体外受精後の着床改善の可能性か、着床に関わる300のタンパク質を特定、薬にもつながる?

体外受精後の着床の成功率につながる可能性のあるタンパク質が300種類このたび特定された。さらなる検証は必要だが、体外受精の成功率を高める治療や薬にもつながるかもしれない。

着床に関わる「タンパク質」に着目

中国の上海交通大学医学院の研究グループが、タンパク質の専門誌であるジャーナル・オブ・プロテオーム・リサーチ誌で2015年3月18日に報告した。不妊治療のための最も一般的な手法は体外受精(IVF)だ。妊娠まで至る道のりは長く、そもそも排卵があるのか、排卵したあとに、正常に受精するか、受精卵は育つのか、受精卵は無事に子宮の中に定着するのか、専門的には着床をするか。さらに着床した後も関門は多い。着床からおおむね1カ月でようやく妊娠が成立する。両親の年齢や生活習慣などの条件にもよるが、研究グループによると、妊娠まで至る成功率は平均で3分の1程度にとどまるという。妊娠に至らない大部分の場合、受精卵が育って「胚」にまで育った後に、子宮壁に着床しないところが問題となる。流れてしまうわけだ。なぜ着床しないのかは謎であった。この謎を解くために、研究グループはこのプロセスに関与するタンパク質に着目した。

300以上のタンパク質が関与?

研究グループは、12人の女性からの子宮内膜のサンプルを用いて試験を行った。2000以上のタンパク質を特定。そのうちの300以上のタンパク質の濃度が、子宮内膜が胚着床の準備ができているかどうかで大きく異なると突き止めた。さらに、特定したタンパク質のうちの一部の濃度の引き上げまたは引き下げによって胚の着床の可能性、つまりIVFの成功率を引上げられるかの検証を進めていく。妊娠だけではなく、子宮内膜関連の病気の治療改善にも役立つ可能性があるようだ。着床の成功率が高まる薬が実現するとすれば、大きな需要が生まれそうだ。

文献情報

Xu C et al. Understanding proteins involved in fertility could help boost IVF success. Journal of Proteome Research. 2015 Mar 18.

https://www.acs.org/content/acs/en/pressroom/presspacs/2015/acs-presspac-march-18-2015/understanding-proteins-involved-in-fertility-could-help-boost-ivf-success.html