川崎病の知っておきたい症状や治療法と後遺症について

子どもがかかりやすい病気の中で、川崎病もママが知っておきたい病気のひとつ。川崎病は原因不明の疾患ですが、特有の症状を覚えておくことで早期に発見・治療することができます。知っておきたい川崎病の諸症状とあわせて、治療法や気を付けたい後遺症についてもご紹介します。

川崎病ってどんな病気?


川崎病とは、1967年に日本で、川崎富作という医師によって発見され疾患で、発見者である医師の名前を取って、「川崎病」と名づけられました。「急性熱性皮膚粘膜リンパ腺症候群」という医学的な名前があるにもかかわらず、世界的にも「川崎病」(Kawasaki Disease)として知られています。

川崎病は、全身の血管が炎症を起こすことで様々な症状が出るのも大きな症状で、発熱を始め、手足の腫れなど体の至るところに症状が確認できるのが大きな特徴です。

川崎病についてご存知ないママも多いかもしれませんが、川崎病は乳幼児がかかりやすい病のひとつ。毎年1万人以上の患者が新たに発症していると言われていて、4歳以下の乳幼児がなりやすい病気。性別では、男の子の患者のほうが多いのも特徴です。一方で、10歳以上の子どもでもかかることがあるため、10代でも注意が必要とされています。

症状について詳しくは後述しますが、初期の症状は風邪や、子どもたちによくあるウイルス性の疾患とよく似ているのも川崎病の特徴のひとつ。初期の段階では軽視されやすいのも川崎病の注意すべき点です。

日本川崎病学会
*こちらのサイトを参考とさせていただきました

致死率は低下したものの、後遺症が残ることも

川崎病は1967年の発見以後、研究が進み、重症化の予防に効果的な治療法が発見されたこともあり、1990年ごろから患者さんの致死率は低下しています。

その一方で、川崎病は後遺症として心疾患(冠動脈障害)が残ることがあるため、長期にわたり治療が必要となったり、冠動脈瘤・心筋梗塞・心不全などの発作が起こる危険性を伴います。場合によっては命にかかわる事態が起こりうるというのも、川崎病が軽視できない病であるという理由のひとつです。

こうした心臓の血管における障害は、”合併症”という形で川崎病の症状と同時に現れ、数十年にわたり病気と付き合うことになるケースもあります。

では、もし、わが子が川崎病にかかった際にはどのような症状に注意すればいいでしょうか。またどのように治療をすれば後遺症を防ぐことができるのでしょうか。まずは、川崎病の原因から詳しく見ていきましょう。

川崎病|慶應義塾大学病院 KOMPAS
KOMPASは慶應義塾大学病院の医師、スタッフが作成したオリジナルの医療・健康情報です。患者さんとそのご家族の皆さんへ、病気、検査、栄養、くすりなど、広く医療と健康に関わる情報を提供しております。 *こちらのサイトを参考とさせていただきました



川崎病の原因は?


川崎病が発見されてから数十年が経ちますが、いまだに川崎病の原因は明らかになっていません。

原因不明の疾患ではありますが、川崎病の発症にはいくつかの説が唱えられています。まず、感染が流行することがあることから、何らかのウイルスによって川崎病が引き起こされているのではないかという「ウイルス説」。

つまり、ウイルスによって全身の血管に炎症が起きているという説です。また、ブドウ菌などの細菌による感染が原因とする「感染説」、遺伝的要因が強いのではないかとする「遺伝子説」もあります。

中でも、可能性が高いと言われ、研究が進められているのが「遺伝子説」。川崎病の発症が東アジアの人に多いことや兄弟や家族内での発症が多いことがこの遺伝子説を後押ししています。近年では遺伝子に何らかの原因があるのではないかとする研究が進んでいて、川崎病の原因解明や治療法の追及などへの成果が期待されています。

なお、こうした議論はあくまでも”可能性”にすぎず、現段階においては、川崎病は原因不明の疾患です。原因が分からない疾患というのはどうしても予防が難しいもの。そのため、重症化を防ぐためにはまず、早期に発見し治療を開始することが大切です。

川崎病の発症に関わる3つの遺伝子領域を新たに発見 | 理化学研究所
*こちらのサイトを参考とさせていただきました

川崎病にかかるとどうなる?具体的な症状について

実際に川崎病にかかった場合、また川崎病が疑われる場合にはどのような症状が現れるのでしょうか。川崎病には代表的な症状が6つあり、川崎病の診断においてもこの6つの症状が基準となります。

