アロマテラピーの10の基本的なルールと生活の中での6つの実践法

アロマテラピーは、生活の中でいろいろな場面で活躍することができます。基本的なルールを抑えて、おうちでできるアロマテラピーをはじめてみませんか?

アロマテラピーとは

植物の香りを使った療法

アロマテラピーという言葉はフランス語の「aroma(アロマ)=香り」と「therapie(テラピー)=療法」が組み合わさった造語です。
植物の香り(精油)を使って、心や体の不調を癒し、健康維持に役立てる療法です。例えば日本の昔からの習わしである、冬至にゆず湯、5月のお節句にしょうぶ湯につかるというのも日本版アロマテラピーといえますね。
実際のアロマテラピーは植物の葉や花などの部分から抽出した「精油」をキャリアオイルで希釈したものをつかってマッサージをしたり、香りの拡散、吸入などの方法を用います。



アロマテラピーの歴史

なんと6000年も前から芳香植物が利用されていた

紀元前4000年ごろ、メソポタミアで世界最古の文明が発達しました。このころの薬の処方や祈りの言葉が書かれた粘土板などが発見されています。当時は、医術に占星術や呪術が絡み合い、香りを焚いて呪文を唱えてから治療を行いました。

16世紀ころ、この時代にペストなどの伝染病が大流行しました。しかし、香水工場で働く人たちは病気にならなかったのです。香料には殺菌消毒作用のあるものがあり、医師は香料のはいった入れ物を首からさげ、カモミール、タイム、ラベンダーが床にまかれ、ローズマリーやコショウ、乳香が消毒のために焚かれました。こうして植物療法が盛んになっていったのです。

伝統的な医療が見直されつつある現代

19世紀初めから20世紀にかけて、医学と有機化学が飛躍的に進歩し、抗生物質やワクチンなどの合成薬がどんどん開発され、伝統医療である精油や植物を使った療法は衰退していきました。
しかし、一方で薬の副作用や耐性菌の発生、生活習慣病やストレス性の疾患が増えました。これにより、なぜ、病気になるのか、治癒とはなにかという医療の根本を見つめる流れもうまれ、心と体をトータルに癒す伝統的な医療が見直されつつあるのです。

アロマテラピーをはじめとする伝統医療が、医療現場で活用される場面がこれからもっと増えてくるかもしれませんね。

日本でのアロマテラピーの導入

1970年くらいから、ゆず、山椒、ワサビなどの日本古来の薬味に加えて、ハーブ(香草)が日本の食卓にも上がってくるようになりました。この頃から、「精油」や「アロマテラピー」も浸透してきました。
80年代後半からアロマテラピー関連各協会が普及活動をはじめ、アロマテラピーがいろいろな分野で活用できることが知れ渡るようになりました。

リラクゼーションの分野から導入されましたが、現在は美容、暮らし、教育、スポーツ、福祉、介護などに加え、緩和ケアや出産、出産前後のケアなどの医療分野でも応用できる可能性が広がっています。

アロマテラピーのメカニズム

嗅覚と触覚を刺激

アロマテラピーでは精油をつかったトリートメントを通して、嗅覚と触覚を刺激します。
これは動物的に原始的な感覚系で、進化の早い段階で発達しました。生物が生きるために必要な感覚だったからです。

たとえば、人間の私たちが、悪臭や、ガス、食べ物の腐った臭いなどにすぐに気が付くのは、それがわたしたちにとって「危険なもの、避けるべきもの」だと察するからなのです。
小さい赤ちゃんは、目が見えるのは遅いですが、全身でいろいろなものを感じ取っています。それは嗅覚や触覚によるところが大きいのです。そして、心と体を育てていくのです。

香りの刺激は脳に届くのが早い

香りの刺激が脳に届くのは0.2秒以下、歯痛などが脳に伝わるまでの時間は0.9秒またはそれ以上、香りの刺激が脳に届くのはとても速いということがわかりますね。
酸っぱいにおいがしてきて、唾液がでたり、ふと嗅いだ香りで昔のある一場面を思い出したりしたことはありませんか?これは色々な香りが気がつかないうちに体の生理的な反応や心に影響を与えている例です。
アロマテラピーは心、体、そして皮膚へとはたらきかけると言われています。

