重いものを持ち上げて「あっ…!」、咳やくしゃみの瞬間に「やばっ…!」。こんな経験はありませんか?産後の尿漏れはどうして起こるのでしょう?その原因と解決方法をご紹介します。
どうして尿漏れが起こるのか
骨盤底筋が弱くなることが原因です
わたしたちのお腹には「骨盤底筋」という筋肉があり、膀胱・子宮・直腸などの内臓を支える役割を担っています。
ところが、女性は妊娠すると子宮が非常に大きく重たくなるので、この骨盤底筋が負荷を受けます。
また、出産でも大きなダメージを受けるため、ゆるんだ筋肉ではしっかり内臓を支えきることができなくなります。
その結果、下がった内臓が膀胱を圧迫し、尿道口をしっかりしめつけることができなくなるのです。
ズバリ、これが尿漏れの原因となります。
尿漏れだけじゃなく、「子宮脱」を起こす可能性も
前述のとおり、骨盤底筋は膀胱の他に「子宮と膣」「直腸と肛門」をつなぐ部分もしめる役割をしています。
つまり骨盤底筋が弱ることで、「子宮脱」や「脱肛」といったトラブルも併発する可能性が出てくるのです。
どんな人がなりやすいの?
骨盤底筋の力が弱りやすい生活習慣として、便秘やトイレを我慢する、といったことが挙げられます。
これに加えて妊娠中の体重増加が多かった人や、お腹の赤ちゃんが大き目だった場合、羊水が多かった場合、多胎妊娠だった人、出産が長時間に及んだ人も骨盤底筋が弱りやすいと言われています。
1日1回の「骨盤底筋トレーニング」で、尿漏れの原因を改善!
その前に「骨盤底筋トレーニング」ってなに?
「骨盤底筋トレーニング」は、文字どおり骨盤底筋を動かし、鍛えるトレーニングです。
あまり馴染みのない言葉かもしれませんが、やり方は簡単!
仰向けの状態でひざを立て、背中から腰を浮かせたら「呼吸」するだけ。
1日1回でもOKなので、まずはとにかくやってみましょう!
骨盤底筋トレーニング 6ステップ
1. 仰向けになり、膝を曲げて足の裏を床につけます。
このとき、足と膝は肩幅くらいにひろげます。
2. 軽く腰を浮かせます。
3. あごをひいて、鼻から息を吸います。
このとき腹式呼吸(吸ったときにお腹が膨らみ、吐いたときに引っ込む)で呼吸してください。
4. 口からゆっくりと息を吐いていき、限界まで息を吐いたら、鼻をつまんで空気を遮断します。
5. 鼻から強く息を吸う真似をします。
このとき鼻をつまんでいない方の手を、お腹に乗せておくと、お腹がへこむのがわかります。
6. 鼻をつまんだ手を離して、ゆっくりと呼吸をします。
たったこれだけ。1日1回でもOKです
これを、1日1回だけでもいいので、毎日行うようにしてください。
慣れてきたら、1と2の間で「膣をしめる」動作を加えてください(それ以降の動作もしめたままの状態で行います)。
はじめのうちは「膣をしめる」と言っても、「これでしまってるような、しまっていないような…」とあいまいな感覚だと思います。
それでも充分なので、意識することを心掛けてみてください。
その他、毎日の生活で気を付けるといいこと5選
毎日の生活の中でも、骨盤底筋が弱りやすい生活習慣があります。
気が付いたときだけでも少しずつ改善していきましょう。
1、正しい座り方を心掛ける
正しい椅子の座り方は、頭からお尻までがまっすぐになる状態で、腰・膝・足首が90度になるような姿勢です。
背中を丸くして座る姿勢は、骨盤が歪んでしまって骨盤底筋にも負担がかかります。
もちろん座り方だけではなく、骨盤が歪むような姿勢は気を付けた方がいいので、椅子に座ったときだけでなく、床に座ったときや立っているときも、意識して生活するようにしてみましょう。
2、便秘にならないよう心がける
「どうして尿漏れがおこるのか」で、骨盤底筋の上には「膀胱・子宮・直腸」があるとお伝えしました。
ということは、便がたまることで直腸が膀胱を圧迫して、尿漏れしやすくなってしまうということなのです。
子育て中は、トイレに行きたい!と思ってもなかなかすぐに行けなかったりしますが、できるだけ尿意・便意は我慢せずにしっかり出す習慣をつけましょう。
もともと便秘気味だという人は、朝食にヨーグルトなどの乳製品を取り入れてみたり、場合によってはお医者さんで排便を促すお薬を処方してもらいましょう。
3、排尿・排便はいきまないで
なるべくいきんだりふんばったりして排尿や排便をするのは避けます。
お腹に力を入れることで、骨盤底筋に負担がかかってしまうからです。
まれにスムーズに排便しているにも関わらず、いきむクセのある方がいます。
無理に出そうとせず、自然に「するっ」と出てくれるのが理想です。
4、重たいものを持つのはNG
尿漏れがひどく骨盤底筋が弱っているときは、赤ちゃんより重たいものはなるべく持ち上げないようにしましょう。
どうしても持ち上げなくてはいけない場合は、まず膣をしめることを意識してから力を入れるようにすると、多少負担が少なくなります。
5、呼吸はゆっくり深く
ちょっとした時間に、腹式呼吸でゆったりと呼吸をするようにしましょう。
お腹の動きを意識して、可能なら膣をしめることも意識します。
健やかに産後を過ごしましょう
「産後の身体は、交通事故にあったのと同じくらいのダメージをうけている」といった言葉をよく聞きます。
「またまた、そんなぁ…そこまでひどくないでしょう?」なんて思っていませんか?
もちろん人それぞれ、体力の消耗度合いや回復具合に差はありますが、それでも本当に大変な「一仕事終えた」身体に変わりはありません。
産まれたばかりの赤ちゃんを抱えて、一番大変な時かもしれませんが、ママの身体も一番いたわってあげなければいけない時でもあるのです。
上に挙げたトレーニングは、数分で終わるものです。
是非、寝かしつけた後のちょっとした時間や、「あー、つかれた!」と横になって伸びをしたついでにでも、ちょっと気分転換のつもりで続けてみてください。