吸う力がついてきた赤ちゃん。思いっきり吸われて乳首が切れた経験のある方もいるのではないでしょうか。また、生え始めた歯でガブリと噛まれてしまったということもあると思います。
こういった「乳首の傷」に、赤ちゃんの口内に常在している「黄色ブドウ球菌」が入り込み、乳腺内で炎症を起こしてしまうのが化膿性乳腺炎です。

化膿性乳腺炎になってしまったら、一時的に授乳を中止して抗生剤を服用するのが一般的な対処法になるかと思います。もし抗生剤を飲んでも痛みが治まらない場合には、膿を出すための切開手術が必要になることもあります。こうなってしまうと完治には少し時間がかかりますし、乳房に手術の傷跡も残ってしまいます。
ひどくなる前に早めに病院で診てもらえると安心ですね。どうしても授乳を中止したくない場合は、早めにきちんと医師に相談して、抗生剤以外の対処法を考えてもらうようにしましょう。

乳腺炎白斑

乳汁が出てくる排乳口に、白い水疱状のようなものがあり触れると痛い…。もしそんな症状があるなら、それは「乳腺炎白斑」かもしれません。
乳腺炎白斑は厳密には乳腺炎ではないとのことですが、乳首に母乳が詰まっているときにおこる症状なので、乳腺炎の初期症状の一種と考えられるようです。乳腺炎白斑をほおっておくと、そのまま本格的な乳腺炎に発展してしまうこともあるので、早めに対処することが必要です。

乳腺炎白斑は、赤ちゃんの口への乳首の含ませ方が悪い場合や、前回の乳腺炎への対処がきちんとなされていなかった場合によく起きる症状です。自分の授乳の癖のなかに原因があることが多いので、根気よく生活を見直していきましょうね。
一番確実なのは、乳腺外来や助産師さんなどの専門家の指導を受けることです。一度起きると、再発しやすいのがこの乳腺炎白斑の特徴ですから、白斑の原因がどこにあるかを見極めてもらい、乳腺炎になる前に治せるよう気を付けておきましょう。

先輩ママはどうだった?乳腺炎の経験談

Case1では「急性うっ滞乳腺炎」、Case2では「化膿性乳腺炎」、Case3では「多乳症」をそれぞれ経験されたママの実体験をご紹介します。

Case1.急性うっ滞乳腺炎~突然の発熱~

先輩ママAさんは5ヶ月の男の子のママ。赤ちゃんを完全母乳で育てています。
赤ちゃんは母乳の飲みっぷりがよく、体重も順調に増えてきたので、2日前から離乳食を始めました。

一日に6~7回ある授乳の一回を離乳食に置き換えたので、その前後は授乳の時間がかなり空いてしまうことになってしまい、次の授乳の時間にはもうおっぱいはパンパンです。
そんな日が3日ほど続き、Aさんはふと右のおっぱいに熱を持っていることに気が付きました。 いつも左からおっぱいをあげる癖があるAさん。右のおっぱいは飲み残すことも多く、今までもしこりになることがあったのですが、なんせ飲みっぷりのいい男の子。次の授乳の時にはしっかり飲み切ってくれることも多かったので、あまり気にしていませんでした。
でも今回はしこりだけではなくおっぱいが熱い。その上なんだか寒気までし始めました。これはもしや?と思って熱を測ると、なんと39度!
そのころには熱を持つ個所に触ると、激痛が走るようになってしまいました。こうなると、赤ちゃんの抱っこすらままなりません。

翌日、急いでおっぱいマッサージしてくれる助産院をネットで探し、おっぱいにたまった乳汁を絞ってもらうと一気に熱が下がりました。
手技をしてくれた助産師さんが神様に見えた…というくらい、劇的に楽になったのだそうです。
おっぱいの痛みは数日ほど後を引きましたが、翌日からは普通に赤ちゃんを抱っこひもで抱っこすることもできました。

