卵巣嚢腫ってどんな病気?治療法や不妊との関係などを徹底解説!

卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ)は卵巣にできる良性腫瘍の一種です。多くの女性がかかると言われていますが、卵巣は妊娠や出産などのライフイベントに大きく関わる臓器なので心配ですよね。卵巣嚢腫の診断方法や原因、治療・手術、再発の有無そして不妊との関係などを気になることをまとめました。

卵巣嚢腫とは

卵巣囊腫はどのような腫瘍?良性なの?治療法は?妊娠は?…色々なことが心配になりますよね。卵巣囊腫で心配になることについて徹底的に解説します。

そもそも卵巣とは

卵巣は子宮の両側(左と右)にひとつずつある臓器で、子宮の両側から伸びる卵管の先にあります。通常は直径2〜3cm程の大きさで楕円の形をしています。

卵巣には卵子を育て排卵すること、子宮を制御する女性ホルモンを分泌することの2つの役割があり、卵巣は子宮と同様に女性特有の臓器で月経や妊娠に大きく関係しています。 胎児のときから卵巣内には卵子のもとである「原始卵胞」は700万個あり、出生後には200万個に減り、さらに思春期までには30万個になります。

徐々に原始卵胞は減っていきますが、思春期には原始卵胞の一部が発達を始めます。そして発達し始めた原始卵胞のうち成熟したものが卵胞となります。卵胞は1つの卵子を含んでおり、1ヶ月に1度卵胞から卵子が放出されます。これが排卵です。

発達が遅かったり途中で発達を止めた原始細胞は死滅し、卵巣に吸収されます。原始卵胞は出生時には200万個ありますが、成熟して排卵されるのは400〜500個程度と言われています。

卵巣嚢腫は基本的には「良性の腫瘍」

卵巣は腫瘍ができやすい臓器と言われており、原因となる組織や腫瘍の中身などにより様々な種類に分類されます。卵巣嚢腫(のうしゅ)は卵巣にできる腫瘍の一種で、卵巣内の細胞や分泌物がたまってできます。また卵巣嚢腫は他の臓器にできる腫瘍とは異なり、若い人でもかかりやすいことが特徴です。

そして腫瘍と診断されて一番気になるのが、良性か悪性かと言うことです。悪性腫瘍は「ガン」と呼ばれるものですが、良性腫瘍は「ガン」ではないため生命の危機に直結する病気ではありません。卵巣腫瘍の約70〜90%が良性腫瘍と言われています。卵巣腫瘍の良性・悪性は腫瘍の中身と大きく関係しています。 液体や脂肪が入った柔らかい袋状の腫瘍は嚢胞性腫瘍(のうほうせいしゅよう)と呼ばれ、これが嚢腫です。卵巣腫瘍の約85%が卵巣嚢腫であり、そのほとんどは良性腫瘍です。中身が固形で固いこぶのような腫瘍や液体と固形が混在する腫瘍は充実性腫瘍と呼ばれます。卵巣腫瘍の約15%は充実性腫瘍であり、その約85%は悪性腫瘍・境界悪性腫瘍つまり卵巣ガンであると言われています。 広い世代の女性が卵巣嚢腫にかかりますが、若い人ほど良性腫瘍である確率が高く、年齢が上がるにつれて悪性腫瘍の発生率も高くなると言われています。悪性腫瘍は閉経前後に発生することが多く、また良性腫瘍がガン化することもあるようです。

※境界悪性腫瘍とは良性腫瘍と悪性腫瘍の中間のような腫瘍ですが、ガンになりそうな腫瘍と言う意味ではなく、悪性度が低いガンを表します。悪性腫瘍であることに間違いありません。

卵巣嚢腫は片方だけ?

卵巣は左右に1つずつありますが、左右の卵巣で同時に嚢腫が見つかる確率は10〜50%と開きが大きいです。この確率も嚢腫の中身によって異なります。嚢腫の種類によって片方のみに発症するか、または両方に発症するかが変わってきます。詳しくは、下の「卵巣嚢腫の種類」をご覧ください。

自覚症状が無い?

