自然と涙が出てくる…「産後うつ」の症状とは?主な原因と対処法

出産後は待望の赤ちゃんに会えて最高にハッピーな時期のはず。でも「育児がつらくて自然と涙が出てしまう」「具合が悪くて体を動かす気にもなれない」という状態が続くなら「産後うつ」かもしれません。産後うつの原因と予防策についてお伝えします。

産後うつって何?

「消えてなくなりたい」と思うことも

出産して1ヵ月後から1年以内に発病し、1割程度の方がかかると言われる産後うつ。うつ病と同じように心身の不調が出て、育児に支障をきたしてしまうこともあります。ひどい場合は「消えてなくなりたい」と考えるようにもなる怖い病気なのです。
なぜ発症してしまうのか主な原因を3つご紹介します。



産後うつの原因は?

1.ホルモンバランスの変化

産後うつの大きな原因はホルモンバランスの変化です。

妊娠や出産で変化するホルモンには気分を左右する効果のあるものも含まれています。
例えば妊娠中に増加するエストロゲンというホルモンは、幸せを感じさせるセロトニン神経に作用します。エストロゲンの量が増えるとセロトニン神経も活発になり幸せな気分が持続するというわけです。

ところがエストロゲンは出産後急激に減少してしまいます。この変化に体がついて行かないと、落ち込みやすく気分もふさぎがちになることがあります。出産後に多くの人が経験するマタニティーブルーも急激なホルモン減少のせいなのです。

ただし、マタニティーブルーは産後数週間で回復します。ところが1ヵ月経ってもそのまま気分の落ち込みが続く場合は「産後うつ」になっている可能性が高いのです。

2.子育ての環境

ホルモンバランスの乱れにプラスして、育児環境が産後うつ発症の可能性を高めてしまうこともあります。
新生児は数時間おきにおっぱいを欲しがりますから、ママは昼も夜もなくお世話を続けることになります。産後の疲れが取れない状態なのに、寝不足が続くので体を休める暇もありません。

この時期にパパや周りの人の助けを得ることができたらよいのですが、パパも残業で忙しかったりするとママが一人で育児をこなすことになります。誰も頼れず日々の疲れがどんどんたまった結果、産後うつを発病してしまうのです。

3.性格や考え方が原因となることも

ママの性格や考え方が産後うつを引き起こす可能性もあります。

通常のうつ病は真面目な人ほどなりやすいと言われていますが、産後うつでも同じです。もともと努力家の人は「ママになったんだから頑張らなきゃ」と自分を追い込んでしまう傾向があります。
慣れない育児と家事の両立は難しく、思い通りにいくとは限りません。できない自分にイライラするとともに「自分はなんてダメなんだ」と思い込み、うつ状態になってしまうことも。

また人に頼るのが苦手な方も要注意です。「自分の子どもなんだから一人で育てないと」と頑張りすぎたために、体も心も疲れ切って産後うつになってしまう場合もあります。
このように自分を追い込んでしまう性格や考え方も産後うつの原因となるのです。

産後うつの症状とは?8つのチェックポイント

産後しばらく経ってもこのような症状が続くときは産後うつの可能性があるかもしれません。

1. 子育てがつらく、赤ちゃんをかわいいと思えない
2. 落ち込むことが多く涙が出る
3. イライラして家族にあたってしまう
4. 考えがまとまらず言いたいことが話せない
5. ご飯を食べてもおいしく感じない
6. 寝つきが悪かったり、眠れなかったりする
7. ふらつきがあり、めまいがする
8. 家事をしようと思っても体が動かない

うつと言うとメンタルな病気のイメージが強いですが、体に症状が出る場合も多いです。病院で検査をしても体に異常がなかった場合は産後うつを疑ってみましょう。



産後うつを解消するには?

自分が産後うつかもと感じたらどのようにして解消したらいいのでしょうか?セルフケアの方法や自分で解消できない場合の対処法をご紹介します。

意識して休憩時間を取る

育児の合間にできるだけ休息しましょう。

赤ちゃんのお世話で休む暇もないと思うのですが、ママが倒れてしまっては大変です。赤ちゃんのお昼寝タイムに家事をこなしたいところですが、ここは割り切ってママも一緒に休むようにしましょう。

少し横になるだけでもだいぶ違いますし、育児から離れるのもおすすめです。お笑い番組を見て思いっきり笑ったり、あたたかいお茶で一息ついたりするのもよい気分転換になりますよ。

食べ物で心の不調をケア

栄養のある食事を心がけることも産後うつの回復につながります。

うつはハッピーホルモンと呼ばれるセロトニンが減少することで起こります。セロトニンなどの神経伝達物質は普段の食事から作られます。そのため疲れた体と心を回復させるにはバランスの取れた食事をとることが大事なのです。