それからは、左右交互に授乳することと、赤ちゃんが飲みきれなかった時は洗面台で絞って捨てておくように心がけたので、乳腺炎は再発しなかったそうです。

Case2.化膿性乳腺炎~おっぱいが赤紫色に化膿~

先輩ママBさんは、もっと辛い乳腺炎経験をしてきました。
「おっぱいは張ってから飲ませるもの」と考えていたBさんは、赤ちゃんが泣いても「ああ、まだおっぱいが張ってないわ。今はミルクをあげておきましょう」とミルクに頼って育児をしていました。たとえおっぱいが張っていても、家事や上の子のお世話で忙しくなると、ミルクならダンナ様や手伝いに来ている実母にあげてもらえるからと、手軽にミルクを与えることも多かったそうです。 そんなある日、おっぱいが熟した桃のように腫れ、ズキンズキンとうずき始めました。急に震えが来て、立っていられなくなったので熱を測ると40度。その時に初めて、乳腺炎という言葉が頭をよぎったのだそうです。
痛みは増すばかりで病院に駆け込みましたが、いつも母乳ケアをしてくれていた助産師さんは出張で不在だったので、医師は飲み薬を出してくれただけでした。
数日後、あまりの辛さに耐えかねて再受診したころには、おっぱいは赤紫色に変色して、即切開の手術になったということです。 切開後は、治療のために紹介された助産師のもとに毎日通い、マッサージを受けることになりました。一ヶ月間は毎日のようにダンナ様の送迎で、赤ちゃんを連れて病院と助産院を行き来していたBさん。それが週に3回に減り、2回に減り…、最後月に一度の通院で良いと言われるまで、数ヶ月はかかったということです。
しこりと赤紫になったおっぱいの色はようやく消えましたが、切開の傷はいまだに傷跡として残っているのだそう。でも、「この傷跡は家族で協力してあの苦しみを乗り越えたあかし」と語ってくれたBさんの笑顔が印象的でした。

Case3.多乳症~断乳の日まで、飲み残しを絞る毎日~

先輩ママCさんは、「双子でも育てられそうね」と言われるくらい、母乳の出が良い体質です。
なのに、赤ちゃんは小食の女の子。少し飲んだらすぐ眠ってしまうので、いつも片方のおっぱいだけしか飲ませることが出来ませんでした。
授乳の度に交互のおっぱいを飲ませていますが、どうしても分泌量が多いのでおっぱいがパンパンになってしまうことがあり、何度も乳腺炎を繰り返しています。

Cさんは助産師さんの指導により、授乳の度に飲み残された乳汁を絞ることにしました。 だいたいの場合、授乳は片方のおっぱいだけで足りてしまいますので、反対側を絞って捨てることになります。夜間の授乳の後、流し台でジャージャーと絞って捨てるのはかなり面倒で、眠気に負ける日もありました。でも乳腺炎になるくらいならと、眠い目をこすりながら毎日毎晩絞り続けます。
断乳までの約半年、この生活を繰り返し、その後は乳腺炎にならずに済みました。
毎日毎日流し台で母乳を絞り続けたことは、今ではとても懐かしい思い出です。



そもそも、乳腺炎の原因はどこにある?

乳腺炎の原因は「おっぱいに残った母乳」です

乳腺炎は、乳腺の中で母乳が栓のように固まり、母乳が滞ることが原因で起こります。
分泌されてすぐの母乳は、栄養豊富で無菌な液体なのですが、少し時間が経つと次第に細菌が繁殖してしまいます。
この細菌が繁殖して変質した母乳が、乳腺炎のもと。この変質した母乳に触れている乳腺が炎症をおこし、おっぱいに熱や痛みをもたらしてしまうのです。

乳腺炎は、母乳がないからっぽの乳腺には起きることはありません。乳腺に母乳がたまった状態で居続けると、乳腺炎になってしまうのです。
乳腺炎を避けるためには、赤ちゃんが飲みきれなかった母乳はしぼって捨ててしまうのが一番です。乳腺炎予防のためにも、一日に一度は乳腺を空にしておく時間を作りましょう。