触れる、ということの意味 ~手を当てる=手当て~

こどもの背中をさすってあげるだけで、咳が出て眠れなかった子が眠ったり、痛い~と泣いていた子が「いたいのとんでけ~」とさするとすぐに泣き止んで笑ったり。
ママであればだれでも経験があることではないでしょうか。「手当て」という言葉が「手を当てる」と書くように、それは言葉はなくても親密さや愛情を伝え、そこにはコミュニケーションがうまれ、精神的な安定をもたらすのでしょう。

はた、発生学の観点から考えると、皮膚と脳は同じ外胚葉と呼ばれる部分から発生しているので、皮膚への刺激は、間接的に脳を刺激することにつながるのです。
これを意識すると子育てにおけるスキンシップの大切さもおのずとうなずけますね。



精油とは?

植物の香りの正体が精油です

身近にある香りのある植物ってなんでしょうか?
バラ、金木犀、ゆず、沈丁花。お料理につかう香草は紫蘇、バジル、ローズマリー、タイムなど。色々思いつきますよね。
この香りの正体が精油です。精油はいくつもの芳香成分の混合体で、成分の一つ一つがいろいろな働きをするのです。

精油の特性

精油は色々な分野で活用されています。その特徴として以下の6点があげられます。

(1)水に溶けにくい
(2)アルコールや、油によく溶ける
(3)揮発性の芳香物質で、強い香りを持っている。すぐに空気中に蒸発する。
(4)主成分は炭化水素類、アルコール類、アルデヒド類、エステル類などの有機化合物。
(5)小さな分子である。
(6)精油成分は、光、熱、酸素によって劣化してしまう。

植物にとっての精油の役割

植物はなぜ、精油を体内で作るのでしょうか。植物は動物と違って動くことができないので、身を守り、子孫を残すための武器の一つと考えられています。
精油を空気中に拡散することで、ウィルスや細菌などからの感染を防いだり、草食動物や昆虫の嫌いな香りを出して、食べられないようにしたり、逆に受粉を助けてくれる虫の好きな香りを出して引き寄せたりするのです。

植物からの抽出

植物から精油を取り出すこと、抽出、には様々な方法が用いられます。

どの部位(花、葉、樹脂、実、果皮など)から抽出するか、どの抽出方法で取り出すかによって、精油のとれる量、香り、どんなときに使うか、価格がかわってくるのです。また、栽培か野生か、収穫時期によっても香りが左右されます。

抽出方法には以下の4つがあります。
(1)水蒸気蒸留法 
もっとも一般的な方法。原料植物を加熱し、揮発させたものを再度冷やし、分離した精油を取り出す方法
(2)有機溶剤法
花や樹脂などの芳香成分を溶剤で溶かして抽出する方法。
(3)冷浸法
ラード(牛脂、豚脂)が芳香成分を吸着する性質を利用した伝統的な方法だが、最近はあまり使われない。
(4)圧搾法
柑橘系の果実の皮を絞って芳香成分を抽出する方法。正確には精油ではなく、エッセンスという。

10の基本的なルール

精油は植物に含まれているときよりも70~100倍も濃縮されているので、とてもパワフルな力を持っています。体調や体質、また間違った使い方をしてしまうと、皮膚に刺激を与えてしまって、炎症を起こしてしまうことも考えられます。

アロマテラピーを楽しむときは、必ず以下のルールを守りましょう。

【1】一滴ずつ出すこと

精油のボトルは振らないで、ゆっくり傾けるようにして一滴ずつだすようにしましょう。一滴はだいたい0.03ml~0.05mlです。

【2】内服、原液の塗布はしない

粘膜、内臓などへの刺激が考えられること、そして体へも大きく影響してしまうので、内服は原則としてしないようにしましょう。
肌につける場合も、必ず希釈してから使うようにしましょう。

【3】新しい精油を使うときはパッチテストをしてから

敏感肌の方や、アレルギーを持っている人は、必ずパッチテストをしてから使うようにしましょう。
念のため、新しいオイルを使うときはどんな方でもパッチテストをするようにすると安心ですね。簡単なパッチテストのやり方をご紹介します。

