川崎病への血液製剤「ガンマグロブリン療法」、最長46年の追跡で効果検証

川崎病でメカニズムが必ずしも解明されていない血液製剤を使った治療「ガンマグロブリン療法」と呼ばれる治療の効果がこのたび最長46年に及ぶ追跡調査に基づいて報告された。心臓の血管にできる病変に対する効果は病変の大きさによるようだ。

全身の血管に炎症が起きる病気

国立台湾大学の研究グループが、小児科領域の医学専門誌、アーカイブス・オブ・ディジーズ・イン・チャイルドフッド誌オンライン版で2015年1月6日に報告したもの。川崎病は、4歳以下の子どもに起こることが多い原因不明の病気。発見者の名前にちなんだ川崎病の名称が普通は使われており、小児急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群とも言われる。全身の血管が炎症を起こす。発熱や発疹、眼球粘膜の充血、くちびるの赤くなる変化、舌が赤くなる「イチゴ舌」、頸部リンパ節腫脹、手足の先が赤く腫れるなどの症状がある。心臓に血流を供給する「冠動脈」に影響して、1cm程度のこぶができることがある。冠動脈瘤(かんどうみゃくりゅう)と呼ばれるもので、心臓への血流が滞って心筋梗塞を招くこともある。



炎症や毒素を抑える

日本でも冠動脈瘤の治療に免疫グロブリン療法、あるいはガンマグロブリン療法と呼ばれる治療が行われることがある。人間の血液から作られる血液製剤で、異物から体を守る抗体の働きを応用した薬剤だ。どのような仕組みで効くか必ずしも解明されていないが、炎症を抑えたり毒素を打ち消したりする効果があると見られている。研究グループは、川崎病の1073人について、このガンマグロブリン療法の効果を検証した。冠動脈瘤を押さえる効果を追跡調査するものだ。

小さいものは9割を消失させる

1980年〜2012年の間に第3次医療センターで扱った川崎病の1073人を対象とした。冠動脈の病変は、病気になったばかりの急性の発熱期では約4割で確認できた。このうち約2割が1カ月以上持続した。男女では男性が多い。この2割のうち小さな冠動脈瘤は12%強、中程度の冠動脈瘤は4%、大きい冠動脈瘤は2.5%となっている。その後の追跡調査は1年〜46年。大きな冠動脈瘤については、全てが消えずに残った。中程度は半分強、小さいものは1割が残った。



最初の1カ月がその後を左右する

川崎病を発病してから1カ月までの状態がその後に大きく影響を及ぼすという結果だ。ガンマグロブリン療法は、病気の初期の冠動脈瘤を改善するものの、さらなる冠動脈瘤の治療効果には限界もありそうだ。早めに対策を打つのは大切なのかもしれない。

文献情報

Lin MT et al.Acute and late coronary outcomes in 1073 patients with Kawasaki disease with and without intravenous γ-immunoglobulin therapy.Arch Dis Child. 2015 Jan 6 [Epub ahead of print]

Acute and late coronary outcomes in 1073 patients with Kawasaki disease with and without intravenous γ-immunoglobulin therapy. – PubMed – NCBI
Arch Dis Child. 2015 Jun;100(6):542-7. doi: 10.1136/archdischild-2014-306427. Epub 2015 Jan 6. Research Support, Non-U.S. Gov't