卵巣嚢腫は症状が現れにくいことが特徴で、自覚症状が現れた時には嚢腫がかなりの大きさになっていることもあります。卵巣嚢腫には次のような症状があります。 ■下腹部痛・腰痛
■便秘・頻尿
■腹部膨満感
■ひどい生理痛

卵巣嚢腫は大きくなると周囲の臓器などを圧迫するので、腹や腰に痛みを感じたり、便秘や頻尿になることもあります。また卵巣や子宮に何らかの疾患がある場合は生理痛がひどくなる傾向があります。
自覚症状が現れにくいので、検診や他の病気で病院を受診したときに卵巣嚢腫が見つかることも多くあるそうです。

卵巣囊腫には4つの種類があります

卵巣嚢腫は嚢腫の中身によって分類されます。そのうち発生頻度の高いものは漿液性嚢腫、粘液性嚢腫、皮様性嚢腫、子宮内膜症性嚢胞(チョコレート嚢胞)の4種類です。

■皮様性嚢腫(ひようせいのうしゅ)

髪の毛や皮膚、骨、皮下脂肪などの体の中にある組織が含まれる嚢腫です。皮様性嚢腫は原始卵胞が成長する途中で変異が起こり、発生すると考えられています。そのため人の体を構成する様々な組織が含まれます。皮様性嚢腫は成熟嚢胞性奇形種(せいじゅくのうほうせいきけいしゅ)とも呼ばれ、胚細胞性嚢腫に分類されます。
最も発生率の高い卵巣嚢腫で、卵巣腫瘍の約18〜45%が皮様性嚢腫と言われています。年齢に関係なく発症しますが、20〜40歳代での発症率が高く、他の嚢腫の比べて若い女性でもかかりやすい嚢腫です。

■漿液性嚢腫(しょうえきせいのうしゅ)

漿液(しょうえき)とは粘性の低いさらさらした分泌液のことで、多くは薄黄色の透明の液体です。漿液性嚢腫は卵巣から分泌された漿液が溜まった嚢腫です。卵巣腫瘍の約15〜25%が漿液性嚢腫と言われています。年齢に関係なく発症しますが、30〜40歳代で見つかる方が多いです。

■粘液性嚢腫(ねんえきせいのうしゅ)

粘性の高いどろどろした分泌液が溜まる嚢腫です。卵巣腫瘍の約16〜30%が粘液性嚢腫と言われています。漿液性嚢腫に比べて大きくなりやすいため、破裂して腹膜炎を起こす心配があります。左右両方の卵巣で発症することはほとんどありません。30〜40歳代で見つかる方が多く閉経を迎えると発症率は低下します。

■子宮内膜症性嚢胞(チョコレート嚢胞)

子宮内膜症とは、子宮内膜の組織細胞が子宮以外の場所に飛び、増殖と剥離を繰り返す病気のことです。チョコレート嚢胞とは、それが卵巣でおこったときのことを言います。子宮には子宮口があるため、充血した子宮内膜は着床がなければ自然に剥がれて排出されますが、卵巣からは直接体外に排出できません。

このことから、濃縮され茶色く変色した血液の色や形状がチョコレートのようになることからチョコレート嚢胞と呼ばれます。子宮外の子宮内膜も月経周期に伴い分泌される女性ホルモンの影響で増殖を繰り返すので、月経があるたびにチョコレート嚢胞も大きくなる可能性があります。

閉経により女性ホルモンの分泌が減ると、チョコレート嚢胞が小さくなることがあります。また、チョコレート嚢胞の場合は両方の卵巣で発生することも多いようです。 チョコレート嚢胞が卵子の成長や排卵を妨げたり、卵巣の外で増殖した子宮内膜が卵管の通りを悪くしたり、不妊の原因となることがあります。またチョコレート嚢胞はガンに移行する可能性もあり30代でガン化することは稀ですが、40〜50代になるとその確率が増加するそうです。

診断する方法

卵巣嚢腫は経膣超音波検査と呼ばれる検査で発見されることが多いです。経膣超音波検査で卵巣の腫れが見られたり、袋状の腫瘍を発見すると「卵巣嚢腫」と診断されます。

さらに良性か悪性かの判断、嚢腫の大きさなどを詳細に把握するためにMRIやCTなどの画像診断、血液検査などを行います。精密検査の結果を元に今後の治療方針などを決めることになります。

いずれの検査も卵巣嚢腫を直接見て診断するわけではないので、100%の診断ではありません。嚢腫の摘出手術を行い、摘出した嚢腫の病理組織検査を行って、最終的に嚢腫の種類や良性が確定します。

経膣超音波検査

経膣超音波検査とは棒状のプロープという器具を膣の中に入れて検査する方法です。経膣超音波検査は狭い範囲を精密に投影できるので、卵巣や子宮などの詳細なサイズや内容物(液体か個体か)を観察できます。