治療や対処法の基本

乳腺炎を治すためには、まず食事をいつもよりも控えよう

乳腺炎かな?と思ったら、まずはなるべく母乳の分泌をおさえましょう。ママが飲んだり食べたりしたものはそのまま母乳の一部になりますので、乳腺炎の時はなるべく飲食をいつもより控えることをおすすめします。
多少摂食を控えるくらいなら、赤ちゃんに授乳する時にはきちんと母乳が出ますので心配はいりませんよ。一日の摂取カロリーは普段の3分の2程度に控えると無駄な母乳が生成されないと言われています。

また、飲み物も必要最低限にとどめておくといいでしょう。飲み物は完全に絶ってしまうと脱水症状の危険があるので、過度な制限をしないように気を付けてくださいね。
ただカフェインや糖分を多く含む飲み物は、母乳の質を低下させますので乳腺炎の時は避けておいたほうが無難です。水か麦茶など、無糖でノンカフェインの飲み物を選ぶようにしてくださいね。
のどが渇いたときにガブガブと飲むのではなく、こまめにチビチビと口にする程度にしておくと、必要以上の母乳が分泌されにくくなるようです。

炎症を加速させる、入浴も避けること

炎症がおきているおっぱいを温めると、さらに炎症が悪化してしまうこともあります。患部が熱を持っている間は体を温める入浴は控えておくと安心ですよ。
どうしても気になるときは、軽くシャワーを浴びるか体を拭く程度にとどめ、患部を温めないように気を付けてくださいね。

こんな症状なら乳腺炎!症状別の対処法

1.おっぱいにしこりができている

もともとの乳腺が細かったり、少しでも詰まっている部分があると、すぐにその部分に母乳が溜まり「しこり」ができ始めます。
一度しこりができ始めると、そこがボトルネックとなりどんどん母乳が溜まりしこりも大きく成長してしまうことが多いものです。

おっぱいをさわって痛むしこりを見つけたら、それは乳腺炎の始まりかもしれません。
この程度の炎症なら、一度溜まっている乳汁を出し切ってあげれば治ることが多いので、しこりが気になる時はしっかり絞り出しておきましょう。
しこりができやすい場所は、おっぱいが詰まりやすい環境が整っているということですから、何度も再発する可能性があります。
一度しこりのできた個所はその後もこまめにチェックして、再発しないように気を付けておけるといいですね。

2.おっぱいが痛い

乳腺炎が進むと、触らなくてもズキズキと炎症部分が痛みはじめます。
赤ちゃんを抱っこしたり授乳したりするのもためらうほど、痛みを感じ始めるかもしれません。
触らなくてもおっぱいが痛むようなら炎症が進んでいる証拠です。マッサージや搾乳機などで早めに母乳を絞り出し、ケアするようにしましょう。
自分ではうまく絞れない…という方は、病院の母乳外来や助産院などで乳房マッサージの手技を受けると安心ですね。

母乳を絞った後もしばらくは痛みが残るかもしれませんが、時間がたてば次第に落ち着いてきます。
痛みが強い時はぬれタオルや冷湿布などで患部を冷やし、炎症を抑えると少し楽になりますよ。
この時氷嚢や保冷材などで強く冷やしてしまうと、組織が固くなってしこりが取れにくくなることもあるようです。
乳腺はとてもデリケート。冷やしすぎにも気を付けるようにして、穏やかに冷却するようにしてくださいね。

3.おっぱいが腫れている

おっぱいが腫れて変形してきた、触ると熱い…など明らかに炎症が進んでいる場合は、母乳が化膿してきている可能性があります。
乳腺の炎症も進みかなり痛みを伴うと思いますので、至急母乳を絞り出してしまいましょう。
このような状態まで来ると、自分でしぼるのが痛くて辛いという方も多いと思いますので、近くの病院や助産院の母乳外来を受けることをおすすめします。
プロの手にかかれば、自分で絞るより痛みが少ない上に、たまった母乳を一気に出すことが出来ますよ。