病気を発症してから10日以内の”急性期”と呼ばれる時期に、これらの主症状が複数見受けられるのが川崎病の大きな特徴。複数の症状が合わさって起こるので、総合的に判断する必要があります。

では、具体的に川崎病の診断に関わる6つの症状をご紹介しましょう。

症状1:5日以上の発熱


川崎病の代表的な症状のひとつめは発熱です。原因不明の熱が5日以上続くことが川崎病の診断基準としても明文化されています。38度~39度といった高熱であることが多いのですが、中には熱を出しやすい子どももいるため熱だけですぐに川崎病を疑うというのは医師であっても難しいかもしれませんね。

なお、「5日以上の発熱」というのが川崎病の診断基準ではありますが、発熱してすぐに受診し、薬を処方してもらうことで熱が下がるということもあるでしょう。

そのため、「4日以内で解熱したが、治療していなかったら5日以上発熱したであろう」と判断される場合は、この「5日以上の発熱」と考え、川崎病の診断基準に該当すると捉えられることもあります。

症状2:両目の充血


川崎病を発症すると、両目の白い部分が赤く充血します。異物が入った場合や強くこすった場合にも目が充血することがありますが、両方の目が同時に充血する際は、川崎病だけでなく何らかの疾患を疑うほうが良いと言われています。

なお、川崎病の場合、目やになどの症状は見られないのが一般的です。同じ目の充血でも、目やにがひどい場合は別の目の疾患が疑われるかもしれません。目に関しては、充血のみが川崎病の症状ということを覚えておきましょう。

症状3:唇や舌が赤くなる


川崎病の3つ目の症状は、唇や舌が赤く腫れるという症状です。唇が赤く腫れあがると同時に、口腔内やのどの粘膜も赤く腫れあがるのが川崎病の特徴のひとつ。あわせて舌も赤く腫れあがり、ぷつぷつとした見た目が特徴的な、いわゆる「イチゴ舌」と呼ばれる状態に。

このイチゴ舌は、溶連菌感染症にもよくある症状です。溶連菌感染症もまた、乳幼児に多い疾患で、高熱を伴う点では川崎病の症状と似ています。溶連菌感染症は子どもたちによくある疾患ですので、ママたちが川崎病と勘違いしやすい疾患のひとつです。

診断は医師が正しく行ってくれますが、イチゴ舌は溶連菌だけでなく川崎病の疑いもあるということは覚えておいた方がいいかもしれませんね。

症状4:全身に発疹が出る


川崎病の4つ目の症状は発疹です。川崎病を発症すると、全身に発疹が見られます。一口に発疹といっても様々なタイプがありますが、川崎病の発疹は「不定形発疹」と言われるもので、様々な形の発疹が出ます。

子どもが熱など風邪のような症状とともに発疹を出す病気は多いため、他の疾患も含め、ママでは区別がつかないことは多いものです。発疹は他の人にうつるタイプの疾患もありますので、川崎病に関わらず早めに医療機関を受診するようにしましょう。

症状5:手足がむくむ・赤く腫れる


川崎病の5つ目の症状は手足のむくみや赤い腫れです。手足の先(手指や足の先の方)が赤くなり、腫れあがるのが川崎病の大きな特徴。

むくみや腫れの患部が硬いのも特徴のひとつで、川崎病では”硬い腫れ”が出ると覚えておくといいでしょう。大きさが変わるほどに腫れあがることもあるため、家族をびっくりさせることもあるかもしれません。

のちに、こうした腫れが出た患部は、腫れがひく際に皮膚が向けるというのも川崎病の特徴のひとつです。皮がむけるということは、症状が落ち着いているということですので心配することはないでしょう。

症状6:リンパ節が腫れる


川崎病の6つ目の症状はリンパ節が腫れること。頸部、すなわち首のリンパ節が腫れるため、首そのものが腫れあがったようにも見受けられるでしょう。

リンパ節は他の疾患でも腫れることもありますが、見るからに顎から首にかけてが腫れあがるため、ママやパパでもはっきりとわかると言われています。

以上の6つの症状が川崎病の主症状です。急性期にこうした主症状が複数見受けられるのが川崎病。発熱が最も多い症状と言われていますが、症状が出る順はご紹介した通りというわけではありません。先述した6つの症状の他にも、BCC接種の部位が赤く腫れる・下痢・関節の痛みなどが症状として出ることもあると言われています。