◆自宅でできるパッチテストのやり方◆
(1)精油を薄めるときにつかうキャリアオイルだけ、腕の内側などめだたないところに塗り、観察する。
(直後と1~2日後)
(2)(1)で使ったオイル5mlに、テストをする精油を2滴垂らして薄め、同じように腕の内側にぬり、観察する。(直後と1~2日後)

何か異常があった場合にはその精油は使わないようにしましょう。
パッチテストをするときは、生理前などお肌が敏感になっているときは避けるようにしてください。本格的なパッチテストは皮膚科で相談してみてくださいね。

【4】光毒性のある精油に気を付ける

柑橘系のオイルなど光毒性のあるオイルを使った後に日光にあたるとシミになることがあるので、そういったオイルを使った後は外出しないようにするなど注意をするようにしましょうね。
特にベルガモットは要注意です。

【5】粘膜部分には使わない

目や鼻、口、膣、肛門など粘膜部分に精油がつくと刺激を感じるので、つかないように気を付けましょう。とくに、オイルを使った手で目をこすったり鼻をこすったりしないように気を付けてくださいね。

【6】一日に使う精油の限度を守る

大人の場合で目安は6~7滴程度です。高濃度で使うと刺激がある場合があります。

【7】購入するときは信頼できるお店で

肌に直接つけるものですし、精油を購入するときは、信頼のおけるお店で購入するようにしましょう。ポプリオイル、フレグランスオイルなどと名前のついたものは精油とは別物です。

購入するときには、原料植物の学名、栽培方法、抽出部位・方法、原産地などを確認してくださいね。成分調整のための添加や加工がされているものも多くありますが、アロマテラピーでは抽出された状態のままの100%天然の精油を使います。

精油は光、熱、空気で劣化してしまうので、遮光瓶にはいったものを選びましょう。

【8】保管は慎重に ~遮光、冷暗所、一年以内に使い切るなど~

保管の注意点は以下のようになります。

◆精油は箱にいれたまま、直射日光と湿度を避け、冷暗所に保管する。
◆開封後1年を目安に使い切る。ものによって短いもの、長いものがあるのでそれぞれ確認する。
◆誤飲などをさけるため、子供の手の届かないところに保管する。
◆精油を基材と混ぜたら、1~2ヶ月以内に使い切る。
◆プラスチック容器やゴムのスポイトは精油で溶けてしまうことがあるので注意する。
◆精油は引火する可能性もある。火気に注意する。

【9】出産前後のアロマテラピーは慎重に

薬を使うのを避けたい時期だからこそ、自然なアロマテラピーなどに頼りたいところですが、使えない精油もありますので気を付けましょう。
出産前後はデリケートな時期なので、精油を取り入れる場合も濃度を薄くするなど、上手に使っていきましょう。 ◆妊娠中のアロマテラピー◆
妊娠初期は精油を使うことは避けましょう。安定期に入っても、使えない精油もありますので必ず専門家に相談するようにしましょうね。
使える精油を使う場合にも、妊娠中は肌が敏感になりやすいので低濃度から使うようにするとよいですね。
妊娠37週以降になると、使える精油の幅も増えますよ。いくつかポイントを押さえればつわりやむくみがひどいとき、腰の痛みに悩まされるときなど、とても役立ちます。ただし、担当医や助産師、専門のアロマセラピストに相談しながら行うようにしましょうね。

◆授乳中のアロマテラピー◆
赤ちゃんがまず覚えないといけないのはママのにおいです。出産直後や授乳期間中は精油は控えるか、濃度をひなり控えめに使うようにしましょう。赤ちゃんには刺激が強すぎる場合もありますので気を付けましょうね。

【10】◆最重要◆アロマテラピーの禁忌、使えない精油を確認する

健康状態や精油の特性によりアロマテラピーができない場合があります。特に、妊娠中、出産後、皮膚トラブルがあるとき、病気の時は特に気を付けましょう。

このような時には、事前にかならず医師やアロマセラピストに相談してから行うようにしましょう。

高血圧、てんかん、腎臓病、などの場合使えない精油があります。赤ちゃんや子供にも使えないものもあります。1歳未満の乳児には原則的に精油は用いないようにしましょう。

アロマテラピー実践の基礎知識

キャリアとは~精油を体内に運ぶもの~

精油はキャリア(基材)で希釈(うすめて)して使います。ごま油、オリーブオイルなどをはじめとする植物油や、無水エタノール、みつろう、クリーム、ジェルなどいくつかの種類があります。