4.発熱している

発熱というとまず風邪やインフルエンザを疑ってしまいがちですが、乳腺炎が原因で発熱している時は、咳や鼻水などは一切出ません。ただおっぱいがズキズキ痛み、全身に悪寒が走るのみです。ひどい場合は、めまいがして立っていることもできないくらい力が入らなくなります。
こういった場合は乳腺炎が原因の熱と考えられますので、自己判断で風邪薬を飲むのではなく、まず病院で診察してもらうようにしましょう。

乳腺炎の熱であれば、炎症を抑えればすぐに熱も引きます。急いでたまっている母乳を出しましょう。
もし炎症がひどく痛みが強い場合は、産婦人科で消炎剤や痛み止めを処方してもらうと安心です。
産婦人科の薬なら、授乳中でも安心して飲むことができますよ。

乳腺炎の予防法…食事など日常生活でできる5つのこと

1.脂っこい食べ物は避ける

ママが脂っこい食べ物を食べると、分泌する母乳の成分にも脂肪分が増えてしまいます。
脂肪分が増えた母乳はドロドロして固まりやすいので、乳腺が詰まりやすくなってしまうことがありますよ。特に乳腺が細かったり、母乳の分泌量が多い人は気を付けておきましょう。

焼肉にフライ、シュークリームにケーキ…。脂っこい食事はとても魅力的ですが、母乳の質を低下させるリスクを含んでいます。洋食や中華料理には脂肪分が多く含まれているものが多いので、授乳中はなるべく控えるようにしておくと乳腺炎の予防につながると言われています。

母乳にいいのは昔ながらのさっぱりとした和食です。ご飯と野菜の味噌汁を中心とした栄養バランスのいい和食が、固まりにくいサラサラの母乳を作り出してくれるようです。
和食は乳腺炎の予防だけではなく、将来の自分と家族の健康のためにもなります。食生活を少し見直し、体に優しい食べ物中心の食卓に変えていけるといいですね。

2.もち米禁止!

「お餅を食べると母乳が湧き出る」という言い伝え、耳にした方もいるのではないでしょうか。中には「母乳のために!」と、せっせとお餅を食べているママもいると思います。

確かにお餅は白米に比べても栄養値が高く、母乳を作り出す作用に長けています。
でも「母乳にお餅」がいいとされていたのは、栄養不足だった時代の話。栄養過多な食生活に傾いている現代では、お餅を食べると母乳が過剰に分泌されてしまい、あっという間に乳腺炎になることも少なくありませんよ。
もともと母乳の分泌が少ない方でしたら食事に加えても構わないのですが、普段から分泌量の多い方が食べると乳腺炎になる可能性があります。予防のためには、もち米を避けておいたほうが無難です。

もち米は、お餅だけではなく加工品にもいろいろ使われています。
赤飯、おこわ、おかき、あられなど、もち米を原料としている食品にも同じような効果があります。お店で選ぶときには注意するようにしてくださいね。

3.キムチやカレーなどの刺激物は避ける

アルコールをはじめ、コーヒー、カレー、キムチにチョコレート…。
刺激のある食品にはおいしいものが多いですよね。少しだけならと、思わず口にしてしまうママも多いのではないでしょうか。

でも母乳の味はとても繊細。ママが食べた食事の影響を受け、日々刻々と味が変わっていきます。刺激的な食品を食べた後は、母乳にもその味の片鱗が残ってしまいますよ。
母乳に出たほんのちょっとの刺激物も、赤ちゃんにとっては大きすぎる味の変化。赤ちゃんは「刺激物入り母乳」を嫌がって母乳を飲まなくなることもあり、その結果飲み残しが増えて乳腺炎の原因になってしまうことも…。
赤ちゃんにたくさん母乳を飲んでもらって乳腺炎を予防するためにも、授乳中の刺激物は控えたほうが良さそうですね。