川崎病 診断の手引き
日本川崎病学会 *こちらのサイトを参考とさせていただきました ▼関連記事



川崎病で気を付けたい合併症「冠動脈瘤」

川崎病では、先述した6つの症状の他に、全身の血液が炎症を起こしてしまうという疾患ですが、肝機能障害や胆嚢に合併症を起こすこともあると言われています。そうした複数の合併症が懸念される中で、最も多いのが心臓における合併症です。川崎病の影響が心臓の血管にも及び、心臓に血液を送る冠動脈に合併症を引き起こすことがあるのです。

心臓の血管である冠動脈が炎症を起こした場合でも、他の主症状が落ちつくと同時に炎症が収まれば特に問題はないとされています。しかし、症状が治まらずに炎症が続いた場合や、冠動脈における炎症がひどい場合は、血管が拡張します。

さらに症状が進むと、血管に瘤と呼ばれるコブができてしまうことに。このコブが「冠動脈瘤」と呼ばれる症状で、川崎病の合併症で最も懸念すべき状況とのことです。

冠動脈瘤とは?


そもそも冠動脈瘤とはどういった病気なのでしょうか。
心臓は、誰もが知っているように、体内に血液を送るための大切な器官です。冠動脈はこの心臓を取り巻くように出ている血管で、心臓に血液を送り込むという重要な役割を担っています。

この冠動脈が炎症を起こし、血管の一部が拡大し、コブのような”瘤”ができるのが冠動脈瘤です。このコブが大きいと、その内部に血液のかたまりである”血栓”ができたり、血管が狭くなり十分な血液が心臓に届かなくなることも。最悪の場合は、心臓の血管が完全に詰まってしまい、心筋梗塞の状態に陥ることがあるため、冠動脈瘤は早期に対応することが必要な病気です。

「川崎病性冠動脈瘤」について


川崎病の合併として起こる冠動脈瘤は、特別に「川崎病性冠動脈瘤」と呼ばれることがあります。
全身の血管で炎症を起こす川崎病ですが、特に冠動脈における炎症が特徴的で、発症後10日程度で冠動脈における炎症が確認されるのが一般的な経過です。こうした血管の炎症が悪化すると、先述した「瘤」(いわゆるコブ)を形成し、冠動脈瘤となってしまうのです。

冠動脈瘤は通常、強い痛みを伴うものではなく、特に子どもの場合は無症状で進行することもあるため、気づかれないことも多いと言われています。その一方で、乳幼児の場合はショックを起こし、死亡する例も少なくはないため早期で発見することが大切です。

川崎病の急性期(発症から10日程度)をはじめ、発症後比較的早い段階に、大きな冠動脈瘤ができてしまった場合、後遺症としても冠動脈瘤が残ることがあると言われています。大きさで言うと、8㎜以上の瘤は後遺症の可能性が高いとされています。

また、川崎病において、この冠動脈瘤が進行し、心筋梗塞を起こしてしまうことも。ただし、冠動脈瘤による心筋梗塞の確率は川崎病患者全体の0.01%と言われているため、冠動脈瘤が必ずしも心筋梗塞につながるというわけではありません。

いずれにしても、命の危険につながる症状ですので、早い段階で治療をすることが大切です。

川崎病がよくわかる
一般社団法人日本血液製剤機構 *こちらのサイトを参考とさせていただきました

小児慢性特定疾病情報センター – 川崎病性冠動脈瘤 概要
川崎病性冠動脈瘤の概要は本ページをご確認ください。小児慢性特定疾病情報センターは、慢性疾患をお持ちのお子さまやそのご家族、またそれらの患者の治療をされる医療従事者、支援をする教育・保健関係の皆さまに向けた情報を提供します。 *こちらのサイトを参考とさせていただきました

川崎病の診断方法について

複数の症状が認められる場合に診断が下りる

川崎病の主症状はいずれも、他の疾患でもみられるような症状ばかりです。そのため、素人では気づきにくいというのも川崎病の難しいところ。医療現場における川崎病の診断はどのように行われるのでしょうか。

厚生労働省の川崎病研究班が作成した「川崎病(MCLS、小児急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群)診断の手引き」によりますと、以下のように診断の基準が定められています。

