★12/4放映★胎内でしか生きられない「無脳症」の宣告…母子の運命は?【人気産科医療マンガ『コウノドリ』特集⑫】

毎週金曜放送中のドラマ「コウノドリ」。ドラマ最終話まであと3回となった今回は、原作第5話で紹介された「無脳症」のお話を取り上げています。鴻鳥が忘れることの出来ない妊婦さんのお話…要チェックです!

コウノドリ第5話「無脳症」あらすじ

オンコールでもないのに鴻鳥が駆けつける出産…鴻鳥が忘れられない妊婦とは

その日、一件のお産がありました。帝王切開でもなんでもない、産科医の出番のない理想的なお産です。それでも鴻鳥がそのお産に駆けつけたのには理由がありました。

妊婦の名前は川村実咲さん。2年前にも一度妊娠をして、ペルソナ総合病院で出産の予定でした。その当時も鴻鳥は彼女の担当医。一度めの妊娠でようやく胎動を感じはじめた、という彼女の健診中に鴻鳥はあることに気付きます。

エコーに写っていたのは、絶望的な事実でした…。

2年前の川村さんのお産、それはとても悲しいものでした

数日前から胎動を感じはじめた、という川村さん。1ヶ月ぶりのエコー検査にとても嬉しそうです。

「あっ…また大きくなってる」

と笑顔の川村さんですが、彼女とは対照的に鴻鳥は愕然とした表情を浮かべます。川村さんの赤ちゃんは「無脳症」だったのです。

胎内でしか生きられないという事実を伝えられても、実感がわかない川村さん。

「で…でも助けられるんですよね?ほら…ねぇ…何か…先生?」

と、うろたえつつも鴻鳥にすがるようにたずねます。しかし鴻鳥は静かに首を振るのでした。

中絶をすすめられるものの、簡単には決断できない川村さん

鴻鳥に人工妊娠中絶をすすめられるものの、川村さんは必死でお腹の赤ちゃんを助ける方法を探します。一日中パソコンに張り付いてインターネットの情報を集めますが、そこには絶望的な内容ばかり…。

それでもお腹の中で元気に動く赤ちゃんを思うと、なかなか「中絶」という決断をすることができません。

そんな妻の様子を見てご主人はある決断をします。その決断とお腹の赤ちゃんの行く末は…。2年前の出来事の結末や、現在の川村さんのお産が気になる人は是非ドラマや原作をチェックしてみてください!



無脳症(むのうしょう)とは

脳の一部もしくはほとんどが欠損した状態

無脳症は神経学的奇形症の一種です。無頭蓋症(むとうがいしょう)とも呼ばれ、神経管欠損症(しんけいかんけっそんしょう)や頭蓋骨の欠損を含みます。

通常、大脳半球(※1)は欠損して全くないか小さく萎縮しており、生命維持に重要な脳幹の発達も阻害されるため、ほとんどの場合(75%程度)死産となります。無事に出産できた場合も、生後1週間以上生存することは難しいと言われています。

ただし極少数ではありますが、数年生存した例もあり、無脳症児の中絶について賛否がわかれる問題となっています。

※1「大脳半球」…大脳の一部で、終脳を構成する左右の半球状の部分のこと。

口唇口蓋裂などを併発する場合も

前述の症状以外にも、頭蓋骨や頭頂部の皮膚欠損により脳が露出している場合や、眼球の欠損や突出、口唇口蓋裂(こうしんこうがいれつ)などを併発する場合もあります。
おなかの中で赤ちゃんが成長し、人間の形になっていく、というのは本来とても大変で難しいこと。大きな異常がなくても、生きていくのに全く問題のない小さな異常というものを少しくらい持っているということはよくあるものです。今回はそれほど知られていないけれども実は少なくない、口唇口蓋裂という病気についてお話したいと思います。

無脳症の診断はいつから可能か

早ければ妊娠10週頃から、はっきりとわかるのは妊娠12週以降

無脳症は、超音波検査(エコー検査)で診断が可能です。早ければ妊娠10週頃から頭部に靄(もや)がかかったように見えたり、頭蓋骨の欠損により脳が露出しハートの形に見えることもあるそうです。

妊娠4ヶ月(妊娠12週)以降にはっきりと診断される場合がほとんどで、羊水もしくは母体の血清から「血清蛋白AFP(血清蛋白A-フェトプロテイン)」が400ng/mL(ナノグラム パー ミリリットル)以上で確定されます。



無脳症の原因と治療方法

神経管から脳や脊髄がうまく形成されないことが原因

無脳症の原因は、神経管の発達障害とされていますが、それが起こる要因は究明されていません。遺伝要因があると言われることもありますが、まったく関係ないといわれることもあり、真偽ははっきりしません。

日本では葉酸の接種により予防することが可能だとも言われていますが、それも100%ではないようです。飲酒・喫煙など妊娠中に避けるべきことも無脳症のリスクを上げると言われています。

治療方法は今のところ無い

無脳症の治療方法は今のところ確立されていません。そのため中絶を進められる場合が多く、出産を行うこと自体珍しいケースとされています。

無脳児でありながら長期間生存できた例も

3歳まで生きたニコラス・コークスくん

ニコラスくんは、大脳が無い状態で生まれました。そのため、考えたり周りの声に反応したりすることはありませんでした。目も見えず、耳も聞こえません。自分で這ったり起き上がることも不可能でした。

それでも彼のお母さんは、彼を慈しみ大切に育て、彼と過ごす時間に幸せを感じていたという内容のコメントをしています。

ビトリア・デ・クリストちゃんは2歳半まで生存

ビトリアちゃんは、無頭蓋・無脳症でうまれました。彼女と過ごした2年半を、ビトリアちゃんのお母さんは「楽しくすばらしい2年半」とコメントしています。

無脳児の中絶については賛否両論

このように極まれではありますが数年を生存した例もあるため、無脳児の中絶については賛否両論あるようです。

ほとんどの場合死んでしまうということがわかっているものの、前述の通り生存例があるため「例え短い時間だとしても胎児の生きる権利」を認めるべきたという人もいます。

大脳を持たず思考も出来ない状態で生存することに果たして意味はあるのか、という意見もあります。この問題については、答えは出ないままです。

命に優劣なんてない

何かを失った人に寄り添える人でありたい

無脳症の赤ちゃんを中絶すると決めた場合、パパやママは分娩後に赤ちゃんと対面するかどうかをとても悩むそうです。それは「見たくない」という思いから来るものではなく、むしろまったく逆の感情から来るもので、

「本当は会いたい…けれど対面したときにもし、マイナスの感情を一瞬でも持ってしまったら…」

そう考えて悩むそうです。

けれどほとんどの場合「会ってよかった」「顔を見たらとても可愛かった」という意見が多く、直前まで悩んでいた人も、分娩が終わると「会いたい!」という気持ちが大きくなることが多いようです。

奇形症の一種とされる無脳症。その特異な見た目から悪しざまに言う人がいますが、パパやママにとっては自分たちを選んで来てくれた唯一無二の愛しい子…何ものにも変えがたい命なのです。

そんな愛しい命を、断つという選択しかできなかったママの心境は想像を絶するものだと思います。もしも自分の周りに、そういった深く傷ついている人が居るとしたら、何も出来ることはないかもしれませんが、せめてそっと寄り添えたら…そう思います。

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