4.水分はたくさん摂る

新生児期でも、一日1リットル近く母乳を飲む赤ちゃん。
ママもせっせとそれ以上に水分を摂らなくては、母乳の分泌がまかなえません。
普段ならば薄くてすっきりした味の母乳が分泌されていても、水分不足の時はどうしても成分が濃縮して、ドロっとした母乳になってしまいがちです。

成分が濃縮しているんならいいじゃないの?とお思いの方もいるかと思いますので、こんな例で考えてみましょう。

例えば母乳をオレンジジュースとして考えてみます。普段赤ちゃんに飲ませている母乳が「果汁100%のオレンジジュース」だとすると、ママが水分をたくさんとっているときは「果汁50%のオレンジジュース」のようなすっきりした味わいの母乳に変化します。
でも逆に水分不足に陥ると、オレンジジュースを煮詰めたような濃いドロドロした液体になってしまうんですよ。確かに濃いのですけど、これは美味しいと思うでしょうか?

あなたも飲みたくないと感じるなら、赤ちゃんもきっとそう思うはずです。
水分はたくさんとって、すっきりした味の母乳を飲ませてあげることで、赤ちゃんも飲み残さずにゴクゴク飲んでくれると思いますよ。

5.飲み残しは絞っておく

先ほどの「先輩ママの体験談、Case3.多乳症」でも出てきましたが、授乳の途中に赤ちゃんが寝てしまった…ということはよくあると思います。
片方のおっぱいだけ飲んで眠ってしまった場合、飲ませていない反対のおっぱいがパンパンに張っていますよね。
このまま数時間ほおっておくと、乳腺炎の原因になりかねません。飲み残しはきちんと絞っておくと安心です。

でも、すぐに起きてもう一度飲ませられそうなときは、そのままでも構いません。今度はパンパンに張っているほうのおっぱいから飲ませて、なるべく母乳をおっぱいの中に長くとどめないように心がけましょう。毎日のちょっとした気配りで、乳腺炎の原因は取り除くことができますよ。

乳腺炎と乳がんのしこりの違い

おっぱいや脇の下にしこりを見つけたら、まず疑ってしまうのが「乳癌」ではないでしょうか。最近、有名なタレントさんも乳がんをカミングアウトして、話題になりましたよね。
授乳期のママは「おっぱいの痛み」や「手で触れてもわかるしこり」をすべて、「きっとまた乳腺炎ね」と軽く片付けてしまいがちですが、もしかしたらその中に乳がんが隠れているかもしれません。

では、乳腺炎と乳がんはどのように見分ければいいのでしょうか。

しこりを押してみて痛かったら”乳腺炎”、痛くなかったら”乳がん”

乳腺炎のしこりに触ると痛みを感じ、ひどくなると赤ちゃんを抱っこできないほど強い痛みを伴いますよね。しこりを押すなんて、痛くてイヤ!とお思いの方もいるのではないでしょうか。
そのように触ると強い痛みを伴うしこりは、まず乳腺炎のしこりの可能性が高いです。

一般的に初期や中期の乳がんのしこりであれば、触ってもまず痛みは感じないと言われています。
どの方向からグリグリ通しても痛みはないのに、とても硬くてつぶれない塊があれば、乳がんのしこりではないのでは?と疑って早めに受診するようにしましょう。

乳がんのしこりは”固い”、”動かない”、”境界線がわからない”

乳がんのしこりは押しても動くことはなく、皮膚の裏側にべったりと張り付いているような状態なのが特徴です。指で押すと移動するようなら、乳がんではない可能性が高まると言われています。
また、どこがしこりの境界線かはっきりしない感じであることも乳がんのしこりの特徴の一つです。

ただし、皮膚に近いところではなく、乳腺の奥のほうにできるとなかなか素人では判断がつけかねますので、怪しいと思ったら専門医に診てもらうようにしましょう。

知っておきたい、授乳と乳がんの関係性

授乳中は乳がんになりにくい!?

