乳癌(乳がん)のしこりを早期発見するためには?自分でできること

乳がんのサインのしこり。乳がんは普段からのセルフチェックを行い、しこりの早期発見をすることで完治できるがんとも言われています。今回はそのセルフチェック方法と乳がんについてをまとめました。

乳がんってどんな病気?

乳腺という部分にできるがんのこと

出産後に母乳(乳汁)を分泌させる乳房。出産する女性にのみ備わった臓器で大切な役割をもった部分です。その乳房の中には「乳腺」という母乳を作り出す部分があります。乳がんはその乳腺という部分に出来たがんのこと。乳腺の中には脂肪の組織や血管、神経などが含まれていて、様々な部分にがんが出来る可能性があります。

乳がんには主に3つの種類がある

乳がんの種類には3種類あり、「非湿潤がん」「湿潤がん」「パジェット病」に分けられます。

■非湿潤がん
この非湿潤がんは、がん細胞が乳管などの細胞の中にとどまっている状態です。言わばがんになりたてでこの状態のうちに見つけておくと予後が良く、短期間の治療で終わる可能性が高いと言われています。

■湿潤がん
非湿潤がんの状態を経て、乳管などの細胞の中にがん細胞がとどまれなくなり、細胞を包んでいる基底膜という部分を破って外に出ているものを湿潤がんといいます。少しがんが進行している状態で、ほおっておくと他の部分に転移してしまう可能性があると言われています。

■パジェット病
このパジェット病は乳がんの中でも乳首や乳輪付近に出るがんです。これは非湿潤がんが乳管が開口している乳頭に達してただれたり、湿疹が出るなどの症状がみられます。

自分で見つけることのできる、数少ないがん

他の部分のがんはがん検診に行き、検査を受けることでがんになっていないか確認をするのが一般的です。乳がんはがん検診で行われるマンモグラフィ検査という検査で分かる場合もありますが、セルフチェックでもがんが見つけられる可能性が十分にあるがんです。定期的に自分でチェックを行うことで、自分の乳房について知ることができ、その変化に気づきやすくなります。

「乳腺専門医」のところへ受診を

乳がんって何科へ受診すればいいの?婦人科?と思われる方も多いと思います。日本乳癌学会は2004年に「乳腺専門医」も制定しています。乳がんのことをより深い知識を持った専門医のところへ受診することは治癒するためには大切なこと。日本乳癌学会のホームページ上には専門医一覧の名簿を各都道府県ごとに公開しています。そちらでどの病院に専門医が在籍しているか確認してからの受診をお勧めします。

日本乳癌学会ホームページ-名簿:専門医一覧
日本乳癌学会の公式ホームページです。日本の乳癌についての集計データ、患者さん向けガイドライン、学会認定施設や専門医のリストなど、学会おすすめの情報をわかりやすく提供しています。

女性特有のがんは30代~50代が発症のピークに

乳がんは30代から一気に患者数が上昇

乳がん、子宮がん、卵巣がんは女性特有のがんで、その発症の年齢は他の部分のがんに比べ、圧倒的に若い世代に発症することが知られています。厚生労働省のがん患者の患者数をまとめたグラフでは、大腸がん(直腸がん、結腸がんを含む)や、胃がん、肝臓がんなど女性にも多いがんは65歳以上の高齢者が発症のピークです。それに対して、女性特有のがんは30代前半から30代後半、40代前半にかけて一気に患者数が上昇し、55~64歳に発症する方がピークに達します。子宮がんと乳がんを比べても、乳がんは子宮がんの2.5倍近くの発症患者数となります。

現在1位の乳がん、早期発見で治っている人も多い

女性特有のがんである乳がんは、生活習慣や食文化の変化により年々患者数が増加傾向にあり、以前1位であった大腸がんの罹患率を抜き、現在1位になっています。かかりやすいがんであるのに対して、死亡数が多いがんでは順位を下げていることから、早期発見をしている方が多く、治療により回復している方が多いということです。

早期発見すれば助かる乳がん

乳がんは早期発見であればあるほど治癒する可能性が高いがん。しこりに気づく人が多い2センチ以下のしこりで、リンパ節への転移が認められない場合、その後10年以上生きられる人が90%と厚生労働省がまとめています。つまりほとんどの人が治療によって完治し、元の生活を送っているということ。如何にして早期発見できるかによって、その後の未来が大きく変わっていくがんなのです。