6つの主要症状のうち5つ以上の症状を伴うものを本症とする。
ただし、上記6主要症状のうち、4つの症状しか認められなくても、経過中に断層心エコー法もしくは、
心血管造影法で、冠動脈瘤(いわゆる拡大を含む)が確認され、他の疾患が除外されれば本症とする。

出典:

www.jskd.jp
ここで言う、「6主要症状」とは、先述した6つの症状です。つまり、
1 5日以上の発熱
2 両目の充血
3 唇や舌が赤くなる
4 全身に発疹が出る
5 手足がむくむ・赤く腫れる
6 リンパ節が腫れる
という6つの症状です。

これらの主な症状のうち、5つ以上の症状がみられる場合は、川崎病と診断されます。また、仮に6つの内4つの症状しか見られなかった場合でも、心臓の血管(冠動脈)の腫れが見られたり、エコー検査などで血管の異常が認められるなどし、他の疾患の可能性が除外された場合は、川崎病と診断されることもあるというのが”診断の手引き”に記載されている内容です。そのため、しっかりと検査を受けることも川崎病の診断の決め手となります。

川崎病(MCLS、小児急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群)診断の手引き
*こちらのサイトを参考とさせていただきました

「不全型川崎病」って何?症状が軽くても要注意

気を付けたい「不全型川崎病」って何?


川崎病の診断には先述した通り、診断の基準が定められています。しかし、先述した主症状に当てはまる場合などを除いても、川崎病と診断されることがあります。それが「不全型川崎病」です。

診断基準によると、主要症状のうち5つを満たす場合、あるいは4つしか症状が該当しないという場合であっても冠動脈瘤が確認できる場合は川崎病と診断されます。しかし、病気は必ずしも手引書通りに進行するというわけではありません。

該当する症状が少ないという場合でも、主治医が診察をし、患者の症状や初期治療の結果を見た上で川崎病だという診断を行うことがあるのです。診断基準を満たしてはいなくても、川崎病であると診断される場合に「不全型川崎病」という病名が使用されます。たとえば、発熱とリンパ節の腫れという2つの症状でも、不全型川崎病と診断されたというケースがあります。

診断が遅れることで合併症を引き起こすことも


不全型川崎病は、主症状のうち当てはまることが少ないため、症状が軽いように思えるかもしれませんが、実は不全型川崎病こそ気を付けなければならない点があります。それが合併症です。川崎病では、合併症として心臓の冠動脈にコブ(瘤)ができることがあり、それが原因で心臓に十分な血液が届かない事態や心筋梗塞を起こして死に至ることもあります。

不全型川崎病の場合、症状がぴったりと当てはまるというケースが少なく、医師の判断が鍵となります。医師によって早期に治療を開始されていれば、合併症が悪化することなく、快方へと向かうことができますが、診断が遅れ適切な治療が行えない場合は、病状が進行し、後遺症として心臓に瘤が残ることも。中には、不全型のほうが川崎病の合併症の危険性が高いという指摘もあります。

不全型の診断にははっきりとした基準がなく、医師の診断に委ねるしかないため、下記に引用するように医師たちの間でも注意喚起がなされているのが現状です。

不全型で冠動脈瘤をきたした症例の報告が散見されることから、診断基準をふまえながら、「不全型」川崎病の診断を行い、早期の川崎病急性期治療とフォローアップを行う心構えも必要

出典:

www.hannan-chuo-hsp.or.jp
”医師を疑う”というわけではありませんが、いつもの発熱とは様子が違う、気になることがあるという場合は、ためらわずに医師に相談してみることも大切かもしれません。

どう治す?川崎病の治療法について

急性期にきちんと炎症を抑えることがポイント


川崎病は体中の血管に炎症が起きる疾患です。その炎症を早い段階で抑えることが、心臓の冠動脈に”コブ”ができてしまう冠動脈瘤を抑えるためには重要だと言われています。

早い段階で炎症を抑えるためには、発症後1週間以内に治療を開始することがまずポイント。現段階で川崎病の治療に最も良いと言われている「免疫グロブリン」の投与を発症後1週間以内に始めることが重要と言われています。また、一般に、発症後9日を過ぎると冠動脈に病変が確認されるようになると言われているため、治療の効果がその発症後9日以前に確認されることも重要です。