下着を脱いで内診台に座り、膣から機械を入れるため、はじめて婦人科を受診する方は躊躇するかもしれません。病気を発見するためですが、どうしても緊張する場合は女性のお医者さんにお願いしてみるのもいいですね。

血液検査

体内に腫瘍細胞があると大量に分泌される物質があります。血液中に含まれるその物質の量を計測し、ガンの可能性や進行度合いを判断する1つの基準とします。

この物質を腫瘍マーカーと呼びます。ガンが発生する臓器によって反応する腫瘍マーカーが異なり、卵巣がんなどの婦人科系の腫瘍にはCA125が有効となります。CA125とともにCA19-9の数値が上昇することもあります。CA125、CA19-9以外にも様々な腫瘍マーカーの数値を検査します。 腫瘍マーカーはあくまでも判断基準の1つであり、腫瘍マーカーの数値が高くても画像診断で悪性腫瘍が見つからない場合もあれば、腫瘍マーカーが正常値でもガンに罹っていることもあります。腫瘍マーカーの数値は参考程度に考えてください。

MRI検査

MRI検査は磁気を使用して体の断面図を投影します。X線(放射線)を使用するCT検査とは異なり放射線被爆はありません。水分の多い部分の投影に向いており、卵巣嚢腫の中身を判断することもできるため、卵巣嚢腫の診断にはとても有効な検査です。

体を輪切りにしたような画像(横断像)だけでなく、体を横から見たような画像(縦断像)も投影できるため、様々な角度から体内をチェックできます。 MRI検査には次のような欠点があります。

■検査時間が30分〜1時間とCTに比べて長い
■装置内が狭く機械音が大きい
■狭い範囲の画像しか撮影できない
■骨の状態が観察できない

閉所恐怖症の方は不安を感じると思いますが、あまり緊張しすぎずに検査を受けてください。妊婦や子どもでも受けられると言われていますが、妊娠初期の胎児への影響の有無はまだ確認されていないので推奨されていません。

CT検査

CT検査はX線を使用して体の断面図を投影します。X線はレントゲン線とも呼ばれ放射線の一種であるため、放射線被爆があります。原則として妊婦さんはCT検査は受けられません。

検査範囲が広いこと、検査時間が30秒程度と短いこと、MRIでは撮影しにくい骨や肺などを様子が詳細にわかることなどが特徴です。腫瘍マーカーの数値が高いなど悪性腫瘍の恐れがある場合はMRI検査に加えてCT検査を行うこともあります。

MRIとCT共通の注意点

画像診断には様々な制約があるので、検査に同意する前にしっかりと説明を受けましょう。

【検査前の食事】
検査当日は4時間前から絶食となります。お水やお茶などは検査直前まで飲んでも構いません。

【造影剤】
より詳細な画像診断を行うために造影剤を使用する場合もあります。造影剤は注射や点滴の場合が多いです。稀に副作用が出ることもあるため、いずれも検査前に同意書へのサインが必要です。

卵巣嚢腫になる原因

なぜ卵巣囊腫になるのでしょうか?その原因はほとんど解明されていませんが、考えられる可能性についてまとめました。

漿液性嚢腫・粘液性嚢腫の原因は?

漿液性嚢腫も粘液性嚢腫も体内で分泌される液体が溜まってできることはわかっています。しかし、なぜ卵巣内にこれらの液体が分泌されるのか、なぜ液体が溜まるのかなどはわかっていません。

皮様性嚢腫の原因は?

卵巣には人の体の元となる卵子(胚細胞)が多く存在します。卵子は人体のどの部分にもなり得るため、何らかのきっかけで変異し、腫瘍に変化すると言われています。しかし変異する原因などは解明されていません。

チョコレート嚢胞の原因は?

