知っておこう!乳癌の症状とセルフチェックの仕方

現在、乳がんは女性が罹患するがんの中で一番多く、女性の14人に1人は乳がんになっているといわれています。身近になってきている乳がんですが、まだよく知られていないのも現状です。乳がんの症状やセルフチェックの仕方をぜひ知っておきましょう。

乳癌とは

乳腺にできる悪性腫瘍です

乳がんとは、母乳を作る役割をしている乳腺にできる悪性腫瘍です。一番多いのが母乳の通り道である乳管にできる乳管がんで、母乳を造っている小葉にできる小葉がんも少ないですがあります。
乳管や小葉に留まっているがんを非浸潤がん、血管やリンパ節に移行しているがんを浸潤がんと呼びます。

乳がんの進行度は0期~Ⅳ期に分類されていて、0期は非浸潤がん、Ⅰ期~Ⅳ期はがんの大きさと周りへのリンパ節転移の程度によって決められています。遠隔転移がある場合はがんの大きさやリンパ節転移の程度に関わらずⅣ期と分類されています。

乳癌患者は増加している

現在、日本では年間4万人もの人が乳がんに罹患しており、急増しているといわれています。女性の14人に1人がかかるといわれ、死亡率も30年前に比べ3倍に増加しています。

また、他のがんは年齢が高くなるにつれ増加するのに対して、乳がんは30代から増え始め40代後半~50代前半がピークになり、比較的若い世代の罹患率が高くなっています。若い世代こそ、関心と知識を持つことが大切です。

乳癌は早期発見すれば治るがんです

乳がんは比較的性質のよいがんが多く、早期発見すれば完全に治すことができるがんです。欧米では乳がんの定期検診の受診率が上がってきているため、死亡率も減少傾向にあるといわれています。しかし日本では乳がんの定期検診の受診率はまだまだ低いのが現状です。

また乳がんは初期症状がないといわれていますが、定期的にチェックをしていれば、比較的小さなしこりの段階で触れて分かるといわれています。そのため、定期的な乳房のセルフチェックと定期検診の普及が、日本の乳がん患者を減らすことにつながるのです。

20代になったら月に1回、乳房のセルフチェックを行い、40歳になったら2年に1回検診を受けるようにしましょう。

乳癌は予後がよく、生存率も高い

乳がんは他のがんに比べると予後がよく、生存率も高いといわれています。乳がんの5年生存率は、ごく初期のステージ0期では100%、第1期で98%、第2期で90%、第3期で68%、全身転移が見られる第4期では30%となっています。

第2期までに発見できれば、5年生存率はかなりよいと考えられます。乳がんにおいては、早期発見がいかに大切かがわかりますね。

乳癌の主な症状4つ

1. 乳房や脇の下にしこりができる

自己検診を定期的におこなっていない場合、2cm程度までしこりが大きくならないと気づかないといわれていますが、5mm~1cm程度に大きくなってくると、自分で触れてもしこりが分かるようになります。

しこりの特徴は硬さがあり、回りがデコボコしている、ギザギザしているなどと感じるようです。押すとやや動きがあり弾力もあります。乳がんが脇の下のリンパ管に転移すると脇の下にしこりを感じたり、腕が浮腫んだり痛みを感じたりすることもあります。

しかし、乳がんの特徴は色々あり自己判断は難しいです。気になるしこりがあれば専門家の医師に診てもらいましょう。しこりがあっても全て乳がんというわけではなく、良性の腺種であることも多いです。
乳がんが発生しやすい部位は、乳頭より上側が多くその中でも外側が約半数と言われています。続いて多いのが上半分の内側で25%の発生率です。

2. 乳房にえくぼのようなへこみができる

乳がんが皮膚近くまで達してくると、皮膚ががんによって引っ張られるため、えくぼのようにへこんだり引きつれのような症状が出てきます。がんが2cm程度大きくなってくるとえくぼ症状が出てくるといわれています。
がんはえくぼ症状の近くにあることが多いといわれています。えくぼ症状は乳がん以外ではあまり出ない症状なので、気になる場合はすぐに検査をしてもらいましょう。

3. 乳房の皮膚がただれたり発疹ができる

がんが皮膚のリンパ管を塞いでしまうと皮膚に炎症がおこり、皮膚がただれたりオレンジの皮のように毛穴のへこみが目立つようになります。また皮膚が赤くなり痛みや熱感を伴うようになります。これを炎症性乳がんと言います。