実は、授乳中に乳がんを発症するのはごくまれなことと言われています。
授乳中は乳腺が発達し、乳がんができにくい状態になっているという説が主流ですが、まだ詳しい因果関係はわかっていないとのことです。
ただ、授乳中の女性のおっぱいのしこりは、ほとんど乳溜(乳汁がたまったもの)で、しばらくすると体内に吸収されてなくなってしまうことが多いようです。
時間をおいてもしこりが消えないようであれば、かかりつけの医師に相談してみましょう。

授乳中に乳がん検診はできる?

では、どうしても授乳中にできたしこりが心配な場合、どうすればいいのでしょうか。これはやはり乳がん検診を受けるのが一番確実です。

ただし、乳腺が発達した授乳中は、マンモグラフィーではっきりとしこりが写し出せないことが多いようです。発達した乳腺がジャマして、しこりをきちんと判断することが難しいようです。
ですから、授乳中は視触診や超音波検査(エコー検査)のみを受けて、断乳や卒乳した後にマンモグラフィーを受けることをお勧めされることが多いようです。

授乳することで、乳がんリスクが減るという研究も

2012年に、国立がん研究センターでは、「授乳が乳がんリスクを低下させる可能性がある」という研究結果を発表しました。
これは授乳をしている日本人女性を対象に調べた研究なのですが、授乳期間5か月ごとに2%ずつ乳がんのリスクが低下する…という研究です。

昔から「完全母乳で子育てすると乳がんになりにくい」とは言われていましたが、実証されたのはこれが初めてです。とはいえ、母乳で育てれば必ず乳がんを避けられるというわけではありませんので、油断しないようにしてくださいね。 ▼この研究発表の内容は、こちらのサイトを参考にさせていただきました。

授乳と乳がんリスク | 現在までの成果 | 科学的根拠に基づく発がん性・がん予防効果の評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究 | 国立がん研究センター がん予防・検診研究センター

乳腺炎と似た名前、「乳腺症」っていったい何?

乳腺に起こる病気の総称です

よく乳腺炎と混同される病気で、「乳腺症」というものがあります。
乳腺症は「乳がんや乳腺炎のようなはっきりとした病気を除いた、乳腺に起こるさまざまな病気の総称」です。乳腺症は乳腺に起こる病気の総称なので、以下のように症状もさまざまと言われています。

・脇に痛みや違和感がある
・おっぱいに痛みや違和感がある
・しこりができる
・乳首から分泌物がでる

どれも「もしかして乳がん?」と勘違いしてしまいがちな症状ですよね。
このような症状がありつつも、調べた結果乳がんではなかった場合「乳腺症」と判断されることが多いようです。
乳がんと乳腺症。どちらも似たような症状ですが、その後の治療法が大きく異なってきます。自己判断でホームケアをするのではなく、不安な時は専門医で検査を受け、きちんとした治療を受けるようにしてくださいね。

乳腺炎は、母乳で頑張るママの職業病

毎日何度も赤ちゃんに母乳をあげて、子育てを頑張っているママ。
揚げ物はダメ、刺激物もダメ、アルコールもダメと、たくさんの食事制限を抱えてストレスもたまることでしょう。

母乳で子育てしているママなら、どんなに気を付けていても乳腺炎になってしまうことは多いものです「乳腺炎になっちゃった」「自己管理が甘かった」などと自分を責めたりせず、乳腺炎は仕方のないことだと割り切りましょう。

乳腺炎は、母乳で子育てするママの職業病。あなたが頑張っているあかしです。乳腺炎になってしまったときは、自分のメンテナンスが必要な時期なんだと考えるといいかもしれません。

乳腺炎がつらい時は、疲れ切ったママ自身をいたわってあげてください。あなたがゆっくりと休んで体調を整えることが、お子さんのためにもなるはずです。
乳腺炎の時こそ自分自身をいたわって、ゆっくり休息する時間を取るようにしてくださいね。