チョコレート嚢胞は卵巣内で子宮内膜症を発症することで起こりますが、子宮内膜症が起こる原因は解明されていません。子宮口から体外に排出される子宮内膜が逆流し、卵管を通ってお腹の中に流れ出すのはないかと言われています。

そして、卵管から卵管采を経て子宮内膜の組織細胞が卵巣に行き着くのではないかと考えられています。

※卵巣と卵管は繋がっていません。卵管の先にある卵管采はイソギンチャクのような形をしていて、卵巣を包み込むように配置され、卵管采は卵巣から飛び出した卵子をキャッチします。このように卵管采はお腹の中と繋がっています。

卵巣嚢腫の治療について

卵巣囊腫の効果的な治療方法は手術をして嚢腫を摘出することです。手術が必要かどうかは嚢腫の大きさによって判断するため、卵巣囊腫があってもほとんどの場合は経過観察となります。またチョコレート嚢胞は月経周期に伴い分泌される女性ホルモンの影響を大きく受けるので、ホルモン療法が有効です。

基本は経過観察(4cm以下)

通常は2〜3cm程の大きさの卵巣が3cm以上になると、卵巣が腫れていると見なされ卵巣囊腫と診断されることが多いのですが、この基準値はお医者さんによって異なります。

嚢腫の大きさが4cm以下の場合は、一般的には経過観察となります。定期的に検査を受け、嚢腫が大きくなっていないか、嚢腫の中身が変化していないか、腫瘍マーカーが上昇していないかなどをチェックしてもらいましょう。 嚢腫が4cm以下でも次のような症状があるときは、手術することもあります。
■徐々に大きくなる
■嚢腫の被膜が変形する
■強い痛みを感じる
■MRI検査やCT検査で悪性が疑われる

手術を視野に(5cm以上)

卵巣嚢腫が5cmを超えると、茎捻転の可能性が高まると言われています。茎捻転とは卵巣につながっている靭帯が卵巣嚢腫の重みで引き延ばされねじれてしまうことです。

必ず茎捻転を起こすわけではないので、嚢腫が5cmを超えたら即手術ということはありません。しかし嚢腫が徐々に大きくなるようであれば、いずれ手術をしなければならないと覚悟を持っておくといいですね。詳しくは、「卵巣嚢腫茎捻転とは」をご覧ください。 さらに嚢腫が7cmより大きくなると、茎捻転の危険性が高まるため手術を行うことが多いです。
嚢腫の大きさにより手術の方法も異なります。10cmより小さい場合は傷口も小さく回復も早い腹腔鏡手術を行えますが、嚢腫が10cmを超えると開腹手術になります。

チョコレート嚢胞にはホルモン剤の服用が有効

子宮内膜症の治療には女性ホルモンの分泌を減らすことで、子宮内膜の増殖を抑えることが有効となります。そのための黄体ホルモン製剤の服用がすすめられます。

黄体ホルモン製剤の影響により、月経が止まります。子宮内膜症の治療のために用いられていた従来の黄体ホルモン製剤は、長期服用すると骨粗しょう症の危険性が増すなどの重大な副作用がありました。 近年、長期的に服用しても安全な新しい黄体ホルモン製剤ディナゲスト(ジエノゲスト)が開発され、子宮内膜症の治療薬として注目されています。ディナゲストは服用しはじめて2〜3ヶ月で月経が止まり、服用する限り月経はありません。月経が止まっている間は子宮内膜は増殖しないので、チョコレート嚢胞の縮小も期待できます。

服用を止めると2〜3ヶ月で月経が始まるので妊娠も可能です。子宮内膜症の方は生理痛が強い傾向にありますが、ディナゲストにより月経が起こらないためツライ生理痛もなくなります。 飲みはじめの時期に不正出血がある場合が多いですが、数ヶ月で無くなりその他の副作用を感じない方もいます。その他の副作用として吐き気、ほてりや頭痛、イライラなど更年期に似た症状ありますが、従来のホルモン剤に比ると軽めになります。

1日2回、1回1錠の服用でお薬代が1ヶ月8000〜1万円と高額ですが、子宮内膜症の悪化による不妊や卵巣摘出のリスクを考えると、服用を考えるのもいいですね。

卵巣囊腫の手術について

卵巣囊腫の手術には、腹腔鏡手術と開腹手術の2通りの方法があります。嚢腫が10cm以下で癒着がなければ腹腔鏡手術を行うことが多いです。また嚢腫の摘出方法にも3通りあります。

腹腔鏡手術(腹腔鏡下手術)

腹腔とはお腹の中のことで、腹腔鏡とはお腹の中を観察するための内視鏡(カメラ)です。腹腔鏡手術は腹腔鏡をお腹に入れ、映し出される映像を見ながら手術を行います。

おへそと左右の下腹部に1cm前後の小さな穴を開けて、おへそ部分から内視鏡を入れ、左右下腹部の穴から器具を入れたり切除した嚢腫を取り出したりします。器具を動かすスペースを作るために、お腹の中に炭酸ガスを入れ膨らませます。 腹腔鏡手術にはお手軽なイメージがありますが、カメラのモニター越しに手術を行うので決して簡単な手術ではありません。悪性腫瘍などが見つかった場合は手術の途中で開腹手術に移行することもあります。手術前にはしっかりと説明を聞きましょう。