セロトニンの原料となるタンパク質を多く含んだ食品や、精神を安定させるビタミンBが取れる食品がおすすめです。また、産後に貧血気味だった場合は鉄分も意識して取るのもいいですね。

セルフケアで回復しない場合は病院受診を

軽度の産後うつでしたら今までご紹介した方法で回復してきます。ただし育児が落ち着いてくる生後3ヵ月を過ぎても症状が続く、日常生活に支障が出るほどつらい場合は病院受診をおすすめします。

受診する科は心療内科や精神科です。普段なじみのない病院に行くのはちょっと怖いと思うかもしれませんね。でも産後うつを疑って受診する人は結構多いですよ。ママの体調が悪いと育児もままなりませんから、ちょっとおかしいと思った時点で受診する傾向があるためです。

治療には抗うつ剤や安定剤などの薬が使われます。薬と母乳については主治医とよく相談しましょう。
飲んでも授乳を続けられる薬もありますが、母乳育児を中止しなければならない薬もあります。母乳で育てたかったママにはつらい決断ですが、体調が悪くて育児ができないよりは早く治すためと割り切ることも必要です。実際に産後うつにかかったママの多くは断乳して薬を飲み、早期回復を目指す人が多いですよ。

産後うつの予防策

産後うつを発病しやすい時期は、里帰りから自宅に帰ってきた産後1,2ヵ月ごろに多い傾向があります。自宅に帰ってくると一人で育児をしなければならずママにとって負担が増えるのが原因です。
発症しやすい時期をうまく乗り切るための予防策をご紹介します。

1.完璧にできなくてもしょうがないと割り切る

赤ちゃんがすくすく育っていれば、家事などができなくてもしょうがないと割り切ることも大事です。

育児に追われて家の中がぐちゃぐちゃになり、片付ける気力もない日もあるでしょう。完璧主義の人にはそれが許せないかもしれませんね。でも「できなくてダメだな」と自分を追い込まないでください。

初めからパーフェクトなママなんていません。赤ちゃんの成長と一緒に少しずつママになっていけばいいのです。今は赤ちゃんにかかりっきりでいい時期ですから「赤ちゃんが元気ならそれでよし!」と思いましょう。

2.家族の理解と協力を得る

育児が大変なときは周りの人の助けを求めることが産後うつの予防になります。
一番身近なパパに理解と協力を求めるのはもちろん、おじいちゃんおばあちゃんなど頼れる人がいたら定期的にお手伝いをしてもらい、体と心をリフレッシュする時間を取るように心がけましょう。

3.相談先の確保をしておく

育児相談ができる場所を確保しておくと、いざというとき頼りになります。

一番身近なところでは地域の保健師さんが頼りになるでしょう。まずは産後1ヵ月以降に行われる新生児訪問で育児に関する悩みを相談してみましょう。色々なアドバイスをしてくれるはずです。

その他には子育て支援センターや保育園で行っている子育て相談があります。これらの施設では子どもを遊ばせながら他のママと交流したり、保育士に育児相談したりすることができます。赤ちゃん連れでも出かけやすいですし、少し話すだけでも心が軽くなりますよ。

4.保育園やファミリーサポートなどの一時預かりを利用する

パパも仕事が忙しく頼れる身内も近くにいない場合は、保育園やファミリーサポートなどで行っている一時預かりを利用してストレス発散するのも手です。

毎日子どもと一緒では気の休まる暇もないでしょう。ママ一人のリラックスタイムを作ることで気持ちがリセットでき「また子育て頑張ろう」と思えるようになるはずです。

一時預かりの情報は自治体のホームページを見たり、保育園に直接問い合わせて調べましょう。預けたことのある先輩ママに聞いてみるのもいいですね。

一人で頑張りすぎないで!周りの人の手を借りて楽になろう

実は私も産後うつにかかって治療したことがあります。

私の場合は出産後からずっとめまいが続いていました。里帰り中はなんとか過ごせていたのですが、自宅アパートに戻ってきた翌日に症状が悪化。朝起きようと思っても体が全く動かなくなってしまいました。内科で血液検査などを行っても異常がなく、精神科受診を勧められてはじめて「産後うつ」と診断されたのです。

薬を飲むために断乳しなければなりませんでしたが「ミルクだとパパにもできるし」と割り切って考えました。子どもが1歳になる前には薬もやめることができ、早期治療の大切さを感じました。

子どもにとっては元気なママが一番です。少しでも変だなと思ったら病院を受診してみてくださいね。