妊娠すると避けては通れないのがお産の痛み。いまは普通分娩のほか無痛分娩や帝王切開などお産の選択肢も広がりつつありますが、まだまだ多くの妊婦さんが選択する普通分娩の痛みとその乗り越え方について紹介します。
陣痛開始から赤ちゃん誕生まで 〜段階別の痛み〜
陣痛開始〜急激におなかが痛むわけではない
普通に会話していた妊婦さんが突然おなかを抱えて陣痛の痛みに悶え動けなくなるという、テレビドラマでよく見る出産間際のシーン。いつ突然に陣痛が訪れるのだろうと不安になってしまいます。
通常のお産では、急激な痛みは伴わず、以下のような経過をたどります。
1.分娩第一期:潜伏期 「まだまだ余裕」
この時期は一般的に生理痛のような痛みといわれています。生理痛にも個人差はありますが、会話や散歩など日常生活にさほど支障なく活動できるくらいの痛みです。
この分娩第一期の潜伏期は、全分娩時間の約2/3(8~10時間)を占めます。
・痛みの間隔…約5~10分
・痛みを感じる時間…約30秒~1分間
2.分娩第一期:活動期 声や汗が出て歩けないほどの痛み
子宮口が急速に開き、赤ちゃんの頭が産道のほうへ降下しはじめます。活動期は下腹部痛と腰痛が主で、歩けないほどの痛みではありますがまだ何とか我慢できるくらい。痛む時間も徐々に長くなってきます。
陣痛がないときは痛みをそれほど感じず、まだ会話ができるくらいの余裕があります。活動期は初産婦で約5~7時間、経産婦で約2~4時間ほどです。
・痛みの間隔…約2~5分
・痛みを感じる時間…約45~60秒
3.分娩第二期:娩出期 「もう我慢できない!」余裕がないほどの痛み
子宮収縮がさらに強まってきます。
赤ちゃんがどんどん産道へ降りてくるので下腹部痛、腰痛のほか産道への疼痛が加わって、我慢できないほどの痛みになってきます。
しかし娩出期の痛みもずっと続くわけではなく、必ず一定間隔で痛みがない休憩時間がきます。娩出期は下記娩出期直前と合わせて、初産婦で約45分~1時間、経産婦で約15~30分ほどです。
・痛みの間隔…約30~90秒
・痛みを感じる時間…60~90秒
4.分娩第二期:娩出期娩出直前 痛みはピークに。出産まであと少し
ここで痛みはMAXに。我慢できないほどの痛みの間隔に加えて自然といきみたくなってきます。分娩第一期から時間をかけて徐々に痛みが強くなってきましたが、痛みももう終盤。赤ちゃんが子宮口から見え隠れしています。
・痛みの間隔…約30~90秒
・痛みを感じる時間…60~90秒
5.分娩第三期:後産期 激しい痛みから解放…けどちょっとだけ痛む
無事に赤ちゃんが娩出されると、大きく伸びていた子宮が一気に収縮を始めます。胎盤は収縮しないため収縮する子宮との間にずれが生じ、胎盤はく離が促進されて胎盤が排出されます。
このときに起こる痛みは娩出期に比べたら全然たいしたことないもの。胎盤が排出されれば分娩終了です。
後産期は初産婦で約15~30分、経産婦で約10~20分ほどです。
6.後陣痛 「あれ?出産が終わったのに陣痛!?」
ようやくお産の痛みから解放されたのにまだ痛みに耐えるなんて…。
女性って本当に大変ですね。
後陣痛とは分娩終了後数日間に見られるもので、子宮収縮に伴う痛みのこと。これもまた生理痛のような痛みで、通常耐えられないものではありません。
初産婦さんでは痛みはあまり強くありませんが、経産婦さんでは症状が強く表れるのが特徴です。産む回数が多いほど後陣痛が強くなるともいわれます。
「少しでもラクにしたい!」お産の痛みを乗り切る方法6選
1.できる限りリラックスする
お産の痛みに対して恐怖心を持っていると、体が緊張して固くなってしまうものです。そうすると痛みを強く感じたり、子宮口がなかなか開かずお産が長引いてしまうことも。
リラックスすることでお産の進行を促し、お産を少しでもラクにしていきます。あぐらをかいて深呼吸したり、好きな音楽を聴いたりするのも緊張感をとるのにはよい方法です。
2.自分に合った体勢を見つける
痛みを感じている合間に、自分がラクでいられる体勢を探してみましょう。
四つんばいになる、あぐらをかく、右を下にして横になるなど自分に合った体勢を見つけることで痛みを和らげます。このように腰の負担を軽くする体勢が陣痛の痛み軽減にはよいそうです。
3.呼吸は吐くことを意識する
ラマーズ法やソフロロジーなどいくつか呼吸法がありますが、いずれも呼吸は吐くことを意識するのが大事なポイント。
息をゆっくり吐くことで緊張が和らぎ、過度に痛みを感じるのを防ぎます。いきみを逃すのにも役立ちます。
4.テニスボールやゴルフボールでマッサージ
痛みを感じているときに腰や背中、肛門付近を圧迫すると痛みが和らぐといわれています。
パパに手で押してもらうのももちろん良い方法。固さがちょうどよいのと力を入れやすいのでゴルフボールやテニスボールを利用する方法もあります。
うまくマッサージできない場合は、助産師さんに教えてもらうことでコツがつかめるかもしれません。
5.体をあたためる
痛む腰やおなかのあたりをカイロなどを利用して温めるのも良い方法。
温めることでリラックスするほか、血行が促進されてお産が進みやすくなります。身体が温まると筋肉もやわらかくなるのでお産にはいいことばかり。
身体の冷えと難産は深く関係しているといわれます。出産のときだけでなく妊娠中から体を冷やさないように心がけたいものです。
6.腰を揺らす
腰を前後左右にゆらゆらと揺らすのも陣痛を和らげるといわれます。
骨盤内の血流がよくなるほか、骨盤を揺らすことで赤ちゃんが下りてきやすくなり、お産の進行を促す効果もあるそう。
バランスボールやロッキングチェアなどを利用するとラクにできます。
もう少しで可愛い赤ちゃんに会える
約10カ月の妊娠期間を経て、最後に待ち受ける出産という大仕事。
出産を境に大きくなったお腹ともさようならです。かわりに可愛くて仕方がないわが子と対面できる日でもあります。
出産で大変なのはママだけではなく、赤ちゃんも一緒だといわれています。赤ちゃんが懸命に出てくるところをママがしっかりサポートしてあげられるように、お産の痛みを上手に乗り切りましょう。