乳がんのしこりに気づこう!セルフチェックの方法

月に1回、生理が終わった4~5日後に行う

セルフチェックを行うのは毎月1回行うのがよいとされています。またその時期も決めて行うと、毎回同じ状態の乳房に触れることができ、異変に気が付きやすくなります。生理の前に行うと乳房が張ったり痛みがある場合があるため、行うなら生理が終わった後、4~5日経過してから行うのがベター。閉経後の方は月に1度、日にちを決めて行うとよいでしょう。

入浴時に石けんをつけて触れてみる

調べている方の腕を上げながら行うと乳房の形が流れにくいため、触れる乳房の方の腕をまっすぐ上げ行うとよいです。指をそろえて、指の腹の部分で渦巻状に乳房に触れ、しこりがないか確認していきます。この時指の先ではなく指の腹の部分を使い、静かに軽く押さえながら丁寧に行うことがポイント。石けんをつけることですべりがよくなるため、入浴時に行うと調べやすくなります。

鏡に向かって形や大きさ、ひきつり、へこみの有無をみる

鏡の前に乳房や脇、デコルテ部分が見える状態で立ちます。まず両腕を自然に下ろし、力を抜いた状態で次のことを調べます。

・左右の乳房の形や大きさ、高さに変化がないか
・乳房のどこかに皮膚のへこみやひきつった部分がないか
・乳首がへこんだり、ただれ、かさぶたが起きていないか
・乳首に異常な分泌液が出ていないか

その後、両手を上下に動かし、正面・側面・ななめなどから再度先ほど確認したことを調べます。

仰向けに寝て触れてみる

まず仰向けに寝て、肩の下に薄い枕や座布団を敷きます。こうすることで乳房が張り調べやすくなりますし、乳房が垂れず胸の上に平均的に広がるためよいとされています。また仰向けに寝ることで乳房が全体に広がるため発見しやすくなります。さらにボディクリームやボディオイルなどをつけて行うと滑りがよくなり、触れやすくなります。

1)まず乳房の内側から触れていきます。場所は乳首よりも高い部分の、乳首よりも内側です。右の乳房で言うと、乳首を中心に縦横に乳房を4等分にした、左上の部分が乳房の内側を指します。左右の乳房の調べる方の腕を頭の下に入れ、脇の付近まで触れることが出来るようにします。指の腹を乳首の上から胸の中央部分に向かって動かします。その時にやわらかく、しかもしっかり滑らせるようにしこりの有無をまんべんなく確認します。

2)次に腕を自然な位置まで下げ、乳房の外側の部分を触れていきます。外側から内側に向けてやわらかく、しっかり滑らせるようにしこりの有無を確認していきます。

こちらを左右同様行います。

わきの下のリンパ節と乳首をチェック

起き上がり、指をそろえて脇の下に入れ、しこりがあるかどうか指先で確かめます。
その後、乳首を軽くつまんで、乳を搾るようにし、血液の混じった分泌液などが出ないか確認します。
この二つを左右行い、セルフチェックは終了です。

乳がんのしこりが出来やすい場所がある

一番出来やすい部分は脇の下から外側の上方

一番乳がんができやすい場所は、脇の下から外側の上の方。続いて内側の上の方、その後外側の下の方、内側の下の方と続きます。また、乳首の周辺もできやすい場所です。つまり、右の乳房で言うと乳首を中心に縦横に4等分にした右上、左上、右下、左下の順に乳がんができやすいということです。
乳首の部分にできるパジェット病はただれが起きますが、その他の原因で乳首にただれが起きることも多く、まずは皮膚科に受診することをお勧めします。このパジェット病は高齢者に多く、若い方にはほとんど見られないため、乳首にじくじくしたただれが出たからといってすぐに乳がんを疑わず、まずは皮膚科へ受診してください。

しこりが見つかっても必ずしもがんではない

胸のしこりが見つかると乳がんかもとドキっとしますよね。でも必ずしも乳がんではなく、様々な原因で胸にしこりが出来ることがあるんです。その原因として、乳腺症、乳腺炎、乳腺線維腺腫など聞きなれた名前から聞きなれない名前の病名まで様々。まずは専門医に診察をしてもらうことをお勧めします。専門医でもしこりに触れることだけで、乳がんかどうか判断することは難しく、マンモグラフィ検査や血液検査などと併用しながら判断していきます。

乳がんのしこりって具体的にどのようなもの?