症状の程度によって病気の経過や治療法は異なるものですが、発症後”7日以内に治療を開始”し、”9日までに効果を確認する”というのが川崎病の治療ではポイントとなることは覚えておくといいかもしれませんね。

免疫グロブリン療法が主流


川崎病の治療法として主流なのが「免疫グロブリン療法」です。
免疫グロブリン療法とは、”免疫グロブリン製剤”という薬を投与することで、全身の血液における炎症を抑える治療法です。川崎病の特攻薬というわけではありませんが、抗炎症療法として最も効果があるのはこの免疫グロブリン療法と言われています。

川崎病における免疫グロブリン療法では、早い段階で、多量の投与を行うことが良いとされています。症例によって異なりますが、一度に投与を済ませる場合と、数回に分けて投与するという場合があります。いずれの場合でも発症後早い段階で大量投与することによって、血管の炎症を鎮静化させ、冠動脈瘤を防ぐ効果もあることから、川崎病の最善の治療法と言われているのです。そのため、日本でもまずはこの免疫グロブリン療法が川崎病患者に行われています。

川崎病の主要治療法とはいえ、免疫グロブリン療法における副反応については注意が必要です。免疫グロブリン製剤を点滴投与する場合はその”速度”に注意が必要と言われています。また、ショック症状や無菌性髄膜炎といった副反応の可能性がないわけではありません。医師によって適切な方法がとられますが、治療の効果と副反応については必ず説明を受けるようにしましょう。

アスピリン療法が併用されることが多い


川崎病の治療では、免疫グロブリン療法と併用されることが多いのが「アスピリン」という薬を用いた治療法です。このアスピリンという薬には、血管の炎症を抑える効果や血液を固まりにくくするという効果があり、血栓(血の塊)ができるのを防ぐことができることから、川崎病の治療にも効果が期待できるとされ、投与されることがあります。

症状の程度によっては、川崎病の治療としてこのアスピリン療法のみが採られることもあります。投与量によっては、肝機能障害などの副反応の危険性があるため、解熱までの一定期間に適量を投与するなど、副反応に配慮した上での投与が必要とされています。免疫グロブリン療法と同様に、アスピリンの使用に関しても、医師に説明を受け、納得した上で治療を受けるようにしましょう。

ステロイド薬による治療が行われることも


川崎病では免疫グロブリン療法が主流で、”最善の治療法”と言われる一方で、患者さんによっては効果が得られないこともあります。そうした免疫グロブリンが不適応となる患者さんは、川崎病患者全体の2割程度だとか。一般に、免疫グロブリンの投与を開始後、24時間を経過しても薬への反応が得られない場合や、48時間待っても効果が十分に得られない場合は、別の治療法を考えることになります。

免疫グロブリン療法の効果が十分に得られない場合は、免疫グロブリンを追加投与するという場合もありますが、ステロイド薬やそのほかの炎症を抑える薬を投与する方法がとられることも。ただし、先述した免疫グロブリンやアスピリン同様に、どういった治療法・薬にも副反応はつきものです。そのため、どの治療法を選択する場合でも、きちんと医師から説明を受けることが重要になるでしょう。 ▼関連記事

川崎病の治療は入院加療が一般的


川崎病の治療で主流となっている免疫グロブリン療法では、薬の投与が点滴という形で行われます。長時間にわたって点滴を受けることになるため、川崎病の治療は基本的には入院して薬を投与することになるでしょう。
症状が軽い場合(不全型川崎病の場合)や治療方法によっては、入院とならない場合もありますが、原則としては入院することになるというのも川崎病の治療の特徴と言えるでしょう。

川崎病急性期治療のガイドライン
日本小児循環器学会 *こちらのサイトを参考とさせていただきました

後遺症が残る?川崎病の治療後に残る「冠動脈障害」とは?

