出産でまさかの痔に!治療はどうする?やっておきたい予防と対策

あまり知られていないことですが、妊娠や出産を機に痔になってしまう女性は意外に多いのです。恥ずかしさが先だって、あまり周囲に相談できず、困っているママ、いませんか?ママ友同士でも話題にしないので、謎が多い産後の痔。今回は、痔になってしまったときの対策や治療法、妊娠中からできる予防法についてまとめました。

妊娠・出産は痔になりやすい要素がいっぱい!

痔には大きく分けて4種類あります。肛門の内側がうっ血して膨らむ「内痔核」、肛門の外側にマメができる「外痔核」、肛門の皮膚が裂ける「裂肛」、肛門付近に穴ができる「痔瘻」。これらの症状が、出産前後に起こる方が多いと言われています。
では、どのような原因で痔になってしまうのでしょうか。

妊娠中に痔になる理由

妊娠中はホルモンの影響で便秘や下痢になりやすいことをご存知でしょうか。そして、便通異常は痔の最大の原因と言われています。

便秘をすると、便が硬いため通常より長時間いきまなくてはいけません。すると肛門付近がうっ血したり、硬い便が通過することにより裂傷や血マメができやすくなり、痔核や裂肛の原因となります。
また、うっ血や裂傷で傷ついた肛門付近の粘膜に、雑菌が入って炎症を起こすことがあります。ケースこそ少ないですが、炎症が悪化して痔瘻を引き起こすこともあります。

下痢も痔の原因になります。水様便がでるとき、肛門には強い圧力がかかります。それにより肛門付近の粘膜が炎症を起こし、痔になりやすくなるのです。
お腹の赤ちゃんが成長するにつれて、直腸や肛門付近の静脈が子宮に押されるようになります。継続的に押されることでうっ血してしまい、結果、痔になってしまうこともあります。

痔の中で最も多いのが内痔核です。内痔核は自覚症状がないものもあり、妊娠中に痔になっても、産後悪化するまで気づかないことがあります。

分娩時に痔になる理由

分娩時のいきみにより肛門付近が裂けてしまうことも。肛門付近の裂傷は、痔核や裂肛の原因になります。また、もともと内痔核があった場合、赤ちゃんの頭の圧迫で痔核が外側に飛び出てしまう「脱肛」になる恐れがあります。

産後に痔になる理由

授乳中は体内の水分が不足しがちです。水分不足から慢性的な便秘となり、痔を引き起こしやすくなります。また、赤ちゃんのお世話で忙しく、トイレへ行く暇もないことが、さらに便秘を悪化させてしまいます。



産後の痔の主な治療法とは

肛門外来を受診しよう

妊娠出産で痔になっても、多くの場合は時間と共に症状が緩和され、自然に回復していきます。しかし、症状が重い場合や、痛みが強く大きなストレスとなる場合は、肛門外来を受診しましょう。

本人が軽い症状だと思っても、継続的な便秘が原因で脱肛してしまったり、手術が必要な痔瘻になってしまうこともあります。なかなか自然回復しないようであれば、医師に相談したほうが良いでしょう。

市販薬を使う場合は医師に確認を

痔の薬には、座薬・軟膏・注入軟膏と様々なタイプのものがあり、薬局で市販されています。ステロイド配合のものと非配合のものがあり、炎症の度合いで使い分けることをおすすめします。

ステロイドに関しては、母乳に影響が少ないと言われていますが、念のため医師に使用の可否を確認しましょう。

場合によっては手術することも

症状がひどい場合や、投薬では回復しない場合、産後に手術をすることがあります。緊急性を要する場合を除き、会陰切開の傷が回復する産後1ヵ月頃から、手術を受けることができます。

ただし手術となると、麻酔や痛み止めを投与するので、少なくとも術後3日間は授乳することができません。完全母乳で育てている場合は、母乳を冷凍保存しておいたり、赤ちゃんを哺乳瓶に慣れさせたりと、予め準備をして手術に臨みましょう。

産後の痔、毎日のケア方法

痔の症状や痛みを感じたときに、自宅でどのようなケアができるのでしょうか。いくつか対処方法をご紹介します。ただし、痛みがひどいとき、出血が多いとき、なかなか治らないときは、迷わず肛門外来を受診してください。

痛みがあるときのケア方法

まず、布団の上に横になり、膝を軽く曲げてリラックスします。しばらくじっとしていると、痛みが和らぐことがあります。

少し痛みが和らいだら、ぬるめのお風呂でゆっくり半身浴をして、お尻を温めましょう。痔核や裂肛の痛みには、温めることが効果的です。ただし、肛門周辺が熱を持っていて赤く腫れている場合や痔瘻の場合は、温めると逆効果です。横になったまま患部を冷やしましょう。
痔瘻の場合、市販薬では治療できないので、なるべく早く肛門外来にかかるようにしてください。

出血があるときのケア方法

まずは入浴やウォシュレットで患部をきれいにしましょう。しばらく布団の上で横になり、安静にしてください。

他の病気による出血の可能性もあるので、症状が落ち着いたら医師に相談しましょう。特に黒ずんだ出血は、大腸からの出血が疑われるので注意が必要です。

脱出物があるときのケア方法

肛門から何かが出ているとき、一番に考えられるのは、外に飛び出た内痔核です。触っても痛くないようであれば、指でそっと押し戻しましょう。指で押さえたままゆっくり立ち上がると、スムーズに押し戻すことができます。