硬く石ころのように触れるものや、しこりなのか迷うようなものも

しこりと一言で言っても難しいもの。具体的にどのようなものなのでしょう。硬さについて述べますと、典型的なものは石ころのような硬さがあるしこりが多いです。
しかしこれは目に見えないほんの小さながん細胞から大きくなり、がんの腫瘍を形成したものだから触れることが出来、硬さもはっきり分かるものです。
大きくなっている腫瘍はごつごつした小さなボールを布団の上から触れているような感覚で触れると思いますが、中にはしこりかどうか迷うものもあり、これは超早期発見となります。
小さいから大丈夫、大きいからがんということは断定しにくく、大きさや触れるものの硬さで見分けることは難しいとされています。しこりの具体的な特徴を下にまとめます。

・硬い
・表面がデコボコ
・形が整っていない
・境目がはっきりしない

これらに当てはまるものを感じなくても、定期的に専門医による検査を受けるようにしましょう。

胸にしこりが見つかったらまずは受診を!

マンモグラフィ、MRI、エコー検査、血液検査などを受ける

セルフチェックでしこりやしこりのような異変を感じたら、まずは乳腺専門医に受診をします。
そこでマンモグラフィ検査やMRI、エコー(超音波)検査、血液検査、触診などを受けます。40歳未満の方は乳腺が発達しているため、マンモグラフィ検査よりもエコーでの検査のほうが異常を見つけやすいなど、その患者の年齢や体格などで主治医が判断し、必要な検査を受けることができます。
胸が小さい人でマンモグラフィ検査を受けられるか心配される方もいるようですが、乳がん検診車や医療機関でマンモグラフィ検査ができるところにいる放射線技師さんはきちんとした技術を習得した方なので安心して検査を受けることができます。

乳がんの治療法について

乳房再建も出来、治療法も多様化している

乳がんと判明したら気になるのがその治療法。近年乳がんの手術も多様化する中で、乳房再建の手術も様々な方法が選べるようになりました。最近ではアンジェリーナ・ジョリーも乳房の摘出手術を行ったのち、乳房再建の手術を受けたことで話題になりました。以下は治療法は以下のようなものになります。

・外科的手術
・抗がん剤治療
・放射線治療
・薬物療法

乳房再建の手術を希望する方、または考えてみたい方は、乳がん自体の手術を行う前に乳腺専門医にそのことを伝えておきましょう。
乳がん自体の手術やその他の治療を行ったのち、落ち着いた状態で乳房再建の手術を行うため、治療の方針を最初の段階で決めやすくなります。形成外科との連携も取りやすくなりますので、ぜひ主治医に相談してみましょう。

日本形成外科学会 会員の方へ 形成外科で扱う疾患 悪性腫瘍およびそれに関連する再建 乳房再建
乳房再建。日本形成外科学会のWebサイトです。

▼以下の記事も参考にご覧ください。

乳癌(乳がん)は女性の癌の中でもトップを占めるということをご存知ですか?女性なら誰でもかかりうる可能性のある乳癌は、転異しやすい癌と言われています。では、どういった治療法があるのでしょうか。乳房を完全に切除する以外にも方法はあるの?という疑問にも合わせてお答えしましょう。

セルフチェックを行って乳がんの早期発見を!

乳がん検診だけでは防げない場合もある

乳がん検診を行っている人もいるかと思いますが、cuta読者さまの中には乳がん検診を受けられる年齢まで達しておらず、助成対象外だという方もいるかと思います。
助成対象外でマンモグラフィ検査を受けると高い金額を要すため、定期的にがん検診として受診するのは難しい方もいるのではないでしょうか。定期的に受けている方も、そうでない方も、セルフチェックを行うことでもっと早くに乳がんを見つけることが出来る可能性があります。
若年層のがんは進行が早く、いくらがん検診を受けていても気づいた時には手遅れになっていたということもあります。その他のがんとは違い、乳がんはセルフチェックを行える数少ないがんです。セルフチェックを定期的に行うこと、きちんと専門医に相談することで、乳がんの早期発見に努めることはとても大切なことといえるでしょう。