冠動脈障害が後遺症として残ることが


川崎病では、免疫グロブリン療法などによって早期に血管の炎症を抑えることができれば、冠動脈瘤(冠動脈におけるコブ)を防ぐことができます。その場合、完治した後は、食事や運動の制限もなくこれまで通りの生活ができるようになります。

その一方で、合併症としてできてしまった冠動脈瘤が、病気が快方に向かった後にも後遺症として残ることもあるのです。このように冠動脈瘤が残ったり、冠動脈が広がったままの状態であるなど、心臓の血管に何らかの障害が残ってしまうのが、川崎病の後遺症と呼ばれる「冠動脈障害」です。

後遺症として最も懸念すべき冠動脈瘤は、大きな瘤の中に血栓ができるなどして心筋梗塞の原因になったり、と命を脅かすことがあります。それだけでなく、冠動脈にできた大きな瘤は、狭心症(冠動脈瘤によって血液が通りにくくなることで起きる一種の酸欠状態)を引き起こすことも。冠動脈瘤が大きければその分心筋梗塞などの危険性があり、命にかかわることがあるため、川崎病の治療は早期に開始すべきというわけなのです。

後遺症の診断は精密検査で


川崎病の後遺症は、心臓の血液の流れを診るためにあらゆる検査が行われます。心電図や冠動脈CT検査など、外来診療で可能な検査もありますが、冠動脈造影検査のように、入院が必要となる検査を行うこともあります。

冠動脈瘤の大きさによっても検査方法も異なることがありますが、診断が遅れてしまうと突然死となる危険性もあることから、できるだけ正確な診断が可能である「冠動脈造影検査」を経過観察として推奨するという医師も少なくはありません。

なお、こうした精密検査で冠動脈に異常が認められた場合でも、すぐに手術が行われたり特別な治療法が採られるということではありません。薬で対応しながら経過観察を行い、再度同じような検査を受けるという患者さんも多いようです。

後遺症が残った場合は投薬治療を

川崎病の後遺症として冠動脈瘤が認められる場合は、10年後、あるいは15年後にも心筋梗塞へと発展する可能性があります。そのため、数年、数十年と大人になるまで治療が必要となるという患者さんも多いもの。

こうした川崎病の後遺症では、薬を服用するという方法が一般的です。内服治療として、退院後も治療を継続し、定期的に検査を受けます。

川崎病の後遺症に対しては、心筋梗塞の直接的な原因ともなる血栓を予防するために、アスピリンなどの抗血小板薬を服用することになるでしょう。ただし、薬を飲むだけでは十分な効果が得られないという場合も残念ながらあるのが現状です。そういった場合はカテーテル治療や手術などの外科的手法が用いられることがあります。

なお、川崎病の後遺症である冠動脈障害は患者自身の自覚症状がない場合も珍しくはないと言われています。「もう10年も前のこと」と軽視せずに、大人になっても医師からの指示に従い、定期的に健診を受けることが大切です。もちろん、薬の服用を勝手にやめることも良くありません。

生活に制限が加わることも


川崎病による冠動脈障害がある場合、動脈硬化(動脈そのものが硬くなったり、動脈の内部が狭くなり血液の流れが滞るような状態)を起こしやすいと言われています。この動脈硬化は通常は生活習慣病などが原因で大人に起こりやすいものですが、川崎病の後遺症としては子どもでもなりうることがあるのです。

そのため、日頃の生活でも食事など気をつけなければならないケースも。中には後遺症が原因で、運動に制限が加わるということもありますので、主治医の指導のもと、体調にあった生活を送ることになるかもしれません。

川崎病|慶應義塾大学病院 KOMPAS
KOMPASは慶應義塾大学病院の医師、スタッフが作成したオリジナルの医療・健康情報です。患者さんとそのご家族の皆さんへ、病気、検査、栄養、くすりなど、広く医療と健康に関わる情報を提供しております。 *こちらのサイトを参考とさせていただきました

川崎病は早期治療開始が経過に影響する!


川崎病で覚えておきたいのは、やはり、「早期に発見し、治療を開始すべし!」ということ。医師による診断が最終的には重要ですが、症状が出た段階でママ自身がいつもとの違いに気づくことができるかどうかもポイントになることがあります。川崎病の6つの症状は頭の片隅に入れておくといいかもしれませんね。

”後遺症”という言葉を聞くと、健康に対する不安もそうですが、漠然とした子どもの将来が不安に感じてしまうこともあるでしょう。川崎病の後遺症は大人になるまで残り、服薬を続けなければならないというケースもあります。場合によっては長期にわたる治療となるかもしれませんが、定期的に通院し、管理していくことで、後遺症を上手くコントロールしているという方もいらっしゃるようです。

川崎病そのものは早い段階で治療を開始することで治る可能性が高いといわれている疾患です。早期治療で後遺症を防ぐこともできます。幼い子どもたちがかかりやすい疾患は非常に多いですが、なにか異変を感じたら常に早めの受診を心がけておくと安心ですね。