一般的に知られているのは、キャリアオイルと混ぜてのマッサージですが、外出先などで気軽にはできませんよね。そんなときはクリームやジェルなどがおすすめなのです。キャリアの性質を考えて、使用する場面によって使い分けましょう。

精油の希釈 ~1~2%が基本~

基材の量に対して1~2%の精油を加えて使うのが基本です。しかし、肌が敏感な人や、子供、妊婦、病気のある人などはもっと薄めに使います。また、体に使うときは1~2 %でも、顔は0.1~1%にするなど、場所によっても濃度が変わってきます。

だれに使うか、塗る場所や肌質などで、濃度は変えるようにしましょうね。

生活の中での6つの実践法

アロマテラピーは日々の生活のあちこちで活用できるんですよ。道具などを使わずに手軽に始められるセルフケア6つをご紹介します。上記の基本ルールを守って始めてみましょう。

【1】のどがイガイガしたり、乾燥が気になるときのうがいレシピ

◆ティツリー 1滴
◆レモン   1滴
◆水   200ml

コップにいれてうがいをする。

【2】子どもがいるお部屋の空気の浄化に

お子さんがいるお部屋でも安心のオイルをチョイス。風邪やインフルエンザの流行るこれからの季節に

◆マンダリン  2滴
◆マートル   2滴
◆ローズウッド 2滴

精油をコットンやティッシュなどに垂らし、お部屋に置いておきましょう。ただし、子供が直接触らないように注意して。

【3】子供の夜泣き、イライラに

子供でも、環境の変化やお友達との関係など、ストレスがあるんですよね。それをうまく表現できず、癇癪や不眠などの症状で出てしまうときがあります。そんなとき、この優しい香りがおすすめです。

◆カモミールローマンまたはラベンダー 1滴
◆マンダリンかオレンジ        2滴

精油をコットンやティッシュなどにたらし、お部屋に置いておきましょう。ただし、子供が直接触らないように注意して。

【4】つらい月経痛に

腰、仙骨と下腹部の回りに塗布します。始まる1週間ほど前からトリートメントしておくのがおすすめです。

◆イランイラン 2滴
◆クラリセージ 3滴
◆ラベンダー  4滴
◆みつろうクリーム 30gまたはキャリアオイル30ml

基材に精油を加え、混ぜる。冷えの強いかたは、オレンジを3滴プラスするのがおすすめ。

【5】アンチエイジングを目指す方に

お肌の衰えが気になり始めたママにおすすめのローションです。

◆ローズまたはネロリ 2滴
◆フランキンセンス  1滴
◆マンダリン     2滴
◆パルマローザ    1滴
◆無水エタノール   10ml
◆ローズ水またはアロエ水 80ml
◆グリセリン     10ml

無水エタノールに精油を加えて希釈する。グリセリン、芳香蒸留水を加え、よく振ってから使う。

【6】お台所でも活躍!梅雨時など食中毒が気になる時期に

アロマテラピーはお掃除やお洗濯にも活躍するんですよ。その中の一つをご紹介。食中毒の気になる梅雨時などに、手指や包丁、まな板などにつかえるスプレーです。

にんにくや生の魚介を扱った後の臭いの気になる手にも。

◆ペパーミント 8滴
◆レモン   12滴
◆無水エタノール 20ml
◆精製水     80ml

無水エタノールで精油を希釈したあと、精製水を加えて混ぜる。スプレーボトルにいれてください使ってね。

生活の中にアロマテラピーをとりいれてみませんか?

アロマテラピー、というと、なにか道具をそろえないといけなかったり、難しいもののように思ってらっしゃる方も多いと思います。でも、実践法で書いたように、混ぜるだけで簡単に生活の中に取り入れることができるんですよ。お気に入りの香りが身近にある生活というのも素敵なことですよね。ご家族と一緒に楽しみながらできたら一番ですね。

この記事がアロマテラピーの一歩を踏み出すきっかけになったらうれしいです。

参考図書はこちら

アロマテラピーの教科書―いちばん詳しくて、わかりやすい!