脱出物があると感じた場合は、直腸脱という病気の可能性もあります。その場で押し戻せても、一度肛門外来を受診したほうが良いでしょう。

患部はいつも清潔に

肛門付近は、うっかりしていると不潔になりやすいところです。いつも清潔に保つよう心掛けてください。
肛門付近に痒みや違和感があったら、トイレットペーパーでゴシゴシと擦らず、勢いを弱めたウォシュレットで優しく洗い流しましょう。入浴時も、肛門周辺を優しくきれいに洗い、完全に乾いてから下着を履くようにしましょう。



産後に痔で悩まないための予防法

前述のとおり、出産を機に痔になる危険性は、妊娠中から潜んでいます。ホルモンの影響で便通に異常をきたす可能性があると自覚し、妊娠中からお尻にとって良い環境を整えてあげましょう。

バランスの良い食事を摂ろう

つわりで食事が辛くなければ、バランスの良い食事をしっかりと食べてください。ヨーグルトやプルーン、根菜類といった食材を加えて、便通を促しましょう。
ただし下痢をしている場合、胃腸に負担のかかる食物繊維豊富な食材は避けるようにしてください。

水分をしっかり補給しよう

便が硬くなる原因のひとつに、水分不足があります。朝起きたときはもちろん、運動の後や家事の合間に、こまめに水分を摂るようにしてください。食事にも野菜スープやみそ汁を加えて、効率よく水分を摂りましょう。また、下痢のときでも、水分補給は大切です。

夏場は冷蔵庫で冷やした水を飲みたいところですが、キンキンに冷えた水は体への吸収が悪いと言われています。室温か温かい水を少量ずつ飲むようにしましょう。

辛い食べ物は控えよう

「産後は母乳に影響して辛いものが食べられないから、今のうちに…」と、妊娠中に辛い物を沢山食べている人、いませんか?実は筆者がそうでした…。
香辛料の摂りすぎは、排便時に肛門付近を刺激してしまいます。肛門付近が弱る妊娠中や産後は、なるべく控えたほうが良いでしょう。

排便習慣を身に着けよう

規則正しい排便習慣を身に付けることは、妊娠中や産後に関わらず大切なことです。妊娠後期に体が重くなると、トイレが面倒に感じるかもしれませんが、なるべく朝に便意を催すよう、根気よくトイレに通いましょう。
ただし、無理して排便することは、かえって痔の原因となりますので気を付けてください。

ストレスをため込まないようにしよう

精神的な原因で便秘や下痢が起きることがあります。妊娠中や産後はストレスのたまりやすい時期です。気分転換をしてリラックスできる時間を作りましょう。

お風呂でゆっくり温まろう

肛門付近を清潔に保つため、毎日のお風呂では石鹸で優しく洗い流すようにしましょう。また、うっ血を改善するには、ぬるめのお湯にゆっくり浸かる入浴方法がおすすめです。

長時間同じ姿勢を続けないようにしよう

お腹が重かったり、疲れていたりと、妊娠中や産後は何かと体が辛い時期ですね。だからといって一日中座りっぱなしだと、お尻に大きな負担がかかり、痔の原因となります。適度に姿勢を変え、いつも同じ箇所に負担がかからないようにしましょう。

また、余裕があれば、ウォーキングやヨガのような軽い運動をして、腸を活性化したり、血の巡りを促して、便通を整えましょう。

先輩ママの体験談

ずっと痔とは無縁だった人でも、出産を機に痔になってしまうことがあります。妊娠中から痔になってしまう人も。妊娠出産でのトラブルは、妊娠中毒症や陣痛、会陰切開の痛みばかりが注目され、まさか痔になるとは思っていない人も多いようです。
痔になりやすい時期であることをしっかり理解して、予防していくことが大切ですね。

産後の痔になる人は意外に多いのです

どうか恥ずかしがらないで

自分が痔であることを恥ずかしいと感じてしまって、なかなか言い出せないこともあるでしょう。しかし、恥ずかしがる必要はありません。
とあるデータによると、妊娠出産で痔のトラブルを抱えるママは、2~3人に1人とも言われています。トラブルの大小はあるものの、それくらい一般的なトラブルなのです。

もし、分娩前に痔であることが分かっていれば、医師や助産師に伝えておきましょう。分娩時に内痔核が飛び出さないよう、押さえてくれることがあります。気になることは医師に相談し、できるだけ悪化を防ぎましょう。

後回しにせず治療しましょう

産後は赤ちゃんが最優先で、自分のことは後回しになっていませんか?気持ちは分かりますよ。ママの責任感の強さゆえのことでしょう。
しかし、排便のたびに痛みに襲われたり、痛みで座っていられなかったりと、度重なる痛みや出血、不快感があると、ママは大きなストレスを抱えてしまいますよね。

産後の痔は、正しい治療を施せば改善する病気です。笑顔で出産や育児に臨むためにも、周囲に協力を求めて、早めに治療をしましょう!