4. 乳頭から血が混じった分泌液が出る

乳がんからの出血が乳管を通って、乳頭から分泌液として出てくることがあります。無色や白色の液体が出るときもあります。特徴はがんができている側だけ(片方だけ)分泌物があるということです。

乳頭から分泌液が出るのは、乳がんだけでなくホルモンバランスの崩れや乳管内乳頭腫、乳腺症など他の病気も考えられるため、受診して精査してもらいましょう。

乳癌の原因となりやすい人

乳癌と大きく関わる、女性ホルモン「エストロゲン」

乳がんと大きく関わっているのが、女性ホルモンのエストロゲンで、エストロゲンの分泌期間が長いほど乳がんのリスクは上がるといわれています。エストロゲンは排卵前後に一番多く分泌され、女性の体に刺激を与えています。エストロゲンは乳がんを発生させるだけでなく、成長させる原因にもなっています。

また家族に乳がん患者がいるとリスクが高くなるため、原因に遺伝が関係していることも分かっています。さらに過度な飲酒、タバコ、脂肪量の多い食事もリスクを高めることが分かってきています。

どんな人が乳癌になりやすいの?

乳がんになりやすいのは、ホルモンによる影響、生活習慣による影響、社会的な影響が考えられています。ご自身でもチェックしてみましょう。

○ホルモンによる影響
■初潮年齢が早い
■閉経が遅い
■ホルモン補充療法をしている
■良性乳腺疾患にかかったことがある
■子宮体がん、卵巣がんの既往がある
■家族に乳がんになった人がいる

○生活習慣による影響
■アルコールをよくのむ
■喫煙している
■肥満

○社会的な影響
■出産経験がない
■初産年齢が35歳以上
■授乳の経験がない

これらは全て乳がんのリスクを上げてしまうものです。たくさん当てはまったから必ず乳がんになるというわけではありません。でも、自分がどのくらい乳がんにかかりやすい原因を持っているかを知っておくことは大切なことです。

乳癌の早期発見のために セルフチェック方法4つ

女性の乳房は生理周期に合わせて変化をしています。そのため月に1回、できるだけ生理が終わって4~5日目くらいの同じタイミングでチェックをすると変化が分かってよいでしょう。

乳房セルフチェック法 その1

1.上半身を裸になり、鏡の前に自然に力を抜いて立ちます。

2.左右の乳房の形や大きさに変化がないかを見る。

3.乳頭の皮膚にへこみや引きつれがないかを見る。

4.乳頭がへこんだり、ただれたりしていないかを見る。

5.両腕をあげて2~4のチェックを再度おこなう。

乳房セルフチェック法 その2

1.仰向けになり、タオルを背中の中に入れます。

2.右側の手を左乳房の乳頭から内側(胸と胸の真ん中)に向かって指の腹を使って、優しく滑らせしこりの有無を調べる。

3.右側の手を左乳房の外側(脇側)から乳頭に向かって指の腹を使って、優しく滑らせしこりの有無を調べる。

4.右側の乳房も手を変えて調べる。

乳房セルフチェック法 その3

1.自然に立ち、右側の手の指を揃えて左側の脇の下に入れて、しこりがないか調べる。

2.右側の脇も手を変えて調べる。

乳房セルフチェック法 その4

左右の乳頭を軽く搾るようにつまみ、血液など分泌物がでないかを調べる。

乳癌検査と診断方法

定期検診

定期検診とはしこりなどの症状がない段階で、早期発見を目的として定期的におこなわれる検診のことです。40歳以上になったら2年に1度はマンモグラフィー検査を受けましょう。
検査は、各自治体で受けられる場合以外にも、会社の健康保険組合に加入している人や、夫の健康保険に加入している人はそれぞれの健康保険組合に問い合わせると教えてもらえるでしょう。

検診では問診や視触診、マンモグラフィー検査がおこなわれます。各自治体が検診の日程などを知らせてくれますので、広報などチェックしておきましょう。費用は1000~2000円程度です。