腹腔鏡手術には次のようなメリットがあります。
■術後の傷が目立たない
■傷口の痛みが少ない
■術後の癒着が少ない
■入院期間が短い
■早く社会復帰できる

なお開腹手術を受けたことがある方は腹腔鏡手術を行えません。

開腹手術

嚢腫が大きい、広範囲に癒着がある、悪性腫瘍が疑われるときなどは開腹手術を行います。開腹手術は腹腔鏡手術に比べて、傷口が大きく(10cm程)、術後の痛みも強く、入院期間も長くなります。

開腹手術には次のようなメリットがあります。

■手術時間が短い
■手術費用が安い
■悪性腫瘍などの予期せぬ事態にも対処しやすい
■全身麻酔でなくてもよい

摘出する範囲について

卵巣嚢腫を摘出する場合、卵巣全体を摘出する方法、嚢腫部分のみを摘出する方法などがあります。チョコレート嚢胞の場合は嚢腫の中身だけを抜くこともあります。どのくらいの範囲を摘出するかは嚢腫の状態や、年齢、妊娠希望によって異なります。

卵巣囊腫が良性で妊娠希望がある場合は、嚢腫部分のみを切除し卵巣を残すことが多いです。片方の卵巣を摘出しても、もう一方の卵巣が残っていれば排卵もあり女性ホルモンもきちんと分泌されるので妊娠は可能です。

妊娠希望がない方や閉経後の方は悪性に移行する可能性も考慮して、卵巣全体を摘出することもあります。

卵巣嚢腫は再発することはある?

せっかく手術をしても再発の心配がありますよね。卵巣囊腫の再発のついてまとめました。

卵巣がある限りゼロではない!

卵巣囊腫は手術で摘出しても再発する可能性はゼロではありません。既往歴に関わらず卵巣囊腫にかかる方は多いため、もしかしたら数年後にまた嚢腫が発見されるかもしれません。

卵巣囊腫を確実に防ぐためには卵巣と卵管を摘出することしかありません。2015年、ハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが卵巣ガンの予防のために卵巣を摘出したことが大きなニュースになりました。このように完全に病気を防ぐためには病巣を摘出することが最も有効ですが、予防手術を受けるのは身体的にも精神的にも金銭的にも容易なことではありません。

出来る限り早期に発見できるように、定期的な検診を心がけましょう。

チョコレート嚢胞は再発率が高い

チョコレート嚢胞では嚢腫のみを摘出しても、卵巣を摘出しない限り再発する可能性があります。術後2年で20%、5年で40〜50%の方が再発するという報告もあります。術後も定期的に検診を受けることが大切です。妊娠を望んでいない場合はホルモン療法を行うことが再発防止に大変有効となります。

卵巣嚢腫茎捻転とは

卵巣嚢腫によって起こる最も危険な症状が茎捻転です。卵巣嚢腫が5cmより大きくなると茎捻転の危険性があると言われています。

茎捻転とは

卵巣は子宮と骨盤から伸びた靭帯によって支えられています。卵巣囊腫が大きくなるとその重みで卵巣が下がり、靭帯が引き延ばされます。

引き延ばされた靭帯は茎のように細く長くなりねじれやすい状態になっているため、激しい運動など何かのタイミングで卵巣が動くと靭帯がねじれてしまうことがあります。このように卵巣を支えている靭帯がねじれることを茎捻転と言います。

茎捻転の症状

茎捻転で最も多い症状が下腹部の激痛です。ゆっくりと捻れた場合は痛みも少しずつ強くなります。この下腹部痛は非常に強いと言われているので、このような激痛を感じたらすぐに病院に行きましょう。その他にも発熱、腰痛、嘔吐、不正出血などの症状が現れます。茎捻転の症状は急性虫垂炎(盲腸)の症状とよく似ているため、間違われることもあります。

靭帯には卵巣に血液を送るための血管が通っているため、茎捻転を起こすと卵巣への血流が滞ります。このまま放置すると卵巣が壊死し、破裂や化膿、周囲の臓器との癒着を起こすこともあります。