また40歳未満の方でも、リスクとなる因子が多い方は自己負担でも受けておく方がよいでしょう。自己負担だと5000~1万円前後のところが多いようです。

乳がんの症状がある場合の診察の流れ

それではもし乳がんの症状に気づき病院に行った場合、どのような検査を受け診断がされるのでしょうか。

1.問診
現在の乳房の状態(しこりを感じたのならその状況)や月経に関すること、出産・授乳経験、既往歴などその人の背景やリスク因子を確認します。

2.視診
上半身を裸になり、座った状態で乳房の形や引きつれ、へこみ、盛り上がりなど形の変化を見ます。

3.触診
実際に触れてしこりの有無や形、乳頭からの分泌液、脇の下のリンパの腫れなどを確認して悪性か良性かの判断をしていきます。

補助診断の方法4つ

基本の診察に合わせて、確定診断のため補助診断をおこないます。

1.マンモグラフィー
X線により乳房の中を撮影し、乳がんの初期症状である石灰画像(カルシウムの沈着物)や腫瘍の有無を見ます。

2.超音波エコー
数ミリの小さながんも画像に映し出されるため、早期発見のために有効な診断です。また写し出されたしこりが良性なのか悪性なのかを判断するためにもおこないます。

3.乳管造影検査
乳頭から出血など分泌物が出ている場合は、乳管から細い管を入れ造影剤を入れてマンモグラフィーを撮ります。

4.乳管内視鏡検査
乳頭から出血など分泌物が出ている場合は、乳口からカメラのついたファイバースコープを入れ、乳管の状態を直接観察します。

5.細胞診
乳房から触れるしこりに対して、直接注射器を刺し、針から細胞を吸引し良性か悪性かを調べます。

乳癌の治療法

乳がんの治療方針は、しこりの大きさ、広がり、位置、悪性度、リンパ節への転移、その他の所見など総合的にみて判断されますが、根治させるためには、手術によってがん細胞を取り除くことが必要とされています。

さらに、手術をおこなう前や手術後に放射線治療や化学療法、ホルモン療法などを組み合わせて乳がんの根治を助けます。

手術療法

乳房内にできたがんは基本的には手術によって取り除くことが第一選択です。乳房全摘出術と乳房温存手術があり、乳房温存手術はできるだけ小さくがんのみを取り除き乳房を温存する手術で、現在は増えてきています。

3cmを越えるような大きな乳がんには全摘出が選択されるケースが多いですが、乳がんの広がりなどを見て温存手術をすることも可能になってきています。

乳がんの手術はどちらも1~2時間程度で、入院期間は全摘出で1~2週間、温存手術で1週間程度だといわれています。

放射線療法

乳房温存手術では取り切れない小さながんに対してX線を当て、死滅、増殖を防ぐ治療をおこないます。転移部や再発部にも放射線治療をおこなうことがあります。

ホルモン療法

乳がん細胞に大きく関わるエストロゲンが作られるのを妨げたり、働きを抑えたりする治療法です。女性ホルモン受容体を持つがんにだけ有効といわれていますが、乳がん全体の70%が女性ホルモン受容体を持つタイプといわれています。内服薬と注射での治療があり、全部で5年は継続しておこなわれる長期的な治療法です。

化学療法

化学療法は手術前、手術後、遠隔転移にそれぞれ使用されます。手術前におこなうのは温存手術をおこなう前にできるだけがんを小さくするためです。4~6か月前から抗がん剤を投与します。

手術後におこなわれるのは、取りきれなかったがんを死滅させ、再発を予防する目的でおこなわれます。また、広範囲に遠隔転移し手術ができない患者の延命治療として抗がん剤を使用することもあります。

外来で通院しながら、抗がん剤(科学治療)をおこないます。効果と副作用の程度を見ながら患者に合わせた計画が組まれており、現在は比較的副作用も軽くすむように調整されています。

分子標的治療法

通常の抗がん剤は正常な細胞まで傷つけてしまう恐れがありますが、分子標的治療法はがん細胞だけを狙い撃ちできる治療法です。抗がん剤より副作用が少なく、また進行したがんや転移、再発したがんにも有効といわれています。

乳癌に関心を持って、自分の体を大切に

近年、乳がんが急増していることや女性が罹患するがんの中で乳がんが1番多いことを考えると、20歳以上の女性なら乳がんに関心を持っておくべきだと思います。さらに、早期発見できればほぼ完治できる病気なので、セルフチェックや定期検診を積極的におこなって、自分の体と乳房を大切にしてあげましょう。