茎捻転の原因

茎捻転が起こる原因ははっきりとはわかっていませんが、激しい運動やセックスなどでねじれることもあるようです。5cm以上の卵巣囊腫がある方は茎捻転の危険性を認識した上で、激しい下腹部痛で救急外来を受診したときは「卵巣囊腫があります」と伝えるようにするといいですね。

茎捻転の治療

茎捻転を起こした場合、基本的には手術を行います。以前は開腹手術を行い、卵巣と卵管などの付属臓器を摘出していましたが、最近では必ずしも卵巣を摘出する必要はないと言われています。

それは、手術をして捻れている部分を元に戻すと、9割程度は卵巣機能が正常に戻ることが報告されているからです。捻れ部分の解除だけであれば腹腔鏡手術でも実施できます。

症状が悪化し卵巣機能の復活が望めない場合や閉経している場合は、従来通り開腹手術を行い卵巣と付属臓器を摘出します。いずれの場合も年齢や妊娠希望の有無、茎捻転の症状などによりお医者さんが判断します。 ▼関連記事

妊娠・出産への影響

卵巣は妊娠・出産に関わる大切な臓器です。そこで気になるのが「妊娠できるの?」「経膣分娩はできるの?」など妊娠や出産が無事にできるかということです。卵巣囊腫が妊娠と出産に与える影響についてまとめました。

不妊の原因となる理由

卵巣囊腫が不妊の原因となることもありますが、卵巣囊腫があっても自然妊娠し無事に出産されている方もたくさんいます。囊腫が小さければあまり心配せずに赤ちゃんを待ちましょう。しかし嚢腫が大きくなると卵胞の成長を妨げることもあるため、妊娠を希望していることをお医者さんに伝え治療方針を決めましょう。 また原始卵胞は卵巣の壁にびっしり着いているので、嚢腫摘出手術の際にいくつかは摘出されるかもしれません。

30歳前後で原始卵胞がまだたくさんある場合は心配はいりませんが、40歳を超えている場合は手術による原始卵胞の減少、卵巣囊腫による不妊の可能性など様々な要因を考慮しなければなりません。年齢なども含めて気になることがある場合は、お医者さんに相談しましょう。

チョコレート嚢胞は不妊の可能性大!

注意が必要となるのはチョコレート嚢胞です。子宮内膜症は不妊の原因の1つと言われており、特にチョコレート嚢胞患者の3年間の累積妊娠率は0〜10%程度という報告もあります。チョコレート嚢胞によって卵管や子宮が癒着すると、排卵された卵子を卵管采でキャッチできなかったり、卵管から子宮に上手く送れなかったりするなど、排卵や受精、着床に大きく影響します。

もちろんチョコレート嚢胞でも自然妊娠する方もいるので、期間を区切って自然妊娠を試みるのもいいですね。自然妊娠のために手術でチョコレート嚢胞を摘出する方もいます。いずれにしても不妊に詳しい産婦人科のお医者さんに相談してみましょう。

破裂や茎捻転の恐れ

妊娠中はお腹の赤ちゃんが大きくなることで卵巣囊腫が圧迫されて破裂することもあります。また産道(子宮頸管)に近い場所に卵巣があると出産時に圧迫されて破裂する可能性もあります。妊娠中に茎捻転を起こした場合、赤ちゃんを諦めることになるかもしれません。 いずれも卵巣囊腫が大きい場合にごく稀に起こることなので、心配しすぎないようにしましょう。妊娠中にストレスを感じてしまうことの方がお腹の赤ちゃんには良くありません。もし破裂や茎捻転が起こったとしてもすぐに対応してもらえるように、夜間でも緊急帝王切開をしてもらえる病院で出産予約をしていれば安心ですね。

卵巣囊腫が5cm以上あり、妊娠中や出産時に心配事を増やしたくないと思うようでしたら、妊娠前に手術を受けることを考えましょう。

落ち着いて治療していきましょう

病院で「卵巣腫瘍です」と言われたらショックですよね。
20代、まだ若くて病気の心配などしていないからショックが大きいですよね。
30代、赤ちゃんを望んでいるのに「不妊症かもしれません」と言われたら先が見えなくなってしまいます。
40代、「ガン化することもあります」と言われ、血の気が引く思いをするかもしれません。

卵巣囊腫は悪化する可能性もありますが、良性腫瘍なので病気自体が命に関わることはあまりありません。病気や治療について不安なことはお医者さんに相談して、自分に合った治療方法を選んでください。

心配しすぎずに卵巣囊腫と上手く付き合っていきましょう。 ▼卵巣囊腫についての参考

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